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今年の読書(61)『罪なき子』小杉健治(双葉文庫)

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本書『罪なき子』は、2018年6月に双葉社より単行本が刊行され、2021年6月13日文庫本として発行されています。

著者<小杉健治>には、弁護士「鶴見京介」を主人公とするシリーズ『結願』などがありますが、本書も弁護士「水木邦夫」を主人公に据えています。法曹界物の法廷内での検事側との丁々発止のやり取りはなく、被告人との接見を通して、事件の真相を求めていきます。

東京都美術館のホールで凄惨な通り魔殺傷事件が起こります。「片瀬洋平」が次々と人を襲い、男女二名を刃物で殺害し、警備員等二名を傷つけて逮捕されます。
「片瀬」は22年前に強盗殺人事件を起こし死刑が執行されている「宗像武三」の息子で、加害者家族への嫌がらせのため、生きる希望を失い「国家が代わって私をころすべきだ」と犯行に及んだと供述しているのでした。

「片瀬」の事件への動機に興味を抱いた「水木邦夫」弁護士は、{ひとは本当に死刑になりたいために他人を殺せるものなのか、ひとを平気で殺せる人間が、なぜ自分で死ぬことができないのか}と興味を持ち、国選弁護人を断っている「片瀬」の弁護を無償で請け負うのでした。

事の発端である22年前の強盗殺人事件と絡み合わせて、{死刑判決が確定したときに、何かを仕掛けるのではないか}という疑問が付きまとう「水木」弁護士の地道な調査が始まります。
#ブログ #文庫本 #読書

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