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今年の読書(34)『黄金の時』堂場瞬一(文春文庫)

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堂場瞬一は好きな作家のひとりで、<警視庁失踪課・高城賢吾>シリーズ、<汐灘サーガ>シリーズ、<警視庁追跡捜査係>シリーズ、<アナザーフェイス>シリーズ、<捜査一課一之瀬拓真>シリーズ、<警視庁犯罪被害者支援課>シリーズといった警察物を読み継いできています。

2001年のデビュー作『8年』で、第13回小説すばる新人賞を受賞したのは警察物ではなく、野球の世界を描いています。その後の『八月からの手紙』(2011年6月刊行)へと続き本書はその同系列にある作品といっていいのではないでしょうか。

20年以上かかわりがなかった父が亡くなり、作家である私<本谷要>は、遺品整理中に、マイナーリーグの「サクラメント・ゴルドハンターズ」のユニフォームを着た父<総一郎>の写真を見つけます。日本のメジャーリーグの初めての選手は、<藤原雄大>であり、それ以前の写真であることに作家として息子としても興味を引かれ、記録を調べますが、<本谷総一郎>の名前を見つけることはできません。

厳格で仕事一筋の人生を送り、野球の話などしなかった父。死亡を知らないアメリカ人記者からメールが届き、<要>は父の過去を探り出すべくアメリカに出向いていきます。

父親と息子の対立を根底に野球を通してそれぞれの人生観がキャッチボールを返すように描かれていきます。特に父の目線で描かれていく野球の描写は秀逸で、野球好きの著者をよく物語っていました。

野球ファンには、ぜひ読んでいただきたい感動の一冊です。
#ブログ #文庫本 #読書

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