『ネプチューンの迷宮』佐々木譲(扶桑社文庫)
9月
30日
海上自衛隊時代は潜水士として海難事故の救助に携わっていた<宇佐美>は、部下を死なせた過去を持ち、日系リゾートホテルでダイバーとして案内役を務めていましたが支配人と意見が合いません。
そんな時、昔一緒に引き揚げ作業を組んだ<赤嶺>から、ポーレア島のゼロ戦引き上げの仕事に誘われ、二人してポーレア共和国に出向きます。
ポーレア島はリン鉱石の採掘収入で国を維持していましたが、あと3年で掘りつくされ、その後をどうするかで別の島に移住する案の前大統領の<トビー・ムーンライト>派と、現地に留まる現大統領<パタオ>派の衝突が顕著になってきていました。
獄中の前大統領の甥が毒殺、<赤嶺>が何者かに銃殺される事件が立て続けに起こり、<宇佐美>は傭兵を使った軍事行動を予測、警察長官<ムンゴク>と殺人犯に間違われた<レボ>と協力の元、島の鎮圧に乗り出します。
赤道直下の小さな共和国を舞台に、日本との密約を絡めながら、果敢に状況の鎮圧を行う警察長官<ムンゴク>達の国際陰謀に絡む活躍が、息をも付かせぬ展開が楽しめた、700ページを超す長編でした。