今年の読書(118)『サマーサイダー』壁井ユカコ(文春文庫)
8月
25日
<三浦>は、夜盲・狭窄症の持病があり、将来は失明するかもしれない不安を抱えながら、また<恵悠>は、バレーボールの推薦入学で私学の高校に入学したのですが、レベルの高さに付いて行かれず、夏休みを前に部活に出なくなっていました。
そんな3人に対して<松沢千比呂>先生から、使われなくなった体育用具を寄贈するため、ボランティアの掃除係の声がかかり、3人は久しぶりに夏休みに中学校に出向くことになりますが、<松沢>自体にもある考えがあっての呼びかけでした。
それぞれの悩みを隠しながら、一見三角関係の青春恋愛物語かなと読み進むにつれて、「蝉」にまつわるホラー的な展開が始まり、1年前の夏休みに起こった担任<佐野青春>の変死事件と物語は絡んでいきます。
十代の思春期の男女の心の機微を主軸に、「蝉」に関連するブラックユーモアを横糸に、1年前の夏休みの出来事を再現させていく展開に戸惑いを感じながらも、予測できない結末に最後まで面白く読み終えれました。