今年の読書(98)『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』村上春樹:文藝春秋
8月
4日
主人公<多崎つくる>は、名古屋の高校時代にボランティア活動で知りあった仲間<赤松慶><青梅悦夫><白根柚木><黒埜恵理>のと仲良く交際を続けるなか、突如大学2年生の時にグループからのけものにされてしまう過去を背負っています。
何が原因か分からないまま、苦しさを乗り越えなんとか自殺に走ることもなく、無事に東京の大学を卒業、憧れの駅の設計者として東京で暮らし、わだかまりがある名古屋に戻ることもありません。
旅行会社に勤める2歳年上の<木元沙羅>と交際中の<多崎>は、彼女から「まだその時のこだわりが心の中にある」との指摘を受け、16年経た今、かっての仲間に会いに出かける決心をし、真相を求めに名古屋に出向いていきます。
色彩の文字が付く4人の仲間ですが、<多崎>だけは名前に色の文字がありません。絵の具のように、混じり合えば元の色がなくなるように、人間の心の模様も変化するさまの象徴として登場していると考えられますが、学生時代の2学年下の<灰田>や、<沙羅>との関係も中途半端な感じな終わり方で、消化不良が残りました。
投稿日 2013-08-09 17:22
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2013-08-10 17:35
ワオ!と言っているユーザー