今年の読書（９８）『ブラック・ローズ』新堂冬樹（幻冬舎文庫）

8月

21日

テレビ会社のプロデューサーであった父親を、自殺に追い込んだ同僚の＜仁科＞に復讐するために、主人公の＜唯＞はテレビ製作会社のプロデューサーとしてベストセラー小説のドラマ化を企画し、＜仁科＞を蹴落とすことに執念を燃やします。

小説の原作者を手なずけ、＜仁科＞のドラマの主演者を横取り、視聴率確保のため偽のスクープを捏造しながら、ひたすら＜仁科＞に対抗してゆきます。

読み手側として、卑劣な行為の＜唯＞なのですが、テレビ業界やプロダクションの裏側をあからさまに描いていますので、妙に「頑張れよ」と応援したくなるキャラクターでもあります。

最高視聴率を稼ぎながら、＜仁科＞が持ち出したスキャンダルな写真で、＜唯＞の企画したドラマは放映中止になるのですが、復讐という私情の為に諦めた恋人との再起を思わす場面で、小説は終わります。

テレビ番組は、内容自体よりも「視聴率」や「スポンサー」、「タレント」優先主義に対する、ささやかなボディーブローの一冊だとして読み終えました。

#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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birdyさんからコメント
投稿日 2012-08-21 21:33

＞内容自体よりも「視聴率」や「スポンサー」、「タレント」優先主義

どの局もジャニタレを主人公にして、変わり映えのしないドラマばかりの最近です。
月9、キムタクだとか。
そろそろねぇ。
SMAPファンですが･･･(^^ゞ

ファルコンさんからコメント
投稿日 2012-08-22 06:39

人気取りの番組ばかりでは、いけないとおもいますが、スポンサーがからむ以上難しいのかな。
原発の問題、竹島などの領土問題等、まじめに取り組むべき課題もあるように思えるのですが、そのような番組は作られないでしょうねぇ・・・。　（苦笑）

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エメラルドさんからコメント
投稿日 2012-08-22 02:59

世の中力関係で捻じ曲げられていることってたくさんありますね。

ファルコンさんからコメント
投稿日 2012-08-22 16:20

いびつな商業主義としては、宿命でしょうかねぇ・・・。
このテレビ業界でも遠回しの言い方で、「行政の力」という遠回しの言葉が使われておりました。
いわゆる上からの圧力を、揶揄したものだと思います。
画家や作家のように個人の業種でも、結局は画商や出版社の関係がありますので、本当にしがらみなく生きるのは、至難のことだとおもえますねぇ・・。