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- 今年の読書(68)『オ-シティ』木下半太(新潮文庫)
大阪市は7年前に多額の負債を抱えてしまい、「カジノ」導入で俄然と収入は増えましたが、街はギャングや売春屋がはびこる無法地帯になってしまっています。
世界から集まるギャンブラーは、「オーサカシティ」を縮めて「オーシティ」と呼んでいます。
主人公は自称「絵本探偵」の<羽田誠>で、「死神」と呼ばれている悪徳刑事<愛染>から、闇金の取り立てができないときに相手の耳を切り落とすことから「耳切り茶谷」と呼ばれる<茶谷新一>が切り落としたインド人<サミー>の耳を探せと強要されてしまいます。
<羽田>は<茶谷>の彼女<小蘭>が隠していると出向くのですが、逃げられてしまい、見つけなければ<愛染>に殺されるのがわかっているだけに、必死のドタバタ活動が展開していきます。
<羽田>は2年前に離婚していますが、窮地になるたびに分かれた「妻」の言葉を思い出すのですが、これがいい伏線になり、最後に読者をニンマリとさせてくれますし、小説全体の構成も5章に分かれ、各登場人物の目線から物語を語る手法は、見事でした。
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