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神戸:ファルコンの散歩メモ

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  • ハッシュタグ「#エッセイ」の検索結果997件

今年の読書(47)『歪 捜査一課・澤村慶司』堂場瞬一(角川文庫)

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今年の読書(47)『歪 捜査一...
長浦市の大学4年生の<日向毅郎>は、振り込め詐欺グループのリーダーとして、次なる事業の展開を図るべく動いていましたが、銀行のATMから金を引き出す役の<氏原>は警察に目を付けられたことにより殺害してしまいます。

逃走資金として、振り込め詐欺で儲けた現金を、東北の雪深い実家に隠していたのを取りに戻った時に、偶然高校の同級生<井沢真菜>と駅で出会い、<真菜>も長浦市に住んでいるとのことで、同乗して帰ることになりまが、<真菜>も2歳の娘を凍死させ交際中の男を刺殺していました。

無関係に思われた殺人事件ですが、県警捜査一課の<澤村>は、刑事の感で二人の実家のある東北へと足を向けていきます。
前作 『逸脱』 から引き続いて登場する上司の<谷口>一課長、情報統計官<橋詰真之>、初々しい女性刑事<永沢初美>等の脇役がいい存在感でもって描かれています。 

虚無的な殺人者の性格と、それを追う刑事たちの推理が交差しながら物語は展開、残りのページが少なくなるにつれてどのような結末で終わるのかと、楽しめた一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(46)『少女』湊かなえ(双葉文庫)

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今年の読書(46)『少女』湊か...
女子高の2年生に転校してきた<紫織>から、親友の自殺を目撃をしたことがあるという告白を聞いた<由紀>は、死体ではなく人が死ぬ瞬間を見てみたい考え始めます。

<由紀>の親友<敦子>は、中学生の時に剣道の全国大会で優勝するほどの実力者でしたが、足のけががもとで推薦入学であこがれていた高校を諦めて<由紀>と同じ女子高に入学していますが、死体を見ればもう一度強い自分になれるのではないかと考えます。

夏休みを利用して、<敦子>は老人施設のボランティア、<由紀>は小児病棟の慰問ボランティアと、それぞれ死の瞬間に立ち会いたいという願望を隠して出かけていくのですが・・・。

何気ない登場人物たちが、思わぬところでつながってゆく構成は見事としか言いようがなく、まさに<湊かなえワールド>が楽しめ、現代女子高生の<怖さ>を感じさせる生態を描き切っています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(45)『ようこそ、わが家へ』池井戸潤(小学館文庫)

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今年の読書(45)『ようこそ、...
物語の導入部は、「倍返しだ!」で有名になった<半沢直樹>の著者かなともおもえぬ、ホラーチックな始まりでした。

主人公<倉田太一>はある夏の日、駅のホームで割り込み男に注意したのがきっかけで、正体不明の男の嫌がらせが始まります。
妻が世話していたダリアの花壇は荒らされ、郵便受けには瀕死の子猫が投げ込まれたりと不審な出来事が起こり、家の中から盗聴器が見つかるなど、親子4人の穏やかな日常が乱されていきます。

かたや銀行に勤める<倉田>は、定年を目の前にして電子部品会社に総務部長として出向、営業部長が取引に関して不正を働いてる事実を、部下の<西沢摂子>と追及してゆくのですが・・・。

家庭を見知らぬストーカーから守り、会社では出向者という肩書で孤軍奮闘する<倉田>の行動に応援をしたくなるほど、中盤からラストまで<池井戸>らしい構成で盛り上がり、最後までページをめくる手が止まりませんでした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(44)『いつか響く足音』柴田よしき(新潮文庫)

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今年の読書(44)『いつか響く...
物語は、いまや駅から遠く古臭い環境になってしまっている、昭和40年代に建てられた団地が舞台です。

ある日サラ金ローンで夜逃げしてきたキャバクラ嬢の<絵里>は、高校の同級生で中退した<朱美>の部屋に転がり込んできます。

団地にはそれぞれの人生の過程で、最愛の夫や妻を不慮の事故や病気で亡くした高齢者たちが、ひとり寂しく人生の思い出をかみしめながら生きてゆく姿が、6話の連作短篇として納められています。

<人生の明日にいったい何が待っているのかは、誰にも予測できない>との文章が出てきますが、それだからこそ前向きに生きなければという著者のエールを感じ、また人間関係がいかに大事かを知らしめてくれる心温まる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(43)『限界集落株式会社』黒野伸一(小学館文庫)

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今年の読書(43)『限界集落株...
町の再生を描いた<楡周平>の 『プラチナタウン』 や、生まれ故郷の町長となり村の再生を描いた<佐々木譲>の 『カウントダウン』 と同様に、過疎化の進んだ「止村」の再生を描いたのが本書です。

自分の会社を興すためにIT企業を辞めた<多岐川優>は、一時の骨休みのために祖父の故郷「止村」に出向きますが、村は過疎化と高齢化の進んだ限界集落でした。

このままでは故郷の村がつぶれると考えた<優>は、地元の農家の<正登>・<美穂>親子と一緒になり、村の農業を経験してきたビジネス能力を駆使して生き残りを計ろうとしますが、途中大きな困難もあり、ハラハラドキドキの展開が広がります。

都会から逃れ、農業研修にてきたいた若者三人組などもいいキャラクターとして脇役を務め、461ページを一気に読ませる内容で、まさにワクワク感一杯の一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(42)『思い出のとき修理します 2』谷瑞恵(集英社文庫)

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今年の読書(42)『思い出のと...
前作を読みました 『思い出のとき修理します』 の続編です。

祖父から受け継いだ「津雲神社通り商店街」の時計店には、<思い出の時 修理します>と、「時計」の「計」の文字が取れたプレートが飾られていましたが、孫の<秀司>はそのままにしています。

前作では、失恋の痛手で亡くなった祖母の「ヘヤーサロン由井」に移ってきた<明里>でしたが、<秀司>に心癒され今では恋人同士です。

4編の時計修理に関わる物語が納められていますが、家族や姉妹たちの大切な人生の思い出を、壊れた時計を通して修復していく語り口は、どれも切なくて心温まります。

時計の仕組みに例えた、<歯車はひとつでは意味がない。ふたつ、三つと噛み合って、複雑な仕組みを動かす>という言葉が、人間関係そのもので心に残りました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(41)『黒猫の遊歩あるいは美学講義』森晶麿(ハヤカワ文庫)

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「ミステリの女王」と呼ばれた<アガサ・クリスティー>の生誕120周年を記念して、2010年に創設された「第1回アガサ・クリスティー賞」を受賞した作品です。

主人公は24歳で大学教授の<黒猫>と呼ばれている美学理論を駆使する天才で、同じ大学の研究室にて「エドガー・アラン・ポオ」を研究している博士課程の女性が「付き人」として登場します。(ポオは、著者が文中で使用されている表現で「ポー」との表記もあるとおもいます)

6話の短篇構成ですが、謎解きの過程で持ち前の美学の理論を駆使しながら「アラン・ポオ」の作品を分析、日本文学から映画の世界など、著者の博識な知識が繰り広げられています。

「付き人」の<黒猫>に対する淡い恋心も伏線として描かれており、クリスティー賞にふさわしい内容でした。
続編も単行本として出ているようで、文庫本化されるのが待ち遠しくなる<黒猫>シリーズです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(40)『さよなら、ベイビー』里見蘭(新潮文庫)

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主人公<佐藤雅祥>は、17歳の時に母親を癌で亡くしたショックから自殺未遂を犯し、21歳になっても家に引きこもりの生活を続けています。

そんな折、父親がひとりの赤ん坊<タカヤ>を家に連れてきて、知り合いが海外旅行に行く間あずかることになったということで、3人の生活が始まりますが、突然父親が病死、<雅祥>は赤ん坊の世話を焼くことになります。

どこの赤ん坊か分からないまま従姉妹の<しーちゃん>の力を借り、迎えの来る日まで世話をする<雅祥>ですが、当日になってもどこからも連絡がありません。

<雅祥>の子育ての奮闘を描きながら、流産で子供を産めなくなった夫婦、母子家庭の中学生<成美>の妊娠等、出産に交わる話しが平行して進み、やがてひとつのドラマとして完結、心温まり胸に染みる読後感が残る一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(39)『モルフェウスの領域』海堂尊(角川文庫)

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本書は、デビュー作の『チーム・バチスタの栄光』以来、海堂ファンにはお馴染みの登場人物たちが脇を固めていて、面白く読めました。
また同じ著者の前回に紹介した 『マドンナ・ブェルデ』 に出てくる<曽根崎伸一郎>や、娘の代理出産をした母親<山咲みどり>が産んだ<薫>が登場するなど、ニヤリとさせられる場面が盛り込まれています。

物語は、桜宮市(海堂の架空の都市)に新設された未来医学探究センターを舞台として、網膜芽腫という病気で右目を摘出された9歳の<佐々木アツシ>は左目も同じ病気に侵され、世界初の「コールドスリープ」の技術でもって、特効薬の開発を期待して5年間の「凍眠」に入っています。

「凍眠八則」の法律に基づき、<アツシ>のお世話を毎日している<日比野涼子>は、少年が目覚める際に重大な問題が起こることに気付き、ひとり対策を練っていきます。

コンピューターで制御される「凍眠」を通して、人を守るべきはずの法律や制度が、逆に人を縛るとういうときにどう立ち向かうのか、人間の尊厳と倫理を考えさせられる医療ミステリーでした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(38)『マドンナ・ヴェルデ』海堂尊(新潮文庫)

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今年の読書(38)『マドンナ・...
な読み終わった後、解説者が女優の<松坂慶子>さんで、すでに彼女が母親<山咲みどり>役でNHKのテレビドラマ(2011年4月19日~全6回放送)になっていることを知りました。

産婦人科医<曽根崎理恵>は自分の妊娠の再、「双角子宮」という病状で子供を産めない体ということを知ります。
夫<曽根崎伸一郎>はアメリカの大学に教授として単身赴任、感情的な交流もなく夫婦という書類上の関係でも構わないという性格です。

<理恵>は自分の55歳の母親<みどり(ヴェルデというのは「緑」という意味です)>に代理出産の依頼をし、自らの手で卵子を母親の胎内に着床させます。
日本の法律では、精子や卵子が誰のものであろうと「産んだ女性」が「母親」という法律が規定されていますが、<理恵>は論理的にそれはおかしいという考え方の持ち主で、代理出産で生まれた子供たちを踏み台に世間に知らしめようと目論んでいました。

<帚木蓬生>の男性の妊娠実験の 『エンブリオ』 や、<樹木信>の死んだ子供のクローン人間を産もうとする 『陽の鳥』 などと同様に、医学的に倫理的に生命とは子供とは何かを問う一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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