『月蝕の窓』<建築探偵 桜井京介の事件簿>篠田真由美(講談社文庫)
1月
2日
『未明の家』(1994年4月:講談社ノベルス)を第一作目として、本書で10作目、番外編を除けば本編として8作目に当たります。
栃木県那須に明治時代に建てられた洋館「月映荘」を舞台として、物語は進みます。
過去に「印南家事件」として二人の女性が「月映荘」にて殺害され、未解決事件として時効を迎えようとしています。
<桜井京介>は、この建物調査に関わり、昔の未解決事件に首を突っ込むことになりますが、殺人現場の当時の生き残りの<印南茉莉>の記憶を中心として、屋敷にまつわる女たちの悲しみと苦しみ、涙と血の歴史にはまりこんでいきます。
いつもは冷静な<桜井>ですが、本書では独り舞台的な視線で物語が展開、建築的な時代考証の部分も少なく、一味変わった構成で楽しめました。