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- 今年の読書(63)『名のないシシャ』山田悠介(角川文庫)
読みながら思い浮かべていましたのは、<高野和明>著の 『幽霊人命救助隊』 です。
これは地獄と天国の境目にいる幽霊4名が、自殺志願者を100名助けると、無事に天国にいけるというお話しでした。
この『名のないシシャ』にも、外見は10歳にしか見えない4人の男女の「使者」が登場、それぞれ約3年間分の寿命を延ばせられる力を持ち、使い切ると自らは消滅してしまいます。
外見の10歳の姿はいつもでも変わらず、この世に派遣されて50年以上経つのですが、いまだ命の時間を与える人物に出会わない「名無しの使者」たちも、それぞれ出会った相手から<テクちゃん>、<心美(こころみ)>、<直哉>と名を付けてもらうのですが、一人<黒いネックレスの少年>だけは、人間に対して心を開けることができずにいました。
ひとりの余命を変えることで、これまた誰かの運命を狂わすこともあり、<むやみやたらに人の運命を変えてはいけない>という戒めが、心に残る一冊でした。
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