『空ばかりみていた』吉田篤弘(文春文庫)
1月
10日
本書の主人公<ホクト>は、高校を卒業すると父親の散髪店を継ぐために理容学校に入学、さらに腕を磨くためにフランスに留学しますが、そこで高名な女性パントマイミストに出会い、弟子として修業している途中、父親が急逝したために日本に戻ります。
一時的に父親の理容室を引き継いでいましたが、ある日を境に<ホクト>は、店を持たない理髪師として好きな時に好きな所に赴き、好きな人の髪だけを切る旅人として世界中を巡る旅に出てしまいます。
本書には12篇の短篇が納められており、<ホクト>が係る先々での出来事が描かれ、最後の章で<ホクト>が父親の理髪店を飛び出した理由が明かされて締めくくられています。