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- 今年の読書(10)『夏の雷音』堂場瞬一(小学館文庫)
著者<堂場進一>の作品としては、警視庁の刑事<鳴沢了>や<高城賢吾>・<一之瀬拓真>などを主人公に据えた警察シリーズや、新聞社勤務を生かした『虚報』 ・ 『異境』 ・ 『警察周りの夏』 などがお気に入りですが、今回の『夏の雷音』の構成は、今までの作品と一線を引く意外な内容でした。
古書の町として有名な神田神保町は、アウトドアや楽器の町としての側面を持ち、主人公は明王大学法学部准教授<吾妻幹>は、後輩のギター楽器店店長の<安田>から、アメリカのオークションでヴィンテージギター「ギブソン『58』」を1億2千万円で競り落としたのだが、盗まれたという相談を持ちかけられますが、その<安田>が殺されてしまい、先輩刑事<敦賀>に疎まれながらも事件の真相に乗り出します。
生まれ育った神田神保町の細かい街並み描写や、実在店舗と思われるカレー店・喫茶店・鰻屋などや、火事にあった神田「やぶそば」までも登場してきます。そういえば1959(昭和34)年創業の天丼「いもや」さん、この3月で閉店とか。
読み進むにつれ、殺人事件の背景となるヴィンテージギター業界やオークションの裏側、ギターにまつわる世界が浮き彫りにされていきます。
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