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- 今年の読書(16)『ストラングラー』佐藤青南(ハルキ文庫)
著者<佐藤青南>は、取り調べ中の被疑者の行動・しぐさで、相手の「嘘」を見抜く通称「エンマ様」こと「楯岡絵麻」を主人公に据え、難解な事件を解決してゆく「行動心理操作感・楯岡絵麻」シリーズとして第1巻の『サイレント・ヴォイス』にはじまり第8巻(全9巻)の『ツィン・ソウル』まで読んでいましたが、今回新シリーズとしての本書『ストラングラー 死刑囚の痛恨』を手に取りました。2023年2月18日に文庫本書下ろしとして発売されています。
文庫本の広告記事によりますと、本書は『ストラングラー 死刑囚の推理』・『ストラングラー 死刑囚の告白』に次ぐ3作目になるようで、文中前作に関する記述が出てきますが、読んでいなくても本書への面白さには影響はないと感じました。シリーズの順番通り読むのが一番ですが、この手の本を読みなれた読者は、文中の記述から、想像できる範囲だと思います。
4人の風俗嬢殺害の冤罪を証明しようとしていた元刑事の死刑囚「明石陽一郎」が、別件で、殺人事件を起こしていることを知った刑事「箕島朗」でした。「明石」に感じ始めていた信頼は突き崩され、二人は刑務所内の面会で決別してしまいます。
「箕島」は精神の安定を喪い、〈ストラングラー〉に射殺された同僚「伊武孝志」の幻影を見るようになりますが、捜査して解決してく事件を通して人間の多面性に触れ、「箕島」は再び「明石」の元へと足を向けます。不審な行動で同僚に尾行されていた「箕島」は、「明石」の冤罪と真犯人は警察関係者ではないかという推理を話してしまいます。
そんな折、デリヘル嬢「ミミ」が空きアパートの一室で殺される事件が起きます。過去殺害された4人はマンションでの殺害でしたが、今度こそ〈ストラングラー〉の仕業なのか、連続殺人犯と思われた「明石」は刑務所の中にいます。
捜査を進めていく上で「ミミ」をナンパしようとしていた男が浮かび上がり、「箕島」は正気を逸した行動に出てしまいます。
読み終えますと、前作を読まなければいけなくなる気を起こさせる面白い展開の319ページでしたが、我慢して第4作目の発売を待ちたいと思います。
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