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今年の読書(2)『勝手にふるえてろ』綿矢りさ(文藝春秋文庫)

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本書『勝手にふるえてろ』の初出は『文學界』2010年8月号、単行本は2010年8月に刊行されています。昨年、<松岡茉優>の主演で 映画化『勝手にふるえてろ』(監督・脚本<大九明子>)され、秋の第30回東京国際映画祭でコンペティション部門観客賞を受賞しています。「ラブコメ史上最もキラキラしていない主人公の暴走する恋の行方を、最後まで応援したくなる痛快エンターテインメント」と評価され、12月23日から一般公開されました。映画のポスターで原作が<綿矢りさ>ということで、『憤死』 以来になりますが読んでみました。

主人公<江藤良香(ヨシカ)>はマルエイ経理課に勤める26歳のOL、中学の同級生・イチ<一宮>を思い続け、妄想は膨らむばかり。中学二年生のヨシカは、教室でイチを見つけた途端好きになった。イチはクラス中でかまわれていたが、ヨシカはある時、イチが一人で憂鬱そうにため息をつくのを見た。だからヨシカは、自分は他の子と違うと思ってもらうために、イチに話しかけないことにした。昼休みに自分の席に座ったまま、イチを視野見(しやみ:見ていることに気づかれないためあみ出した技)で見るだけ。

一方、現実世界では、ヨシカと同じ会社の営業課のニ<霧島>が、ヨシカに告白する。ヨシカは、人生初の告白にやや歓喜しながらも、妄想の中で痛烈に愛するイチと、現実世界で何の魅力も感じない二を比べて、心の中でニに冷ややかな突っ込みを入れっ放しである。

妄想のイチ彼と現実のニ彼の間で揺れ動くヨシカは、ある時思い切って、イチとの再会の場を設ける。ヨシカだけがイチに視線を送らなかったことにイチは気づいていたのか、ヨシカは育て上げてきた愛をイチへ伝えるのか、二人に接点は生まれるのか。
おたく期が長かったヨシカは、妄想と現実を行ったり来たりしていたが、イチとニの存在が自分の中で少しずつ形を変えていくにつれて、現実にある大切なものに気づいていく。

タイトルの『勝手にふるえてろ』は、誰から誰に言い放たれた言葉なのか?そんな疑問を持ちながら読み進めるうちに、ヨシカの心の中で繰り広げられる、妄想や毒舌が面白味を増していきます。
#ブログ #文庫本 #読書

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