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- 今年の読書(51)『地獄への近道』逢坂剛(集英社文庫)
著者<逢坂剛>といえば、公安警察を舞台とした『裏切りの日日』(1986年7月・集英社文庫)に始まる『百舌』シリーズが、まず思い浮かびます。7作目となる『墓碑なき街』の次に完結篇として『百舌落とし』が(2019年8月)に単行本刊行されていますが、文庫本化を待っています。
さて本書『地獄への近道』は、かって小学校の同級生だった「斉木斉」と「梢田威」を主人公とするシリーズとしてお馴染み御茶ノ水署生活安全課保安二係の迷コンビがおりなす連作短篇が4篇納められています。
『影のない女』では、神保町に新たにできたバー「ブライトン」に、見回りと称してビールを飲みに入ったら、怪しげな女に遭遇、魅かれて後を付けると薬物取引の疑惑が突如浮上してきます。
『天使の夜』では、ラーメンブームにまつわるタウン誌の集金トラブルに始まる、女房を横取りされたヤクザの親分親子のトラブル劇。
『不良少女M』では、女子高生の夜の街での不審な行動をもとに、著者の将棋好きの一面が生かされた〈将棋ガール〉=<絵夢>との顛末、
最後は標題にもなっています『地獄への近道』、著作権の切れたノワール映画の上映にまつわる話題で、映画ファンとしては面白いネタふりに感心しました。
人気ユーモア・ミステリシリーズが5年ぶりにいきなり文庫化された第6弾でした。「笑撃の警察小説です!」が帯のコピーでしたが、<誉田哲也>の重厚な『国境事変』を読んだ後の警察小説としては、軽薄感が拭えない一冊でした。
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