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直木賞受賞作

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直木賞受賞作
昨年の直木賞受賞作は
作者が5年連続でノミネートされ初めて受賞した作品でした。
直木賞受賞作家はそれまでも、
たびたびブラウン管に登場し
ビックマウスと呼ばれ注目を集めていました。
私がたまたま見ていたTVでも
取材を受けながら小説を書くということをやり遂げて自画自賛。
ビックマウスを演じていたのかもしれません。

とにかく、この作家のことがとても気になっていて
書店に並ぶ直木賞受賞作品を手にとっては眺め
古本屋で過去に書かれた作品を見つけては
ペラペラとページを繰ったこともありました。

けれど、なぜか購入するには至りませんでした。

それが、15日金曜日のこと
仲良くしていただいている取引先の方から
「豆腐さん、小説読みますか?」
「はい、読みますよ^^」
とうことで、貸していただいたのが
ずっと憧れ続けていた直木賞作家の直木賞受賞作品でした。

思いがけないところで読む機会が巡ってきました。
これが縁と言うものなのかと思うほど。

小説を読む前に書評などは一切読みません。
帯のキャッチコピーさえも見ずに
先入観ゼロで読みます。

ビックマスはどんな物語を展開するのだろう。
どんな世界にいざなってくれるのだろう。

一気に読みました。

序盤、中盤までは完璧なレース運びでした。
テンポも良く
中盤までは映画化した時のキャストを想像し
わくわくしながら読み進めました。
どんな結末を迎えるのだろうかと
作者になったつもりでストーリーを想像します。

しかし、終盤に差しかかるころから
人物設定に急に違和感を感じる展開になりました。
そんなわけないだろうと、、、
ゴールはそっちですか。と。
急激に失速したように感じました。

そして
共感できないまま最終章となり最終頁となりました。

最後の力を振り絞り
よろけながらゴールに倒れこんできた作者を思い浮かべました。

期待が大きかったからかもしれませんが
疑問符だらけの結末でした。

以下
具体的な批評を書いてますので
白字で書きます。
読んでない方はネタばれになりますので読まないでください。

利根慎一(主人公)
春也に嫉妬心を持っていくあたりの描写は秀逸でした。
でも、
母親が同級生の父親と密会していることで
それだけで殺意を抱くことになるのか全く理解できません。
母親が不幸になったとか特別に嫌な思いをしているとかではなく
不倫でもないし、誰も不幸にはしていません。
むしろ母親は恋をして女を取り戻している様子です。
それは喜ぶべき状況だと思いますが。
息子としては複雑な気持ちで喜べないとしても
殺意を抱くという設定がどうしても理解できません。


葉山鳴海
鳴海はとても母親を慕っているし
母親を殺されたことがを恨みに思っている。
染みついた恨みの感情をどうにかしたいともがいていた。
父親の幸福よりも愛も一人占めしたかった。
それは良いとしても。
結果的には慎一の心ををもてあそんだだけ。
慎一に対する謝罪の気持ちは微塵も感じられない。
「大人になるのって本当に難しいよ」とポツリ言う。
自分のことしか考えていないような、
つまらない魅力のない子で終わってしまった。

利根純江
未亡人の哀愁のようなものがほとんど感じられない。
とても健康的。

利根昭三
昭三の死は不自然だし、意味があるとも思えない。
タイトルのために死んだのか。。。

富永春也
台詞から読み取れる性格は
とてもしっかりした思慮分別を持った優秀な子です。
クラスでは強いリーダーシップを発揮できるでしょう。
友達がいないという設定には無理があります。
親から虐待されても表に出さない強い精神力を持った子です。
内側にストレスがあったとしても決して
陰湿な手紙を書くようなタイプではないはず。
父親との確執をナイフで脅すというだけで
いとも簡単にクリアしてしまう。
この描写には、わずか2ページ。
書こうと思えば20〜30ページは書けるだろうに。
書いたとしてもとても陳腐で安易な展開だから
あえて書かなかったのかもしれない。
言い残した言葉は「大人も、弱いもんやな。」

彼も最後は慎一に対してはとても冷淡だ。
慎一は作者の分身だと思う。
作者が伝えたかったことは”人の世は無常だ”
そのことだろうか。

ヤドカミ様
こっくりさんしかり、子どもは神秘体験に興味があるし
感受性も高いし信じる気持もある。
ヤドカリの赤ちゃんを育む気持ちがあっても
炙って殺す残虐性も併せ持つ、それは子どものならでは。
あの子たちはそんな無邪気な普通の子どもの精神じゃないと思う。

それにしても
最後のグダグダはなんなのだろうか。

鳴海の父親を殺して欲しいとヤドカミ様に願い。
その日が来て夜になって
願いが叶うと想像をめぐらして興奮していたところに
突然、鏡に映るグロテスクな顔をした少年(自分)が現れ
恐怖に覆い尽くされてしまう。
突如、思い直してヤドカミ様の殺人阻止に走り
鳴海の父親が運転する車に激突してしまう。

これがクライマックスか。。。

唐突に果物ナイフが登場し
ナイフが春也を救う。

なんとかしてゴールしなきゃという
作者の焦りすら垣間見えてしまった。

作者は直木賞の受賞後にインタビューで
小説家になった理由として
「自分が読んで面白い小説を自分で書いてやろうと思った」
的なことを言っていた。
世の中に面白い小説がないから自分で書くと言わんばかりに。

マスターベーションのように
一人で書いて一人で読めば良いんじゃないか。
とまで思いました。

でも、描写力、文章力にはすばらしい才能を感じます。
この小説だって
あと500ページ書く気になれば
もう少し違う仕上がりになったかもしれないのに
と思いました。

読ませていただき、ありがとうございました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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Toshiaki Nomura
Toshiaki Nomuraさんからコメント
投稿日 2011-04-17 22:26

この作品自体は読んでいないので、
直木賞、芥川賞について思うことを書きます。

しばらく前に賞を取ったという作品を読みましたが、
とても内容的に賞に値するとは思えませんでした。
どの作品とはいいませんが、
とにかくくだらない内容を、
延々と言葉のやりくりでつないでいくのです。
その後、賞を受けた人たちの何人が今も活躍してるでしょうか・・・。

この二つの賞には疑問を感じています・・・。 

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豆腐
豆腐さんからコメント
投稿日 2011-04-18 08:38

Toshiaki Nomuraさん♪いつもコメントありがとうございます^^
そうですね。
選考委員の基準による評価ですしね。
選考委員の書評(抜粋)を見てみます。
伊集院静
「大人の私たちが忘れかけていたもの、喪失したものを少年、少女の視点で実にあざやかに呼び覚ませてくれた。」「これまで氏の少年を描いた一連の作品ではストーリーテールに依り過ぎて人間の葛藤・内実から筆が逸れがちだった。しかし本作品はそれを見事クリアーしている。作者の成長であろう。」「私はこの作品の表現に先鋭的なものを感じた。」
林真理子
「作品的には決して評価が高くなかった。(引用者中略)少年のつくり上げる世界はもともと狭く、独得の価値観を持つものであろう。それでも大人の読者の心に響く普遍性を持たなくては、小説として成立しないはずだ。それでも私は最終的には、木内氏と道尾氏との二作受賞を推した。それは道尾氏が広範囲な読者を獲得し、現代の小説シーンに欠かせない人だと思っているからである。」
阿刀田高
「木目細かい、入念な筆運びにはなんの不足もない。ただ、あえて言えば、この作家のトリビアリズムと韜晦の傾向は(私にはそう感じられるのだが)小説のよりよい展開にとって本当に必要なことなのだろうか。」「文学観のちがいを感じないでもなかったが、つねに平均点を越える作品をたずさえて連続的にこの賞の候補となった実力には、やはり敬意を表すべきだろう。」
宮部みゆき
「大人の視点を排し、慎一(引用者注:少年)にすべてを託して複雑な人間関係と母親の恋愛を描くのは、大胆な挑戦でした。そのチャレンジングな姿勢が今回の御受賞を引き寄せたのだと思います。」
桐野夏生
	「作者の凄みは、少年の愛と憎しみが、少年を取り巻くすべての人間に向けられていることだ。むしろ、「愛なき世界」の侘びしさでもある。そこが安易な既視感を排除する、太い縦糸となっている。しかし、三人の少年少女の「枠内」を描こうとするあまり、フレーム外の世界が乱暴に省かれたり、都合よく描かれているところが気になる。」
宮城谷昌光
	「今回の候補作品のなかで、文体への配慮がなされているものは、(引用者中略)『月と蟹』だけであるとみた。しかし、この作品は、極端にいえば、自問自答集である。」「描写のこまやかさが精彩をもたない。さらに子供たちが独自に作る世界も、ほんとうの独自性をもっておらず、おどろきがない。」「それはそれとして、道尾氏の小説が候補作品となる回数はふえた。そろそろ直木賞というステージを通過させてあげたい。」
渡辺淳一
	「なんとも内攻的で独善的すぎる。」「もう少し視野を広げて、自分と同年齢に近い大人の内面へ肉薄するような小説を書けないものなのか。部分的に感性の鋭さがあったとしても、現実の人間への迫力は薄く、ご都合主義で軽すぎる。」
浅田次郎
「ここ数作が同工異曲に思えて、辛い評価を与えた。登場人物の性格が道徳的教条的で毒がない。もしや伝統的な、少年時代を描く抒情小説を狙ったのかと思ったが、それにしては主人公の孤独感に迫るものがない。」「また、この作者の資質は、短篇において十全に発揮されるように思えた。」
北方謙三
「煮つまってきた小説だが、子供の視点を動かさなかったところで、世界はあやうく均衡を保ち、凡百の少年小説から一頭地を抜けた。ただ、暗く、重く、歪みすぎてもいる。」「私は『月と蟹』に丸をつけて選考に臨み、結果として二作受賞ということになった。甘い選考だった、とは思っていない。」
と厳しい評価もありながらの受賞だったわけですね。

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Toshiaki Nomura
Toshiaki Nomuraさんからコメント
投稿日 2011-04-18 09:03

この書評を読む限り、
果たして直木賞受賞に本当に適していたかどうか、
疑問に思いますね・・・。

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豆腐
豆腐さんからコメント
投稿日 2011-04-19 08:09

Toshiaki Nomuraさん♪いつもコメントありがとうございます^^
そうですね。
「受賞作なし」でも良いと思うのですが
出版不況でそうもいかない事情があるのかもしれませんね。。。

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birdy
birdyさんからコメント
投稿日 2011-04-20 07:37

ちょっと複雑そうですね。
白文字、力作でした。(^_^)v

映画化した時のキャスティング、面白いですんえ。
主人公はどなたがお薦めですか?

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豆腐
豆腐さんからコメント
投稿日 2011-04-21 08:41

birdyさん♪いつもコメントありがとうございます^^
長文お読みいただきましてありがとうございます^^
主人公は小六なのですが配役は二宮和也です。。。
選んでおきながら
実はあんまり好きな俳優ではないののですが^^;

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birdy
birdyさんからコメント
投稿日 2011-04-21 16:47

わたしは嵐もすきなんですが(SMAPファンです)、ニノは一番苦手です。

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豆腐
豆腐さんからコメント
投稿日 2011-04-22 08:46

birdyさん♪いつもコメントありがとうございます^^
二ノのことをよく知っているわけではないですし、
TVで見る限りですが、私もやっぱり苦手です^^;
裏がありそうなところでしょうかね。。。

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ハッピー
悲しい
びっくり