今年の読書(92)『崩れる心』堂場瞬一(講談社文庫)
7月
2日
主人公<村野秋生>は35歳、一時期は捜査一課の刑事でしたが、ある事故を契機に4年前に「犯罪被害者支援課」に自ら志望して移ってきました。
月曜日の朝、通学児童の列に暴走車が突っ込み児童3人とサラリーマン2人が死亡、犯人はその場から逃亡してしまいます。
サラリーマンの一人は<大住茉菜>32歳で、妊娠7か月の身重でした。
さっそく<村野>は現場に出向き、<茉菜>の主人である<大住宏司>の支援に回りますが、彼は情緒不安定で大きな心の傷を背負ってしまいます。
支援課としてはひき逃げ事件の捜査は関係ありませんが、もう一人のサラリーマン<三田一郎>とひき逃げ犯である<荒木隼人>との間に金銭のやり取りが発覚、ひき逃げ事件から殺人事件の様相を含み、事件は思わぬ方向に進んでいきます。
著者らしい綿密な組み立てで、503ページの長篇ながら一気に読み終えてしまいました。
過去に起こった<村野>自身の事故を伏線に、江東署から初期支援員として応援に入った25歳の<安藤梓>巡査の今後の動向も気になるシリーズになりそうです。