今年の読書(83)『荊の城』サラ・ウォーターズ(創元推理文庫)
7月
4日
「上下」2冊の構成で、各2部ずつに分かれて計4部構成ですが、各部ごとに物語はめまぐるしく替わり、1位となるのも「なるほど」とおもわせる内容でした。
19世紀のロンドンを舞台とする歴史ミステリーで、17歳になる<スー>は下町でスリを生業として暮らしています。
ある日通称<紳士>と呼ばれる詐欺師の<リチャード>が、<スー>と同い年の金持ちの令嬢<モード>と結婚してその財産をそっくり奪い取るために<スー>に侍女として、ロンドンから遠く離れた「ブライア(荊)城」に出向く計画を持ちかけ、<スー>は<紳士>と<モード>の仲を取り持ち始めるのですが・・・。
二転三転とどんでん返しが起こり、結末が見えないまま、読者を最後まで引き付ける力を持った内容で、ロンドンの街をうまく舞台として組み入れていると感心しながら読み終えました。