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- 今年の読書(19)『歩道橋シネマ』恩田陸(新潮文庫)
この『歩道橋シネマ』は、『図書室の海』『朝日のようにさわやかに』『私と踊って』に続く、著者にとって7年ぶりの4冊目となる(連作を除く)短篇集です。〈小説新潮〉に発表した11篇を中心に、全18篇が収められています。
SFもファンタジーもホラーもミステリも青春小説も自由自在に書き分ける多彩な技量の持ち主なので、どんな話になるのか、書き出しからはまったく結末が想像できないのが特徴として、どの短編も読者の〈思い込み〉を巧妙に利用していて、こういう小説だなと決め込んで読んでいますと見事に足をすくわれる作品が楽しめます。
個人的には『球根』・『楽譜を売る男』・『降っても晴れても』など、ブラックユーモア系が秀逸でした。
ニタリとする各編の感想はネタバレになってしまいますので、省略させていただきます。興味ある方は、巻末の著者あとがきとして、作者自身により18編の短いコメントが掲載されていますので参考にして、驚きの感覚を味わってみてください。
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