今年の読書(126)『ミレニアム3』スティーグ・ラーソン(ハヤカワ文庫)
10月
24日
『ミレニアム2』のラストで、読者を奈落の底に落とす結末ですと紹介しましたが、実の父親である<ザラチェンコ>に頭を撃たれた<リスベット・サランデル>ですが、奇跡的に一命を取り留めます。
病院で拘束状態の中、秘密裏に亡命者<ザラチャンコ>を隠ぺいしていた公安警察内部の秘密の組織「班」は、憲法違反であることを知りながら違法行為を繰り返し、さらにまた<リスベット>を陥れようと動き始めます。
小説の体裁はミステリーの範疇ですが、国家を食い物にする資本主義社会の矛盾、ジャーナリズムの本質、女性蔑視の社会性、人身売買といった大きなテーマが並行して書かれ、物語の展開に彩りを添えている読み応え十分のシリーズです。