西国街道沿いに江戸時代から残る旧旅籠「富永屋」(京都府向日市寺戸町)の解体工事が、来週にも始まることが報道されています。保存を願う市民の声を受けて、所有者は存続策を検討してきましたが、市に購入の意思がないことから解体を決断。乙訓地域の文化遺産が姿を消すことになりました。
「富永屋」は、1616年(元和2年)に現在の場所にありました。測量家<伊能忠敬>や江戸幕府最後の将軍<徳川慶喜>も訪れていた旅籠です。町家の遺構を残す現在の建物は1735年(享保20年)の棟札が残っています。
「富永屋」を所有する<須田茂徳>さん(73)は老朽化に伴う多額の維持費などから、昨春に取り壊す方針を決定。公的支援を市に働きかける署名活動など、市民から存続を求める声が上がっており、検討を続けていましたが、向日市は「公有化する財源はなく、購入はできない」とした従来の方針を維持。存続への長期的な方策が見いだせないため解体工事を始めることを決めています。
「富永屋」は、2008年にも解体方針を決めましたが、保存を求める声を受けて計画が中止になっていましたが、この10年間で状況は変わることなく、民間協力も期待できず、修繕費を募っても今後存続できる保証はないとのことでの決断のようです。
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