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今年の読書(10)『相剋』笹本稜平(双葉文庫)

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テレビ朝日系でドラマ化もされている、故<笹本稜平>による人気シリーズ「越境捜査」の第8作目の単行本は2020年10月23日に刊行されていますが、2023年1月15日に待望の文庫本が発売されていますが、シリーズもあと第9作目『流転』(2022年4月刊行)を残すだけになってしまいました。

警視庁捜査一課の「鷺沼友哉」と、神奈川県警瀬谷署刑事課の不良刑事「宮野裕之」を中心とした〈タスクフォース〉は、今回も巨悪に立ち向かいます。 府中競馬場で、「宮野」が何者かに警棒で襲われます。管内で緊急警報があって駆けつけたものの、事件性なしになった一件が原因らしい。金の匂いを感じて調べ始めた「宮野」は、通報のあった「片岡康雄」というカリスマ投資家の家で、犯罪があったのではないかと目を付けます。

「康雄」の父親は、与党の大物衆議院議員でした。さらに片岡家の近くの裏山で、女性の腐乱した首つり死体が発見されます。現場を視た「宮野」は殺人と確信しますが、なぜか神奈川県警は自殺で処理してしまいます。

一方、「鷺沼」の所属する三好班は、大森で起きた殺人事件の帳場に駆り出されます。空き家で発見された男性の白骨死体は、最初病死扱いでしたが、急に殺人と断定され捜査が始まります。やがて女性の死体の身元が「滝井容子」だと分かると、男性の死体は「容子」の兄である可能性が浮かび上がり、ふたつの事件が繋がりはじめますが、神奈川県警と警視庁の上層部の動きが怪しく、捜査に横やりが入り始めます。この事態に「鷺沼」と「宮野」は、いつものメンバーを集めて〈タスクフォース〉を組み、刑事としての一線を越境します。

本書が面白いのは、刑事としての表の捜査と、〈タスクフォース〉の非合法な捜査が同時進行する緊迫感です。表の捜査は、あくまでも正攻法。手掛かりを追い、関係者を当たり、コツコツと事件の構図を明らかにしていきまます。これぞ警察小説といいたくなる面白さです。 しかし事件の背後にいる敵は、あまりにも巨大で、どうやら警察組織の上層部に強い圧力がかけられ、神奈川県警と警視庁のメンツ戦争になりかかったり、捜査本部に内通者がいる可能性が浮かび上がったりと、予断を許さない展開が続き、息を持つかせぬ進行が待ち受け、終盤の畳みかけるような臨場感もたまらず、大いに楽しめた549ページでした。
#ブログ #文庫本 #読書

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