今年の読書(66)『炎天夢』今野敏(ハルキ文庫)
8月
10日
多分野での著作も多い<今野敏>ですが、「安積剛志」警部補を主人公とするこのシリーズは実に巧みに警察組織の上下関係の中での捜査の流れが、個性ある登場人物たちと共に描かれていますので、楽しみなシリーズです。
東京湾臨海署管内で強盗事件が発生しますが、安積の強行犯第一係は、同期の交機隊小隊長「速水直樹」の協力を得て犯人を割り出し、夜明けを待ち家宅捜索を開始、犯人の身柄を確保します。
しかし、徹夜明けの非番となる朝、続けざまに事件が発生、江東マリーナで女性の死体が浮かんだという事件を担当することになります。
被害者は、すぐにグラビアアイドルの「立原彩花」と判明、近くのプレジャーボートで被害者のものと思われるサンダルが見つかります。ボートの持ち主は、「立原彩花」と愛人関係との噂がある芸能界一の大物実力者「柳井武春」でした。
芸能界を取り巻くプロダクションをめぐる問題で、事件を担当する本部長の「白河耕助」が赤坂署長時代に「柳井」の事件をもみ消したという噂がある中、安積班はおなじみの捜査員「須田・黒木・村雨・水野・桜井」たちが、事件の真相を追い求めていきます。