《雅羅・/・襍〝備忘録24-35〟❖ ’24-274 ❖》

ハンカイシオガマ(樊會塩竃) ... ハンカイシオガマ(樊會塩竃) ゴマノハグサ科(Pontederiaceae) 
学名: Pedicularis gloriosa Bisset et S.Moore
別名:ハンカイアザミ
初秋の山道、林縁で目立つ花。草... 初秋の山道、林縁で目立つ花。草丈は30~90cm。
花は長く伸びた茎の先に穂状につく。
山地の木陰や林縁に生える多年草。
葉は対生し大きな根出葉が下部にまとまってつく。
葉身は卵形又は広卵形で羽状に全裂(羽状複葉)し、
裂片は不規則に深く裂けて尖った鋸歯がある。
葉身は10~30cmで15cm位の柄がある。
花は長く伸びた茎頂に付く。
枝先の葉腋から分枝した枝に複数付き、
花冠長さ2.5-3cm。
上唇は舟形で下面に毛があり下唇は先端が3裂。
萼は5裂。

ハンカイシオガマはフォッサマグナ要素の植物で、
富士山周辺にだけ分布し、
神奈川県では 丹沢、箱根のブナ帯に分布する。
シオガマギク属の中でも特に背が高く、
花は長く伸びた茎の先に穂状につく。
火山活動が盛んだった頃、火山灰に埋もれないよう、
花柄を長く伸ばして実を結んだと考えられる。
大型の羽状複葉は下部に集まり、
小葉が更に羽状に切れ込む。
縁が丸い鋸歯でふくよかな風合いを醸し出している。
また半寄生植物と聞くが、数が少なく希少種である。
※     ※
フォッサマグナ要素とは;
植物の分布状態は気候や土壌、
地質学的歴史などにより決まってくる。
フォッサマグナ(糸魚川~静岡構造線の東側の地溝帯)の
南半分の地域に限られた分布をする
植物群のことをフォッサマグナ要素と呼ぶ。
フォッサマグナ要素の植物は、
新生代第四期(約300万年前~現代)の激しい気候変動と
火山活動という環境で分化した種類とされている。
フォッサマグナ要素には以下のものがある。
イワシャジン、ハンカイシオガマ、フジアザミ等。
寄生植物;
通常植物は葉緑素を持ち、太陽光のエネルギーを使って
水と空気中の二酸化炭素から炭水化物を作り出す(光合成)。
この能力から植物は「生産者」と呼ばれ他の生物と区別される。
ちなみに動物は「消費者」と呼ばれる。
しかし中には葉緑素を持たず、
他の植物(宿主)から養分を得ることにより生活する植物がある。
これらの植物を寄生植物と呼んでいる。
自分でも葉緑素を使って光合成を行うが、
不足する養分を宿主から補うものもあり半寄生植物と呼ばれる。
寄生植物、半寄生植物ともに根を他の植物体の中に進入させ
養分(炭水化物など)を吸収する。
寄生植物、半寄生植物には以下のようなものがある。
【寄生植物】:ギンリョウソウ、ツチアケビ
ナンバンギセル、ヤマウツボ
【半寄生植物】:イチヤクソウ、ウメガサソウ、キンラン、
ギンラン、コシオガマ、ササバギンラン、サイハイラン、
ハンカイシオガマ、ヤドリギ


《 山間の秋花〝樊會塩竃〟 ❖ 9月~10月上旬 ❖  》
**神奈川県植物誌** (2)... **神奈川県植物誌**
(2)ハンカイシオガマ Pedicularis gloriosa Bisset & S.Moore in J. Bot. 15:
295 (1877) の基準産地は大山(Bisset)多年草.
花茎は斜上して高さ 30~90cm,
大型の葉が基部に集まり,羽状に分裂する.
長い花茎を出し,分枝する
枝の先に短い花穂をつくり密に花をつける.
本州(東海地方~関東地方)に分布.
ブナ帯の林縁に生える.
県内では丹沢のブナ帯にはやや普通であるが,箱根には少ない.
丹沢山地の蛭ヶ岳周辺、表尾根・... 丹沢山地の蛭ヶ岳周辺、表尾根・行者ヶ岳周辺で観られた花。
今も元気に咲いているだろうか。


「令和陸年(皇紀2684年)9月30日、記」
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《雅羅・/・襍〝備忘録24-34〟❖ ’24-273 ❖》

セキヤノアキチョウジ(関屋の秋... セキヤノアキチョウジ(関屋の秋丁字)シソ科(Lamiaceae)
学名:Isodon effusus (Maxim.) H.Hara
葉は対生、長さ5~15㎝の長楕... 葉は対生、長さ5~15㎝の長楕円形で先が長く尖り短い葉柄がある。
茎頂の総状花序に多数の花を片側に向けてつける。
花は長さ約20㎜、幅5~6㎜の唇形、花柄は長さ10~25㎜で無毛。
萼は小さく5個の萼歯が尖る。果実は4分果。分果は長さ1.5~2㎜。
似かよった花々との見分け方; ... 似かよった花々との見分け方;
*セキヤノアキチョウジ:花色は青紫、葉が長細く、
 長い花序にたくさんの花が並ぶ。
*ヤマハッカ:花色は青紫、葉は広卵形で先が尖り、
 上の花びらには縞模様がある
*イヌヤマハッカ:花色は紫、葉は広卵形で先が尖り、
上の花びらには縞模様がない
*カメバヒキオコシ:花色は紫、葉が亀の形に似る
*ヒキオコシ:花色がわずかに紫がかった白、
 葉は広卵形で先が尖る
アキチョウジより花が長く、葉が細長い。
関屋とは関所の建物こと。
関所で名高い箱根に多い事で付いた名前。
またチョウジは、花の形が丁の字に見えることから



《  山間地の秋花〝関屋の秋丁字〟 ❖ 9月 ❖  》
*神奈川県植物誌** (3)セ... *神奈川県植物誌**
(3)セキヤノアキチョウジ
Isodon effusus (Maxim.) H.Hara; Plectranthus longitubus Miq. var. effusus Maxim. in Bull. Acad.
Imp. Sci. St.Petersb. 20(3): 451 (1875) の基準産地は箱根
多年草.茎は高さ 70~100cm.葉柄は長さ 0.5~2cm.
葉身は長楕円形または披針形,長さ 5~15cm,幅 2~5cm,
先端は鋭く尖り,上面には軟毛が生える.花は 9~11 月.
花柄は無毛で柄は長く開出するため花序の幅が広い.
花冠は青紫色.萼裂片は細長い.
本州中部の太平洋側(栃木県~愛知県)に分布する.
県内では丹沢,箱根,小仏山地に分布するが,
多摩丘陵の川崎市高津区蟹ヶ谷
(1998.10.10 武井尚 KPM-NA0114331)でも採集されている.
シイ・カシ帯~ブナ帯までの丘陵~山地の樹林内や林縁に生える.
花名は、昔の箱根の関所、番小屋... 花名は、昔の箱根の関所、番小屋近くで多く見かけた事、
それ故で、冠にセキヤをつけたアキチョウジの意に由。
アキチョウジは西国に分布し、
神奈川県内に自生があるのは、この箱根に多い。
丹沢や箱根にも自生してるが、その他平地では栽培種のみ。


「令和陸年(皇紀2684年)9月29日、記」
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《雅羅・/・襍〝備忘録24-33〟❖ ’24-272 ❖》

タヌキマメ(狸豆) キク科(F... タヌキマメ(狸豆) キク科(Fabaceae)    
学名:Crotalaria sessiliflora L.  
タヌキマメ・・・・なるほど! ... タヌキマメ・・・・なるほど! 
一度聞いたら忘れない植物の1つ。
まるっこい苞がタヌキの姿と言うか、
毛深い容姿が、狸を連想できる。
元々は、栽培種だったが野性化した。
荒れ地などで見かけることがある。
本州から沖縄まで分布する一年生草本。
夏から秋に、結構美しい花を咲かせる。
茎はふつう枝を出さずに直立し高さ20-70cm。
上向きの伏毛があり、全体に褐色の長毛が多い。
葉はマメ科では珍しく単状複葉(1小葉)。
無柄で互生し、長さ4-10cm、幅0.3-1cm、
線形~狭長卵形で鋭頭。
表面は脈上以外は無毛で裏面は褐色の伏毛が密生。
托葉は長さ約4mmの線形。
茎頂に長さ5~10mmの総状花序を出し、
青紫色で長さ約1cmの蝶形花を2-10個につけ、
茎頂の総状花序に花が多数つく。
旗弁は幅7~10㎜の円形。
下から上にほぼ1個ずつ順次咲き、結実していく。
花は午後に開き、夕方にしぼむ。
翼弁と竜骨弁はほぼ同長。雄蕊は単体10個。
子房は無毛。苞は長さ5-8mmの線形。
萼は褐色の長毛が密生してよく目立ち、
上下2深裂して、上裂片は2裂、下裂片は3裂。
豆果は長さ1~1.5㎝の長楕円形、種子が10~15個入る。
豆果は長さ1~1.5cmの長楕円形で萼に被われ無毛.
熟すと2片に裂開して種子を飛ばす。種子は腎形で4~30個。


《  里地の秋花〝狸豆〟 ❖ 9月 ❖  》
*神奈川県植物誌** (1)タ... *神奈川県植物誌**
(1)タヌキマメ Crotalaria sessiliflora L.
1 年草.茎は直立して 6~70cm に達し,葉は線形で 1 小葉.
7~9 月に開花し,茎の先に青紫色の花を総状につける.
萼は花後に伸びて,豆果をおおう.
豆果は長さ 12mm 前後で,熟して裂開する.
本州,四国,九州,琉球;朝鮮,中国,
東南アジアに分布する.草地や路傍に生える.
県内では横浜市青葉区と栄区の 2 例のみであるが,
ともに失われており,『神 RDB06』では絶滅とされた.
今回,大磯で確認された.
標本:横浜市青葉区あざみ野 3 丁目 1985.9.7 北川淑子 KPM-NA1047435;
横浜市栄区中野町 1998.9.13 山下敏夫YCB422040;
大磯町高麗山 2010.11.7 鈴木照夫 YCB432629.
*      *      *
花名は、大きく膨らんだ萼が淡褐色の長毛に被われている。
そんな様子を狸の体または尻尾、睾丸に見立てたと云われる。
又、花を正面から見た姿がタヌキの顔を連想させるからとも。
眺めていると面白くも可笑しい連想出てくる花である。


「令和陸年(皇紀2684年)9月28日、記」


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《雅羅・/・襍〝備忘録24-32〟❖ ’24-271 ❖》

ノダケ(野竹)     セリ科... ノダケ(野竹)     セリ科( Apiaceae/Unbelliferae)
学名:Angelica decursiva (Miq.) Franch. et Savat.
別名: ゼンコ(前胡)
ノダケは東北以南の湿った草原に... ノダケは東北以南の湿った草原に生育する。
草丈1mを超える大型の多年草。
秋に暗赤紫色の花序をつける。
暗赤紫色花序は、白花が多いセリ科では特異。
ノダケは林縁や湿原の周辺などの湿った草地、
小川のほとりなどに生育することが多い。
香りが強く、民間薬にも利用されている。
花には、昆虫が飛来し、蟻もよく... 花には、昆虫が飛来し、蟻もよく来訪する。
蜜の分泌も盛んなのか。
茎は暗紫色を帯び、縦脈がある。... 茎は暗紫色を帯び、縦脈がある。
葉は3出羽状複葉、小葉基部は翼状で小葉に柄はない。
小葉は長楕円形~長卵形、縁に粗い鋸歯がある。
複散形花序に暗紫色(まれに淡緑色)の花をつける。
花序の柄はほぼ同長で花序が丸くなる。
花序の基部には葉の退化した袋状の葉柄がつき、
蕾のときは帽子をかぶったように見える。
小総苞片は濃紫色、全縁。
果実はやや厚い翼がつき、長さ4~6㎜の扁平な広楕円形。
花弁の白いものはシロバナノダケという。
イワニンジンはノダケより鋸歯がするどく、
ノダケモドキはイワニンジンの1品種である。
シシウド属を詳細に判別するには小総苞片を観察する。
ノダケの小総苞片は紫色、全縁。
イワニンジンの小総苞片は短毛が密生する。
アシタバの小総苞片は全縁又は繊維状に切れ込む。
シシウドは小総苞片が無い。


《 高原の秋花〝野竹〟 ❖ 9月~10月上旬 ❖  》
**神奈川県植物誌** (5)... **神奈川県植物誌**
(5)ノダケ Angelica decursiva (Miq.) Franch. & Sav. 
ほぼすべての小葉の基部は翼状に流れ,小葉柄はない.
葉の縁はやや透明感のある白(標本では),
花序の直下には葉身の退化した緑色袋状の葉柄がつく.
大散形花序の柄は10数本でほぼ同長(長さ3~5cm),
稜があり,針状毛がある.
多くは花弁,小総苞,小花柄とも濃紫色.
果実は長さ4~6mm,幅3~5mm,
側隆条はやや厚い翼となる.花期は9~10月.
本州(関東地方以西),四国,九州;朝鮮,
中国,東シベリアに分布.
県内では沖積地を除く樹林内や林縁に普通.
花弁の白い品種をシロバナノダケ
form. albiflora (Maxim.) Nakaiといい,
秦野市と二宮町で採集され,
出口(1953 帷子川流域の植物)に横浜市の記録がある.
(6)イワニンジン
Angelica hakonensis Maxim. in Mel. Biol. 9:
257 (1873) の基準産地は箱根

茎や節が竹のように見え、
更に葉の根元のサヤが竹の子の皮のように見える!!
別名のゼンコ(前胡)は漢方の生薬名である由。
古くから薬草として用いられていた。
野草は、観賞用だけではない。
紫を帯びた褐色の花、微笑ましい。


「令和陸年(皇紀2684年)9月27日、記」


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《雅羅・/・襍〝備忘録24-31〟❖ ’24-270 ❖》

サワヒヨドリ(沢鵯) キク科(... サワヒヨドリ(沢鵯) キク科(Asteraceae/Compositae)   
学名:Eupatorium lindleyanum DC. var. lindleyanum
サワヒヨドリは日本全国、東南ア... サワヒヨドリは日本全国、東南アジアに分布。
山間の湿原周辺とかやや湿った草原などに自生。
草茎は直立し、草丈50cm前後になる。
茎の上部の葉は、2枚が対生する事が多いが、
生育の良い個体では1カ所から3枚づつ出て
あわせて6枚の対生とか輪生のように見える。
葉は、長さ6~12㎝、幅1~2㎝の狭長楕円形。
鈍頭、葉の縁に不揃いな低い鋸歯があり、ほぼ無柄。
葉脈は、明瞭で3行脈。葉の両面に曲がった毛が散生。
葉裏には、腺点が密生する。
花は8月から10月にかけて咲く。花色も色々。
淡い紅紫色・色濃いものからぼ白色のものまである。
頭花は5個の小花からなり、密な散房花序となる。
総苞は長さ約5㎜。総苞片は2列。だが変異が多い。
茎などに開出した長毛があるケブカサワヒヨドリ。
毛が多く、葉脈が5行脈であるのは海岸型のハマサワヒヨドリ。
葉の裏の腺点が無いものはホシナシサワヒヨドリ。
葉が3全裂し、6個の輪生様なミツバサワヒヨドリ。
また、ヒヨドリバナとの交雑種は、実に多い。
交雑種はミツバヒヨドリバナと云われている。
ヒヨドリバナに近いもの(ヒヨドリバナのようで3行脈がある。)、
サワヒヨドリに近いもの(サワヒヨドリのようで葉柄が明瞭。)、
ヒヨドリバナに比べて全体に小型で花の色が暗紅紫色を帯びる、
葉形が小型で鋸歯が鈍い点などで区別できるが、
鋸歯が明瞭なものや葉の先端がヒヨドリバナのように尖っている、
中間型も多く、交雑種とされている。
ヒヨドリバナは草丈が高く、ススキ草原に適応した種。
近寄り花を観ると、繊細な踊り姿... 近寄り花を観ると、繊細な踊り姿に見える。
サワヒヨドリは湿原の周辺などに見え草丈は、余り高くならない。
強い日照の下、生育する姿に適応性を観る。



《 高原の秋花〝沢鵯〟 ❖ 9月~10月上旬 ❖  》
**神奈川県植物誌** (1a... **神奈川県植物誌**
(1a)サワヒヨドリ Eupatorium lindleyanum DC. var. lindleyanum
 高さ 40~80cm.茎は直立し,上部にちじれた毛が多い.
葉は対生,ときに 3 輪生で,披針形,長さ 6~12cm,幅1~2cm,
鈍頭でやや無柄,下面に腺点があり,両面に縮れた毛が多く,
縁にはふぞろいな低い鋸歯がある.
総苞は長さ 4~5mm で小花は 5 個.総苞片は 2 列.痩果は長さ 2.5mm.
北海道,本州,四国,九州;朝鮮,中国,アムール,
ウスリー,フィリッピンに分布.湿った明るい草原にはえる.
ススキ群綱の標微種.
本変種内に次のような品種が区別されているが,
これらが意味のある区別なのか今後の研究課題である.
a.葉の下面に腺点がある
b.葉は分裂しない
c.開出した長毛はない
サワヒヨドリ form. lindleyanum
c.茎などに開出した白い長毛がある
ケブカサワヒヨドリ form. villosissimum Honda, nom. nud.
b.葉は 3 全裂する
ミツバサワヒヨドリ form. trisectifolium (Makino) Hiyama
a.葉の下面に腺点がない
ホシナシサワヒヨドリ form. eglandulosum (Kitam.) Murata & H.Koyama 
葉形をしっかりと覚えないと判別... 葉形をしっかりと覚えないと判別できない。

身近な所では、未だ見つけていない草本。
非公開な場所に自生しているかもしれない!?!


「令和陸年(皇紀2684年)9月26日、記」
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《雅羅・/・襍〝備忘録24-30〟❖ ’24-269 ❖》

タカクマヒキオコシ(高隈引起し... タカクマヒキオコシ(高隈引起し) シソ科 (Lamiaceae /Labiatae)   
学名:Rabdosia shikokiana (Makino) H.Hara var. intermedia (Kudo) H.Hara
タカクマヒキオコシ(高隈引起し... タカクマヒキオコシ(高隈引起し);多年草
山地の林内、林縁、在来種(日本固有種)本州(福島県以西の太平洋)、四国、九州で自生。
低地~山地の木陰や林縁などに生える茎高40~80cmの多年草。
葉は長さ5~13cmの広披針形~長卵形で先は尖り鋸歯がある。
9~10月、上部に総状花序を出し、淡青紫色の小さな花を多数つける。
イヌヤマハッカと酷似しているが、葉裏の中脈は無毛。
花柄や萼に微細な腺毛があり、萼歯の先端が細長くなる。
イヌヤマハッカは箱根二子山(標高1,091m)の山頂付近が基準産地。
ブナ帯の林内、林縁に生え太平洋岸では標高1000m付近以上に分布する。
葉の主脈上には微細な白毛がありイヌヤマハッカに見えるが、
花柄の微細な毛が腺毛であることでタカクマヒキオコシと識別する。
葉表の脈には開出毛があり、採取して時間が経つと曲がる。
葉裏の中脈上には微細な屈毛がある。
屈毛はルーペではほとんどわからず、無毛に見える。
毛の量は変化があり、非常に少ないものもある。
花柄や萼に長さ0.03~0.08㎜の腺毛が密生し、花冠にも腺毛がある。
萼歯の先端は細長い。花冠は最も長いものが9.5㎜である。
茎は4稜形、下向きの毛がある。葉は対生し、葉柄は長さ0.5~3㎝。
葉身は長さ3~10㎝、幅1~3㎝、披針形~広披針形、時に長卵形~卵形。
先は尖り基部は楔形、翼状になり葉柄へと続く。
葉表は無毛~有毛があり、葉裏の中脈は無毛、腺点は不明瞭。
花は茎頂の総状花序に多数つく。
花柄や小花柄には微細な腺毛が密生。苞は長楕円形~広披針形。
萼は微細な腺毛があり、2唇形、萼歯の先端が細長い。
上側の3裂する萼歯の方が下側の萼歯より短い。
花冠は長さ8~10㎜、腺毛があり、青紫色、上唇は浅く4裂し、
班紋はなく、下唇の縁が内巻きになって舟形に突き出す。
雄蕊、雌蕊とも花冠より短くて突き出ない。果実は4分果。
イヌヤマハッカ(Isodon umbrosus)は、
花色は紫、葉は広卵形で先が尖り、上の花びらには縞模様がない。
ヤマハッカは低地の普通種、葉の幅が広く基部は急に細くなり花冠に濃紫色の班点がある。
コウシンヤマハッカはイヌハッカの変種、
カメバヒキオコシのように葉の先が3裂せず、
カメバヒキオコシと同じように葉幅が広く、4㎝以上ある。


《 高原の秋花〝高隈引起し〟 ❖ 9月~10月上旬 ❖  》
**神奈川県植物誌** (4)... **神奈川県植物誌**
(4)タカクマヒキオコシ Isodon shikokianus (Makino) H.Hara var. intermedius (Kudô) Murata
多年草.茎は高さ 50~80cm.葉柄は長さ 0.5~3cm,葉身は披針形または広披針形,長さ 3~10cm,幅 1~3cm,
下面の中肋は無毛.花は 8~10 月.花冠は長さ 8~10mm で青紫色.
花柄や萼筒部基部付近に微細な腺毛がある.
本州(福島県以西の太平洋側),四国,九州に分布する.
県内では箱根仙石原の湿った樹林内や林縁に生える.
基準変種のミヤマヒキオコシ var. shikokianus は四国の山地に分布する.『神 RDB06』では絶滅危惧Ⅱ類にされた.
(5a)イヌヤマハッカ Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara var. umbrosus; Plectranthus inflexus (Thunb.) Vahl ex Benth. var.
umbrosus Maxim. in Bull. Acad. Imp. Sci. St.Petersb. 20(3): 453 (1875) の基準産地は箱根。
多年草.茎は高さ 60~80cm.葉柄は長さ 0.5~2cm.葉身は長楕円形または披針形,長さ 3~10cm,幅 1~3cm.
上面に軟毛が生え,葉面中肋に曲がった毛が生える.花は 9~10 月.
花柄に開出する毛が密生し,萼筒には微細な短毛とまれに腺毛がある.
花冠は長さ 8~9mm で青紫色.
本州(関東地方西南部~中部地方東南部)に分布する.
県内では箱根,丹沢,小仏山地に分布し,ブナ帯の樹林内や林縁に生える.
白花品はシロバナノイヌヤマハッカform. albiflorus Tuyama in J. Jpn. Bot. 27(11): 340 (1952) といい,
箱根二子山山頂付近が基準産地である.秦野市や山北町で採集されている.
淡紅色品はウスイロイヌヤマハッカ form. lilacinus Asai in J. Jpn. Bot. 42: 201 (1967) といい,
箱根神山付近が基準産地.
葉の形等、よくよく観察しないと... 葉の形等、よくよく観察しないと。慎重にじっくりと観察あるのみ。


「令和陸年(皇紀2684年)9月25日、記」
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《雅羅・/・襍〝備忘録24-29〟❖ ’24-268 ❖》

ツクバトリカブト(筑波鳥兜) ... ツクバトリカブト(筑波鳥兜) キンポウゲ科(Ranunculaceae)
学名:Aconitum japonicum Thunb. subsp. maritimum
(Tamura et Namba) Kadota var. maritimum 
(A. momosei, A. rectissimum, A. tsukubense)  
ツクバトリカブト(筑波鳥兜);... ツクバトリカブト(筑波鳥兜);
東北地方~関東地方の太平洋側、長野県に自生地がある。
鳥兜の名は、花の形が舞楽用鳳凰の頭を形どった冠に似ており、
筑波山で発見されたのでツクバの名を冠した。
トリカブト類は言わずと知れた全草が猛毒な植物。
特に塊根の毒性が強く、古くは毒矢の材料として利用された。
一方では薬用としても用いられてきた。
変異が大きく、また交雑しやすいので分類が難しい。
関東地方の低地~丘陵地では主に本種が見られる。
北限は青森県南部。
塊根は円錐形~紡錘状円錐形。
栄養繁殖体(子根)を残すが母根は1年で枯れて消失する。
そのことで、擬似1年草といわれている。
茎は草原では直立、林縁では斜上... 茎は草原では直立、林縁では斜上または先端部が曲がり高さ0.6-1.5mになる。
茎は下部を除いて屈毛がある。
葉は互生、中部の茎葉はやや厚く、長さ幅とも9-20cmで3全~深裂。
側裂片はさらに2中裂するがしばしば2深裂する。
それ故、初めから5裂しているように見えるものもある。
各裂片には浅裂状の粗い鋸歯があり、
鋸歯は長楕円状卵形で鋭頭またはやや鈍頭。
両面と葉柄に屈毛がある。
花序は散房状で花柄に屈毛があり、花は上から咲いていく。
花は青紫色、長さ3-4cmで外面に屈毛がある。
萼片は5個あって花弁状。頂萼片は僧帽形で嘴はやや短い。
2個の側萼片はほぼ円形~倒卵形、2個の下萼片は楕円形~長楕円形。
花弁は2個で頂萼片の内側に隠れ、身部の中程で長い柄につきイの字形になる。
柄の付着点より先は距となって蜜を出す。距は短く太い。
雄蕊は開出毛があって多数。雌蕊は5-4個で無毛。
果実は袋果で花柱は果時にも残る。
種子は多数で鱗片状の横ひだがある。花期:8-10月


《 里緑地(里山)の秋花〝筑波鳥兜〟 ❖ 9月~10月上旬 ❖  》
**神奈川県植物誌** (3b... **神奈川県植物誌**
(3b)ツクバトリカブト Aconitum japonicum Thunb. subsp. maritimum (Tamura & Namba) Kadota
茎は直立または斜上する.葉は輪郭が 5 角形,3 全裂~3 深裂し,
左右裂片の欠刻が深いため葉身が 5 裂したかのように見えるものもある.
葉形の変異の幅は広いが,ヤマトリカブトと比較すると,
鋸歯は粗く,鋸歯先端の突出が顕著な傾向にある.
花柄には全面に粗面屈毛が生える.
花冠のかぶとは僧帽形,嘴が長い.
雌しべは無毛,稀に粗面屈毛が背軸側にまばらに生える.
雄しべはふつう粗面開出毛が密生するが,ときに無毛となる.
本州(関東地方~中部地方)に分布.
県内では主として東部の海寄りの丘陵地に分布する.
神奈川県が分布の南限にあたる.

里山緑地や山間林縁の明るい草地に生える多年草で日本固有種。
トリカブトと言うのはトリカブト属の総称。
名の由来の鳥兜とは、
神社祭礼にあるサルタヒコノミコト(猿田彦命)が被っている頭巾。
又、全草猛毒と言えば、食中毒。
植物での食中毒、危険度ではイヌサフラン(コルチカム)が一番。
スイセン(水仙)も毒性が強い。
横須賀市追浜の鷹取山は、ツクバ... 横須賀市追浜の鷹取山は、ツクバトリカブトの観察場所。
思い出すと親たちとニリンソウを食材として摘みに行った。
そんなおりトリカブトの若葉との見分け方を教わった。
ニリンソウは白い花を付ける。白い花を確認して摘む、と。


「令和陸年(皇紀2684年)9月24日、記」
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《雅羅・/・襍〝備忘録24-28〟❖ ’24-267 ❖》

フクオウソウ(福王草) キク科... フクオウソウ(福王草) キク科(Asteraceae)    
学名:Nabalus acerifolius Maxim. 

本州~九州に自生。山地の薄暗い林内に生える。
和名は三重県の福王山で発見された事に由来。
茎や萼、全体に腺毛がある。葉は互生、翼があり長い柄につく。
葉は長さ幅とも6~10㎝、掌状に3~7裂し、基部は心形。
細長い花序の花柄の先にまばらに頭花を下向きにつける。
頭花は長さ約2㎝、幅1~1.5㎝、9~13個の舌状花が集まる。
舌状花は紫白色、灰色の縦線模様がある。
総苞は長さ約10㎜の細い筒形。痩果は無毛。
冠毛は鈍い白色~褐色を帯びる。
晩夏の頃から初秋に、山地の林下... 晩夏の頃から初秋に、山地の林下で時々出会う花。
花が目を引くので根元にある葉に目が行かないが、
大きく切れ込んだ形、葉も中々にみごたえがある。
花弁の倍近い長く伸びた雄蕊は特... 花弁の倍近い長く伸びた雄蕊は特徴的である。



《 里緑地(里山)の秋花〝福王草〟 ❖ 9月~10月上旬 ❖  》
**神奈川県植物誌** 24.... **神奈川県植物誌**
24.フクオウソウ属 Nabalus Cass.
(支倉千賀子,『神植誌 01』:浜口哲一,図:浜口哲一)
 多年草.葉は柄があって互生し,しばしば柄に翼をもつ.
直立した茎の先に円錐形の花序をつけ,
横向きか下向きに多数の頭花をつける.
痩果はやや偏平な円柱形で,先は狭まらず切形に終わる.
染色体基本数 x=8.東アジアと北アメリカに約 15 種,
日本には 2 種が分布し,ともに県内に産する.
従来はフクオウソウ属 Prenanthes L. とされてきたが,
近年の分子系統学的な研究により複数の属に分離され,
日本産の 2 種はフクオウソウ属 Nabalus とされた.
A.葉は茎の下部に集まってつき,掌状に 5~7 裂する.頭花は紫白色
(1)フクオウソウ
A.葉は花時には茎の中上部につき,切れ込みのある 3 角形.
頭花は淡黄色.
(2)オオニガナ
(1)フクオウソウ Nabalus acerifolius Maxim.; Prenanthes acerifolia (Maxim.) Matsum.
 多年草.下部につく大型の葉には翼のある柄があり,走出枝を出す.
茎や総苞には,ふつう開出する腺毛が生える.
8~9 月に径 1.5cm の頭花を多数,円錐花序につけ,頭花はやや下垂する.
痩果は円柱形で長さ約 5mm.本州,四国,九州に分布する.
山地の林内に生える.
県内では丹沢,箱根,小仏山地のおもにブナ帯に分布し,普通に見られ
る.
諏訪編(1983 座間市の植物 : 87)に座間村産の標本写真(1934.8.24 金井茂)が掲載されており,
平地の記録としては特記すべきものであろう.
茎と総苞に腺毛を欠くものはフクオウニガナ P. acerifolia form. nipponica (Franch. & Sav.)
Matsum. & Koidz. といい.その基礎異名の N. nipponicus Franch. & Sav., Enum. Pl. Jap., 2(2):
420 (1878) の基準産地の 1 つは箱根街道沿い.
県内ではこの型は稀で『神植誌 88』以降の調査では採集されていない.葉が分裂しないものはマル
バフクオウソウ P. acerifolia form. heterophylla Matsum. & Koidz. というが,
本調査では記録されなかった.
(2)オオニガナ Nabalus tanakae Franch. & Sav. ex Y.Tanaka & Ono;
Prenanthes tanakae (Franch. & Sav. ex Y.T
*      *      *
東日本大震災の被災地を訪ねたおり、北茨木市郊外で出会った野草。
人知れず楚々と咲いていた姿に寂しさを感じたが、これが自然。


「令和陸年(皇紀2684年)9月23日、記」


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《雅羅・/・襍〝備忘録24-27〟❖ ’24-266 ❖》

オクモミジハグマ(奥紅葉白熊)... オクモミジハグマ(奥紅葉白熊) キク科(Asteraceae)
学名:Ainsliaea acerifolia Sch. Bip. var. subapoda Nakai
オクモミジハグマ(奥紅葉白熊)... オクモミジハグマ(奥紅葉白熊);モミジハグマ属
本州、九州(北部)の山地~深山の林床・林縁などに生える。
茎高40~80cmの多年草。茎には、長毛がまばらに生える。
葉は4〜7個が茎の中部にやや輪生状につき、腎心形または円心形。
長さ5〜13cmの長い柄があり、掌状に浅裂する。
縁には鋸歯があり両面にまばらに軟毛をつける。
茎は枝分かれせず、先に穂状に頭花をつける。
葉は茎の中央部に集まって互生する。
下の葉ほど葉柄は長く、葉柄の基部は赤味を帯びる。
葉は、4枚前後が茎の中部にやや輪生状につき、
軟毛のある長さ5〜13cmの長い柄があり、
腎心形または円心形で長さ6〜12cm、幅6〜18cm、
掌状に浅裂し、質は薄く、縁には鋸歯があり、
両面にまばらに軟毛をつける。楕円形の大きな蕾。
総苞片が鱗状に重なり合っていて目立つ。
花は他のキク科の多くの花と同様に、
初めは雄性期で後に雌性期になる。
開花直後、雌蕊は、筒状の雄蕊の中に隠れている。
突き出た雄蕊だけが見えている花が雄性期で、
雄蕊の先から2つに裂けた柱頭が見えている花が雌性期。
花の構造は木本のコウヤボウキに似る。
頭花は多数が穂状につき、花時には横向きとなり、
花柄は長さ2mmほど、小さい苞がある。
小花は3個あり、花冠は白色でふつう5裂し、左右相称。
総苞は筒形で長さ1.2〜1.5cm、総苞片は多列に並び、乾いた膜質。
外片は広卵形でごく短く、内片は長楕円形で長く幅2〜3mm。
花期は8〜10月。 モミジハグ... 花期は8〜10月。
モミジハグマは近畿地方以西に分布、葉が掌状に深く5~7裂する。
テイショウソウは、本州(千葉県以西~近畿地方)四国に分布する。
葉は長さ10~15㎝、長楕円形~鉾形、心脚、
表面に淡色の班紋が入り、波状の鋸歯縁。葉柄は短い。




《 里緑地(里山)の秋花〝深山鶉〟 ❖ 9月~10月上旬 ❖  》
**神奈川県植物誌** 4.モ... **神奈川県植物誌**
4.モミジハグマ属 Ainsliaea DC.
(佐々木あや子,『神植誌 01』:大場達之,図:佐々木あや子)
多年草.
葉は根生してロゼット状または,茎の下部から中部に輪生状につき.長い柄がある.
頭花は総状,穂状,円錐状につく.頭花は3個の筒状花から成り,ときに閉鎖花になる.
総苞は細い筒状で,総苞片は多列.花冠は5裂して,裂片は反り返る.
痩果は縦肋があり,1 列の羽毛状の冠毛がある.
東アジアと東南アジアに約 50 種があり,日本に約 8 種,県内に 3 種がある.
A.葉柄は葉身より長い
B.茎は高さ 40~80cm.葉は腎形で掌状に浅く裂け,長さ 6~12cm
(1)オクモミジハグマ
B.茎は高さ 10~25cm.葉は 5 角形で長さ 1~3cm
(2)キッコウハグマ
A.葉柄は葉身より短い.葉は長楕円形で心脚
(3)テイショウソウ
(1)オクモミジハグマ Ainsliaea acerifolia Sch.Bip. var. subapoda Nakai
 頭花は穂状につき,短い柄があって,横向に咲く.
痩果は長さ 9.5mm,冠毛は長さ 10mm.
本州,九州(北部);朝鮮,中国に分布.
ブナ帯下部~ブナ帯の夏緑林の林床に生え,稀にシイ・カシ帯に見られる.

オクモミジハグマは,西日本に見えるモミジハグマが基本種と云われるが、
二種間をはっきりと識別できないでいる。
身近(平地)で見れないだけに最近は、自生地を訪れていない。
県内自生地が保存されていることを祈りたい。


「令和陸年(皇紀2684年)9月22日、記」


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《雅羅・/・襍〝備忘録24-26〟❖ ’24-265 ❖》

ミヤマウズラ(深山鶉) ラン科... ミヤマウズラ(深山鶉) ラン科(Orchidaceae)
学名:Goodyera schlechtendaliana Reichb. fil.
ミヤマウズラ(深山鶉); 北海... ミヤマウズラ(深山鶉);
北海道(中部)、本州、四国、九州、屋久島に分布。
谷沿い、丘陵地~山地の林床などに生える。
草丈20cm程の常緑多年草の在来種。
茎は地を這い節ごとに根を出し途中から立ち上がる。
地面近くに常緑の葉を約5枚つける。
葉は互生。長さ3~5cmの先の尖った卵形。
葉脈に沿って白色の斑が入るが、模様は色々。
葉裏は模様が目立たない淡緑色。
花茎の上部に穂状に5~10個、片側に向いて咲く。
薄い淡紅色を帯びた1cm程の花。
花柄には細かい毛が密生している。
名前の由来は、深山にありそうなので「ミヤマ」。
「ウズラ」は、葉がウズラ斑紋に似ている事から。
葉に白班がないものをフナシミヤマウズラという。
同属のシュスランは葉の表面がビロード状で光沢があり、
主脈に沿う1本の白線の帯が目立つ。

花構造。 ** 以上の画像は借... 花構造。
** 以上の画像は借り物 **



《 里緑地(里山)の秋花〝深山鶉〟 ❖ 9月~10月上旬 ❖  》
**神奈川県植物誌** シュス... **神奈川県植物誌**
シュスラン属 Goodyera R.Br.(三樹和博,『神植誌 01』:秋山守・佐宗盈,図:秋山守)
地上生,稀に着生.茎は通常基部が長くはって,各節から 1 本の根を出す.
葉は卵形~披針形で柄があり互生する.
花はやや小型で総状につき,花柄と子房に毛がある.
苞は花被片より短い.
萼片は同形で,背萼片は直立し,側花弁とともにかぶと状になる.
唇弁は全縁で先は尖り基部内面に多くは毛がある.
柱頭は短く,小嘴体は直立し付属体がない.
花粉塊は 2 個.ヨーロッパ,アジア,北アメリカに約 100 種が知られ,
日本には 14 種が分布し,県内には 6 種が自生する.
A.花は密に多数(15~50 個)つき,
  萼片は長さ 3~4mm,唇弁の内面は平滑
B.樹幹や岩に着生し,茎は下垂する
(1)ツリシュスラン
B.地生し,茎は直立する
(2)ハチジョウシュスラン
A.花はまばらに少数(1~12 個)つき,萼片は長さ 4~30mm,
唇弁の内面は有毛.地上生で茎の基部は地表をはう
B.花序の柄は短いか,または無柄
C.花は筒状で 1~3 個,長さ 20mm 以上.
葉は広卵形で,主脈を中心に白斑がある
(3)ベニシュスラン
C.花は鐘状で 3~7 個,長さ 15mm 以下.
葉は卵形で,主脈は,はっきりしているが白斑はない
(4)アケボノシュスラン
B.花序の柄は長い
C.花は白色または淡紅色,長さ 10~12mm,
葉の上面は青緑色で,しばしば網目状の白斑があり,下面は淡緑色
(5)ミヤマウズラ Goodyera schlechtendaliana Rchb.f.
 常緑性.茎は高さ 10~25cm.
葉は広卵形~披針形で茎の基部に数枚集まり,やや肉質.
花期は 8~9 月.花は花序柄の上半部に偏側的に 7~12 個つけ,
苞は膜質で披針形.花序柄,花序,子房,萼片には縮毛がある.
萼片は狭卵形.側花弁は広倒披針形,
背萼片の内側に接し先端内側に黄褐色の斑点がある.
唇弁は卵形で基部が膨らみ,内面に毛がある.
小嘴体は細長く 2 裂する.蒴果は楕円形.
北海道(中部以南),本州,四国,九州;朝鮮,中国に分布する.
おもに常緑樹林の林床に生える.
県内では丹沢,小仏山地,三浦半島などの地域に点在し,生育適用範囲は広く普通.
葉に白斑のないものをフナシミヤマウズラ
form. similis (Blume) Makino といい秦野市蓑毛で記録された. 
(6)シュスラン Goodyera velutina Maxim.
 常緑性.茎は赤味をおび高さ 10~15cm.葉は長卵形で先は尖り 4~5 枚つける.
花期は 8~10 月.花は花序柄の上部にやや偏側的に 4~15 個をつけ半開性.
苞は線状披針形.花序軸,子房に白短毛がある.
萼片は狭卵形.側花弁は広披針形で背萼片と合着する.
唇弁は卵形で基部は膨らみ,内面に毛がある.
ずい柱は短く,小嘴体は細長く2 裂する.蒴果は卵形.
本州(千葉県以西),四国,九州,琉球;朝鮮(南部),中国,台湾に分布する.
常緑広葉樹林の林床に生える.
県内では箱根山麓,三浦半島のシイ,タブノキ,マテバシイなどの樹林内に生えるが稀.
『神RDB06』では絶滅危惧ⅠA 類とされた.
ヒメミヤマウズラ Goodyera repens (L.) R.Br.
『神植目 33,神植誌 58』に箱根を記録しているが,標本は確認していない.
『神 RDB95』では絶滅とされたが,『神RDB06』では消息不明種とされた.
雑種
1)ミヤマウズラ×シュスラン Goodyera ×tamnaensis N.S.Lee, K.S.Lee, S.H.Yeau & C.S.Lee
ミヤマウズラとシュスランの交雑種と推定される.
ミヤマウズラに比べ大型で葉の白斑は見られない.
花も大きくやや離れてつき平開することはない.
花期はミヤマウズラに比して半月以上遅い.
2010 年に韓国済州島産のものをタイプに記載された.
また,未記載だが関東南部~三重県に点在するとされているオオミヤマウズラ Goodyerasp.
(愛知県環境調査センター編 2009 レッドデータブックあいち 植物編 ;
愛知県 2015 レッドリストあいち 2015)や,園芸的に栽培されるガクナン(俗称)などが
これに類似または同一の可能性があるが標本は未確認.
相模原市緑区城山で採集された(秋山 2010 FK (71): 862-863).
標本:相模原市緑区 2010.10.23 永井充 SCM044376.
文献: Lee, C.S., S.H. Yeau, K.S. Lee and N.S. Lee, 2010. A New Taxon of Goodyera (Orchidaceae): G. ×tamnaensis.
Korean Journal of Plant Taxonomy, 40(4): 251-254. 
*      *      *
ミヤマウズラ(深山鶉);
“北海道中部~九州のやや湿った林床の緩傾斜地などに生育する。”
図鑑等の解説文だが、様々な環境に自生してるのを観てきた。
「深山」と名付いているが、むしろ標高の低い場所でよく見られる。

「令和陸年(皇紀2684年)9月21日、記」
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《雅羅・/・襍〝備忘録24-25〟❖ ’24-264 ❖》

タチフウロ(立風露)   フウ... タチフウロ(立風露)   フウロソウ科(Geraniaceae)
学名:Geranium krameri Franch. et Savat.
タチフウロ(立風露); タチフ... タチフウロ(立風露);
タチフウロは、山地の草地・林縁に生える多年草。
中部地方~東北地方、四国、九州に分布。茎高30~70cm。
茎や葉柄に下向きの毛がある。根茎は垂直、直径5~12mm。
疣状(イボ)突起はない(節から根を出さない)。
長く肥厚した根が束生する。後ろ向きの伏毛か開出毛がある。
根生葉は花時にも少し残り、長い葉柄がある。
茎生葉には葉柄はほとんどない。
葉は対生し掌状に5~7裂、 裂片は更に細裂し、
表面や裏面脈状に粗毛がある。
 茎の上部や枝先から長い花序柄を立ち上げ、
先端に2個の5弁花を咲かせる。
花弁は淡紅紫色で濃紅紫色の脈が入り基部には白毛がある。
雌蕊の先は5裂する。雄蕊は10個。
タチフウロの花を観察してると、
雌蕊の先が閉じ柱頭先の花粉が付く面を見せていない状態で
雄蕊が先に成熟している雄花状態のもの。
雌蕊柱頭が5裂し花粉を受ける面を開き雄蕊が落ちた雌花状態。
色々な状態のものがあり、しっかりと観察しないといけない。
同属の似た種類も覚えていないといけないだろう。
* アサマフウロは花が大きく、花弁の色が濃い。
* ハクサンフウロは花弁の幅がやや狭いことが多く、
  脈の色がやや薄い。
*イブキフウロはエゾフウロの変種であり、
 花弁の先が3浅裂する。
タチフロウの葉、見ごたえある。... タチフロウの葉、見ごたえある。

* 以上の画像は、借り物 *


《 里緑地(里山)の秋花〝立風露〟 ❖ 9月~10月上旬 ❖  》
**神奈川県植物誌** タチフ... **神奈川県植物誌**
タチフウロ Geranium krameri Franch. & Sav.;
G. japonicum Franch. & Sav., Enum. Pl. 2: 305 (1878) の基準産地は箱根
多年草.茎はほかの植物によりかかるように立ち上がり
高さ 70~80cm に達する.葉は対生しふつう 5~7 深裂するが,
上部の葉はしばしば 3 裂.
8~9 月に紅紫色の径 3cm 弱の大型の花をつける.
本州,四国,九州;朝鮮,中国東北部にかけて分布する.
丘陵地から山地の草地に生える.
県内では箱根や丹沢などの山麓部,
多摩丘陵の一部などに局地的に分布するが少ない.
『神 RDB06』では絶滅危惧ⅠB 類とされた.

若い頃、霧ヶ峰や車山高原で観た花。
この花が見え始め、暫くすると秋風が吹き始める。

「令和陸年(皇紀2684年)9月20日、記」


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《雅羅・/・襍〝里緑地の花Ⅶ〟❖ ’24-263 ❖》

シロバナサクラタデ(白花桜蓼)... シロバナサクラタデ(白花桜蓼)タデ科(Polygonaceae)
学名:Persicaria japonica (Meisn.) Nakai
synonym Persicaria sterilis (Nakai) Nakai et Ohki
別名:コサクラタデ、ヒメサクラタデ
花はサクラタデPersicar... 花はサクラタデPersicaria odorata (Lour.) Sojak subsp. conspicuaに良く似ているが、
小さく真っ白で、桜蓼より花序枝が多く先が垂れ下がる事が多い。
花序の節当りの花数が2~3個なら桜蓼、4~6個なら白花桜蓼。
白花桜蓼は、痩果に光沢がある。
多年草、根茎が水平。茎は直立、茎高50~100㎝になり無毛。
時にまばらに小剛毛があり茎は高く枝分かれ節が膨らむものがある。
葉柄は短いか又は無柄に近い。葉身は披針形で長さ7~15㎝×幅1~2㎝。
葉は、薄革質で先は尖鋭形、基部は楔形。
葉縁付近や脈上に伏毛があり毛長は0.7㎜以下、下面に腺点がある。
托葉鞘は、筒形で濃褐色。長さ10~18㎜で膜質。
伏せ剛毛があり先は切形、縁毛は長さ1~1.2㎝。
花序は1~5本に分枝し細長く先が垂れ下がることが多い。
花序柄が長く、小苞の先に毛がある。
花被は長さ3~4㎜、白色、5裂まれに4裂し、腺点がある。
花は雌雄異株ではなく、異形花柱性(平塚・中尾 1996)、
短花柱花と長花柱花の2形がある。
短花柱花は雌蕊の長さ約2.4㎜、雄蕊の長さ4.3㎜、雄蕊が花被より突き出る。
長花柱花は雌蕊の長さ約4.3㎜、雄蕊の長さ約2.4㎜、雌蕊が花被から突き出る。
雄蕊は6個まれに7~8個。花柱は2、稀に3分岐する。
痩果は長さ約2.5㎜、レンズ形が多く、3稜形が混じり、黒色、光沢がある。
サクラタデは花被が長さ5~6㎜と大きく、淡紅色、花被が深裂する。
又、痩果は3稜形のみで光沢が少ない。ボントクタデは花が小さく花序も細い。
シロバナサクラタデと花や托葉鞘がほとんど同じであり葉が被針形でない。
花はサクラタデPersicaria odorata (Lour.) Sojak subsp. conspicuaに良く似ているが、
小さく真っ白で、桜蓼より花序枝が多く先が垂れ下がる事が多い。
花序の節当りの花数が2~3個なら桜蓼、4~6個なら白花桜蓼。
白花桜蓼は、痩果に光沢がある。
多年草、根茎が水平。茎は直立、茎高50~100㎝になり無毛。
時にまばらに小剛毛があり茎は高く枝分かれ節が膨らむものがある。
葉柄は短いか又は無柄に近い。葉身は披針形で長さ7~15㎝×幅1~2㎝。
葉は、薄革質で先は尖鋭形、基部は楔形。
葉縁付近や脈上に伏毛があり毛長は0.7㎜以下、下面に腺点がある。
托葉鞘は、筒形で濃褐色。長さ10~18㎜で膜質。
伏せ剛毛があり先は切形、縁毛は長さ1~1.2㎝。
花序は1~5本に分枝し細長く先が垂れ下がることが多い。
花序柄が長く、小苞の先に毛がある。
花被は長さ3~4㎜、白色、5裂まれに4裂し、腺点がある。
花は雌雄異株ではなく、異形花柱性(平塚・中尾 1996)、
短花柱花と長花柱花の2形がある。
短花柱花は雌蕊の長さ約2.4㎜、雄蕊の長さ4.3㎜、雄蕊が花被より突き出る。
長花柱花は雌蕊の長さ約4.3㎜、雄蕊の長さ約2.4㎜、雌蕊が花被から突き出る。
雄蕊は6個まれに7~8個。花柱は2、稀に3分岐する。
痩果は長さ約2.5㎜、レンズ形が多く、3稜形が混じり、黒色、光沢がある。
サクラタデは花被が長さ5~6㎜と大きく、淡紅色、花被が深裂する。
又、痩果は3稜形のみで光沢が少ない。ボントクタデは花が小さく花序も細い。
シロバナサクラタデと花や托葉鞘がほとんど同じであり葉が被針形でない。


*神奈川県植物誌* サクラタデ... *神奈川県植物誌*

サクラタデ Persicaria odorata (Lour.) Soják subsp. conspicua (Nakai) Yonek.;
P. conspicua (Nakai) Nakai ex Ohki
多年草.根茎は長く地中をはい節から根をだす.茎は高さ 50~100cm になり,
葉は披針形で,長さ 5~12cm,幅 1~2cm,先は鋭尖形,
基部はくさび形になり,両面の中脈と葉縁にやや硬い毛がある.
茎は節がふくらみ,托葉鞘は褐色で,長さ 7~15mm,縁毛は長さ 4~7mm.
花期は 8~10 月.花序枝は 1~3 本で 2 本のものが多い.
花被は淡紅色で深く 5 裂,長さ 5~6mm で,腺点がある.
シロバナサクラタデとともに,雌雄異株とされていたが,
異型花柱性で長花柱花をつける株と短花柱花をつける株があり,
両者が混生しないと結実しない(平塚・中尾 1996 植研 71: 98-104).
花柱は 3 裂.果実は 3 稜形で長さ約 3mm,黒色で先端が尖る.
本州(関東地方以西),四国,九州,琉球;朝鮮に分布.
湿地や小川沿いに生える.
白花品をシロバナハナサクラタデ form. albiflora (Hiyama) Yonek. といい,
P. conspicua form.albiflora Hiyama in J. Jpn. Bot.,
37: 29 (1962) の基準産地は横須賀市浦賀付近(1936 牧野富太郎).
『神植誌 88』では,花の長さ 3~4mm,果実の長さ 2~2.5mm と,
サクラタデより小さいものを,ヒメサクラタデ
P. japonica (Meisen) H.Gross var. micranthum (Nakai) Sugim.
としたが,花の大きさには中間を含めて変異があり,区別できない.
(19)シロバナサクラタデ Persicaria japonica (Meisn.) Nakai ex Ohki
 多年草.茎は 60~100cm になり節はふくれる.葉は披針形で鋭尖頭,
基部はくさび形となり,長さ 7~16cm,幅 1~2cm,脈上や葉縁に伏毛がある.
托葉鞘は長さ 10~18mm,縁毛は約 10mm.花期 8~10 月.
花は白色で総状花序につき,
花序枝は 1~5 本で,4 本のものが多く.サクラタデの花序より多い.
花被は 5 裂して長さ 3~4mm,腺点がある.
異型花柱性で,長花柱花では雌しべが雄しべより長く,短花柱花では逆になる.
花柱は 2~3 裂するものがあって,
果実はレンズ形と 3 稜形があり,黒色で,サクラタデより光沢が強い.
短花柱花をつける株の方が多く見られる.
北海道,本州,四国,九州,琉球に分布.
県内では沖積地から丘陵地にかけて,湿地や休耕田で見られる.
神奈川県内に自生しているシロバ... 神奈川県内に自生しているシロバナサクラタデの場所。
未だに自生しているところは、多い。但し、2018年前のこと。
現在(2014年)はどうだろう・・・自生地??



《 泉の森・こもれび広場〝白花桜蓼〟 ❖ 2024/9月上旬 ❖ 》
泉の森にある水車小屋。その脇に... 泉の森にある水車小屋。その脇にある湿地にシロバナサクラタデが静かに自生している。
結構群生かしているが、ボランテイアの人々が管理努力されている。
植物と人間の共生、そのあり方を見せてくれてる。
少し離れたところからでないと見... 少し離れたところからでないと見れないが、可愛い花だ。
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《雅羅・/・襍〝里緑地の花Ⅵ〟❖ ’24-262 ❖》

イボクサ(疣草) ツユクサ科(... イボクサ(疣草) ツユクサ科(Commelinaceae)
学名:Murdannia keisak (Hassk.) Hand.-Mazz.
Aneilema keisak (Hassk.) Hand.-Mazz
イボクサ(疣草); 水田でよく... イボクサ(疣草);
水田でよく見られる野草。在来種 本州、四国、九州、沖縄に分布。
和名の由来は葉の汁をつけるとイボがとれることから。
茎は赤味を帯び片側に毛条があり... 茎は赤味を帯び片側に毛条があり、よく分枝し下部は地を這い上部が斜上する。
葉は長さ3~7㎝幅5~10㎜の狭披針形で、ツユクサより狭く葉の数も少ない。
葉の基部は鞘状になる。
花は直径約13㎜、茎頂に1個ず... 花は直径約13㎜、茎頂に1個ずつつく。
内花被片(花弁)は3個長さ5~8㎜の白色で先が淡紅色。
外花被片(萼片)も3個、長さ5~6㎜で緑色、
周囲が上へ曲がり内側が窪み外面の先に毛がある。


《 畦地の秋花〝疣草〟 ❖ 9月~10月上旬 ❖  》
雄蕊6個、うち紫色の3個は仮雄ずい。葯は青色。
花は1日でしぼみ、花後に外花被が大きくなって蒴果を包む。
蒴果は長さ8~10㎜の楕円形、3室に分かれ、熟すと裂開する。
種子は長さ2~3㎜、各室1~2個。
*     *     *
イボクサ(疣草)、稲刈り間近の水を抜かれた田圃によく出てくる。
水稲(すいとう)農家から見ると邪魔もので駆除対象。
稲刈り前に駆除作業が行われるので、余り目にすることはない。
田圃や農業用水路にイボクサ(疣草)を以前見た事がある。
野草としてみると可愛いものである。一日花!!らしい。
観察するのは昼間。休耕田に見ることができる。

「令和陸年(皇紀2684年)9月18日、記」
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《雅羅・/・襍〝備忘録24-24〟❖ ’24-261 ❖》

ヒメシロネ(姫白根) シソ科(... ヒメシロネ(姫白根) シソ科(Lamiaceae)
学名:Lycopus maackianus (Maxim.) Makino
Lycopus lucidus Turcz. ex Benth. var. maackianus Maxim. ex Herder
ヒメシロネ(姫白根); ヒメシ... ヒメシロネ(姫白根);
ヒメシロネは北海道から九州に分布する多年草。
地下茎があり、茎高30~70cm。
やや富栄養な湿地によく生育し、湿原の周辺、
開けた谷、山間の放棄水田などに生育する。
茎は四角で直立し、中間でやや分岐する。
シロネに似ているが、葉が細い。
葉は対生、厚めで長さ4~8㎝、幅.5~15㎜の披針形。
縁に鋭い鋸歯があり、無柄、基部は急に幅が狭まる。
楔形にはならず、葉裏には密に腺点がある。
8~10月、 葉腋に白い小さな唇形花が纏まってつく。
仲間にシロネ、コシロネ、エゾシロネ等がある。
花は直径約5㎜。
花冠は上唇の中央が浅くくびれ、下唇は3裂する。
下唇には赤紫色の斑紋があることもある。
萼片の先は刺状に尖る。果実は4分果。
類似のコシロネは草丈が低く、葉の幅が広い。
葉の基部がはっきり楔形となる。
シロネはヒメシロネとよく似ているが、
高さが1m以上にもなる大型。
茎も直径3㎜以上と太く、葉の幅が15㎜以上ある。
《 里緑地(里山)の秋の花〝蔓... 《 里緑地(里山)の秋の花〝蔓桔梗〟 ❖ 9月~10月上旬 ❖  》
**神奈川県植物誌**
ヒメシロネ ;
細長い匐枝をもつ.
葉の基部が急に狭くなって茎につき,くさび型にならない.
北海道、本州、四国、九州に分布.
丘陵地の湧水地や山地の池沼,湿地に生える.
県内では丘陵谷戸や箱根仙石原などに分布するが少ない.
シロネ Lycopus lucidus Turcz. ex Benth. 高さ 100cm 以上になる大型草本.
白く肥厚した地下茎をもち,茎は分枝しない.
北海道,本州,四国,九州;東アジア,北アメリカに分布.湿地に生える.
県内では横須賀市阿部倉町で採集された古い標本のほか,
1950 年ごろに川崎市向丘で多数を目撃した記録(神 RDB95)がある.
『神植目 33,神植誌 58』では産地を記載せずに登載.
『神RDB95,神 RDB06』では絶滅とされた.
茎や葉の下面に毛があるものをケシロネ form. hirtus (Regel) Kitag. といい,
『箱根目 58』に箱根仙石原の記録があるが,標本は未確認.
標本:横須賀市阿部倉町 1966.7.21 小板橋八千代 YCM-V015234.
*    *
ヒメシロネ(姫白根)と言えば、尾瀬等の山岳地で見れるものと思ってきた。
所がごく身近のところでも見ることができていた、とメモが出てきた。
昨日のブログでも記した様に三浦半島は、興味深い環境だ。
標高100mにも満たない平地環境でも山地の植物が自生している。
神奈川県の植物誌で確認できた。今の状況は、不明だが。
環境変異で、植物が消えて行く。いかんともしがたい。
シロネにしても今や見ることはできない。
神奈川県内では高度経済成長期の昭和40年(1965)頃に絶滅。
自然保護、そんな言葉が大きく語られる様になった時代でもあった。

「令和陸年(皇紀2684年)9月17日、記」


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《雅羅・/・襍〝備忘録24-23〟❖ ’24-260 ❖》

ツルギキョウ(蔓桔梗)キキョウ... ツルギキョウ(蔓桔梗)キキョウ科(Campanulaceae)ツルギキョウ属
学名:Campanumoea javanica var. japonica  絶滅危惧ll類(Vulnerable)
ツルギキョウ(蔓桔梗);ツルギ... ツルギキョウ(蔓桔梗);ツルギキョウ属

本州から九州の山地に稀に生えるツル性の多年草。

環境省レッドデーターブックでは絶滅危惧Ⅱ類。

花冠は1.5-2cm白色で基部は紫色で先端は反り返る。

雄性先熟。果実は赤紫色の液果で美しい。

ツルギキョウ(蔓桔梗)キキョウの仲間で蔓性なのでこの名がある。
絶滅危惧Ⅱ類(VU)、個体数は少なく見ることは稀。

山地の谷沿いの林縁や林内に生える蔓性の多年草。

根茎は多肉質で太く白色。茎は細く無毛で軟らかく、

不規則に曲がりながら他の草木に寄り掛かり伸びる。

つるを切ると白い乳液を出す。
葉は長さ2-6cmの柄があって互生または対生し、

長さ3-8cmの卵心形で薄く裏面は粉白を帯びる。

縁は波状で先は鈍くとがる。
花は葉腋に1個ずつつき、柄があって垂れ下がり咲く。

花冠は白色で基部が紫色を帯び広い鐘形で5中裂、

裂片は狭卵形で先は鋭くとがり反り返る。

萼は5深裂し裂片は広披針形で全縁、先はややとがる。

雄蕊は5個で直立し葯は長楕円形で花柱を取り巻く。

花柱先は5裂する。果実はキキョウ科には珍しく液果。

基部に萼が宿存した扁球形で赤紫色~紫黒色に熟す。

中には卵状楕円形の種子が多数入っている。

ツルニンジンやバアソブに似ているが別属で、

これらの果実は液果ではなく蒴果であることが大きな違い。
園芸種のツルニチニチソウもツルギキョウと呼ばれるが、別物。


**神奈川県植物誌**

3.ツルニンジン属 Codon... 3.ツルニンジン属 Codonopsis Wall.
 多くがつる性の多年草.地下に肥大した塊根がある.
葉は有柄で対生または互生,
しばしば悪臭がありつるを切ると白い汁が出る.
葉は対生または互生,
葉腋から出る側枝の先に大きさの不揃いな葉(苞葉)を偽輪生につけることがある,
花は主軸または枝の先端につく.花冠は 5 裂,雄しべは花冠と合着しない.
萼は 5 裂し,花冠と離れて子房につく.
子房は下位で 3~5 室,果実は液果または縦につぶれた扁球形で上端で裂開する蒴果.
中央アジア,南アジア,東アジアに約 444 種ある.
『神植誌 01』ではツルギキョウ属 Campanumoea Blume を分けたが,
ツルニンジン属に含められた.日本および県内に 3 種が自生する.
A.子房は萼筒と離れ,果実は液果
(1)ツルギキョウ
A.子房は萼筒と合着し,果実は蒴果
B.種子には広い翼があり,淡褐色で光沢がない.
花冠は広鐘形.側枝の葉(苞葉)はやや尾状鋭先頭で,
ふつう花時には上面周縁の疎毛を除き両面無毛
(2)ツルニンジン
B.種子にははっきりした翼がなく,黒褐色で光沢がある.
花冠は鐘形.側枝の葉(苞葉)はやや円頭で,
ふつう花時にも白色毛を上面に疎生,下面に密生する
(3)バアソブ
(1)ツルギキョウ Codonopsis javanica (Blume) Hook.f. & Thomson subsp. japonica (Makino) Lammers; Campanumoea
javanica Blume subsp. japonica (Makino) D.Y.Hong; Campanumoea javanica var. japonica Makino
つる性の多年草.全体無毛.葉は互生または対生し,葉身は卵心形で鈍頭,
環境によっては大きくなり長さ 3~11cm,質は薄く,下面は粉白色を帯びる.
葉柄は長さ2~8cm.花は葉腋に単生し,長さ1~2cmの柄があって下垂する.
本州(関東地方以西),四国,九州;台湾,中国(中南部)に分布する.
山地~丘陵地に稀に生える.
県内では『神植誌 88』以降に新たに分布が確認された種で,
最初に横須賀市平作で標本が採集され(西山 1996 FK (42): 453),
今回の調査では市内複数地点で採集され増えている.
県内のほかの地域で分布はない.
周辺では静岡県,千葉県,東京都に分布している.
『神 RDB06』絶滅危惧ⅠA 類,『国 RDB15』では絶滅危惧Ⅱ類.
標本:横須賀市平作 1994.11.29 西山清治 YCM-V034155;
1997.10.26 山田麻子 YCM-V034156; 2014.10.12 金子龍次 YCM-V064620;
横須賀市秋谷 2013.10.7 平野素・山室静子 YCM-V058042;
横須賀市衣笠町 2014.9.26YCM-V064450;
横須賀市津久井 2015.1.5 石橋美春 YCM-V063103;
横須賀市鴨居 2015.9.15 大前悦宏YCM-V062954;
横須賀市長坂 2016.9.24 三浦半島植物友の会 YCM-V066088 ほか.
《 里緑地(里山)の秋の花〝蔓... 《 里緑地(里山)の秋の花〝蔓桔梗〟 ❖ 8月下旬~10月上旬 ❖  》
この蔓桔梗は、神奈川県横須賀市にしか自生が観られない。
神奈川県内に限ってのことだが・・・。
横須賀市は、子供の頃の思い出の地。
両親のお供で植物採集に時折出掛けた。
ドウラン(植物を採集して入れるブリキやトタン製の容器)、
根掘り(スコップ)等を持っての探索。
昔は鑑賞だけでなく、珍しいものは採集したものであった。
横須賀市の大楠山周辺は、シダの宝庫出会った。
長井周辺の海岸辺りにも珍しい植物が見えたと聞いている。


「令和陸年(皇紀2684年)9月16日、記」
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《雅羅・/・襍〝備忘録24-22〟❖ ’24-259 ❖》

シラヒゲソウ(白髭草)丹沢山地... シラヒゲソウ(白髭草)丹沢山地。
シラヒゲソウ(白髭草) ニシキ... シラヒゲソウ(白髭草) ニシキギ科(Celastraceae)
  学名:Parnassia foliosa Hook.f. & Thomson var. folisa
シラヒゲソウ;ウメバチソウ属 ... シラヒゲソウ;ウメバチソウ属
シラヒゲソウは本州・四国・九州に分布する多年草。
山地の湿り気のある草地などに生え、茎高10~30cm。
湿地に生育するが、典型的な湿原は苦手のようである。
根生葉は、心円形で長さ幅とも1.5~4cm位。
長い葉柄があり茎葉は茎を抱き花茎に4~6枚葉をつける。
8月から9月頃、花茎を伸ばして白色の花を1個咲かせる。
花弁の長さは1cm前後。花弁の縁は、髭状に細く裂ける。
中央の雌蕊周辺には、3つに分かれた仮雄蕊がある。
それぞれの先端は黄色い球の腺体となっている。
**神奈川県植物誌** ウメバ... **神奈川県植物誌**
ウメバチソウ属( Parnassia L.)小型の多年草.
大日本植物誌 (1939)ではウメバチソウ科  に,
エングラー体系やクロンキスト体系ではユキノシタ科 に分類.
ニシキギ科の中では唯一の草本属である.
日本には、 3 種が分布し,県内には 2 種が見られる.
ウメバチソウとシラヒゲソウ。
* ウメバチソウ・・花弁は全縁.茎葉は 1 個.仮雄蕊は 12 ~ 22 分裂する 。
* シラヒゲソウ・・花弁の縁は細裂.茎葉は 2~6 個.仮雄蕊は 3 分裂する。
シラヒゲソウ ;根茎は短い.葉の基部は深い心形で,先端は円形でわずかに尖る.
花期は 8~9 月,有花茎は高さ 15~30cm.
茎葉は 4~6 個で無柄,茎を抱く.花弁は白色で,径 2~2.5cm,縁は細かく裂ける.
仮雄しべは深く 3 裂する.蒴果は長さ 6~7mm.
本州(太平洋側),四国,九州;中国東部,インド北部に分布.
県内では丹沢や箱根に見られる.
山地帯の湿った渓谷の岩場や崩壊地周辺で見られ,稀である.
根生葉は心形,全縁で長い柄がある.茎葉はないか多数.
花は両性で,茎の先端に単生.
花弁は白色で 5 個,全縁または細裂する.
雄しべは 5 個で,仮雄しべ 5 個は花弁と対生する.
心皮は 4 または 3.果実は蒴果.



《山麓の晩夏の花〝白髭草〟 ❖ 8月下旬~9月上旬 ❖  》
神奈川県内では、丹沢山地と金時... 神奈川県内では、丹沢山地と金時山周辺で観た(数十年も前)。
山間の湿地で特徴的な姿を魅せてくれた。
亜高山帯から高山帯でも自生してるところはある。
南アルプス 地蔵岳 山界にも自生地があった(現在は未確認)。


「令和陸年(皇紀2684年)9月15日、記」
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《雅羅・/・襍〝備忘録24-21〟❖ ’24-258 ❖》

ウメバチソウ(梅鉢草)ニシキギ... ウメバチソウ(梅鉢草)ニシキギ科(Celastraceae)
学名: Parnassia palustris L. var. palustris; P. palustris L. var. mulutiseta Ledeb.
(2012年頃の画像)
ウメバチソウ(梅鉢草);多年草... ウメバチソウ(梅鉢草);多年草
北海道〜九州の山野の日当たりのよい湿地に生える。
根生葉は数個が束生し、長い柄がある。
葉身は長さ幅とも2〜4cmの広卵形で、基部は心形。
無柄で茎を抱き花茎中間に1枚付き花期に無くなる。
花茎は、無柄で高さ10〜40cm。花期は、8~10月。
花は、1個で上向きに開く。花弁は5枚。雄蕊は5個。
茎頂に直径2〜2.5cmの白色の花を1個を上向きに開く。
花弁は5個、雄しべは5個。
花粉を出さない仮雄蕊5個(かりゅうずい) は、先が糸状に12~22裂し、
先端に小さい球状の黄色い腺体がつく。雌蕊の柱頭は4裂する。
子房上位で雌蕊の柱頭は4裂する。腺体の数によって種別判読する。
ウメバチソウは仮雄蕊1本に12~22個。
基本変種のエゾウメバチソウ は、 仮雄蕊の腺体は9~11個。
コウメバチソウ は小型の高山型。仮雄蕊の腺体は7~11個。
ヒメウメバチソウ  は仮雄蕊の先が3~5に分裂し、腺体がない。

ウメバチソウは仮雄蕊の先が糸状に分裂、黄色の腺体がつく。
この腺体の数で、蝦夷梅鉢草と梅鉢草に分類されている。
中間種を梅鉢草に統合し蝦夷梅鉢草を梅鉢草の別名とする説もある。
和名は花の形が梅の花に似ていることから。
《雅羅・/・襍〝備忘録24-2...
**神奈川県植物誌2018より... **神奈川県植物誌2018より。**
ウメバチソウ ;
 根茎は短い.葉の基部は心形,先端は円形でわずかに尖る.
花期は 9~11 月上旬.有花茎は 1~数本が直立し,
高さ 10~50cm.花弁は白色で,径 2~2.5cm.仮雄しべは 12~22 裂する.
蒴果は長さ 1~1.2cm.北海道,本州,四国,九州;台湾,東北アジア,
サハリン,千島列島に分布.
県内では丹沢,箱根の日当たりの良い湿った草地に生える.
かつては丘陵地にも生えていたようで,古い標本では,
川崎市多摩区登戸(1951.8.26 大場達之 KPM-NA0020550),
青葉区鉄町(1953.9.27 出口長男 KPM-NA0081124),
横須賀市須軽谷(1966.10.7 小板橋八千代 YCM-V010406)などがある.
また 1984 年に横浜市港南区舞岡町の谷戸(標高 70m)で、
生育が確認された(田中 1991 FK (30): 301).
中山(1998 柿生 里山今昔)は 、
1946年10 月に川崎市柿生(片平の中提谷戸)で写真撮影やスケッチをしたが,
そこは 1996 年に学校建設により消滅したと記している.
『神植目 33,神植誌 58,宮代目録』は低地の生育地に横浜や大船をあげている.
県内の山麓や低山域に分布していた個体群は絶滅したものが多く,
『神 RDB95』では減少種,『神RDB06』では絶滅危惧ⅠB 類とされた.


《  ウメバチソウ属の花Ⅰ〝梅鉢草〟 ❖ 8月下旬~9月上旬 ❖  》
若い頃、尾瀬や礼文島で楚々と咲くウメバチソウを観た。
「簡素」と言う表現を口にした、と思い出す。
花言葉に、いじらしい、とか不滅とある「うめばちそう」。
出会った花々、みな可憐に咲いていた。

“泉の森”という平地的里緑地だが、ここは、特異な環境と感じている。
思いもよらぬ花が顔をだしたり、羨望的感覚だがしっかりと探訪したい。

「令和陸年(皇紀2684年)9月14日、記」


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《雅羅・/・襍〝里緑地の花Ⅴ〟❖ ’24-257 ❖》

メドハギ(蓍萩)マメ科(Fab... メドハギ(蓍萩)マメ科(Fabaceae)
学名: Lespedeza cuneata (Dum.Cours.) G.Don var. cuneate
メドハギ(蓍萩);多年草
日本全土の日当たりのよい草地や道ばたに生える。
茎は高さ0.6〜1mになり、やや木質化し伏毛がある。
茎は直立してよく枝分かれし、枝... 茎は直立してよく枝分かれし、枝に沿って密に3小葉がつく。
小葉は長さ1~2.5㎝、幅2~4㎜の楔形~倒披針形、裏面には白色の伏毛がある。
花は葉腋に数個ずつつき、黄白色で長さ6~7mm、旗弁に紅紫色斑点がある。
閉鎖花も葉腋に数個ずつつき、豆果は主に閉鎖花から出来る。
萼歯は1脈が明瞭で先が鋭く尖り、萼の基部に短い小苞がある。
閉鎖花から出来た豆果の萼歯は普通の花から出来た豆果のものより短い。
豆果は長さ2.5~3.5㎜、幅約2.5㎜。疎らに毛があり1種子が入り熟後でも列開しない。
変種にハイメドハギ( var.... 変種にハイメドハギ( var. serpens  (Nakai) Ohwi.)がある。
地を這うように生え旗弁全体と花弁の先が紫色になる。蕾が紫色に見える。
土留めなどで輸入種子が使用され類似種が混入している。外来種は葉脈が網目状。
絶滅危惧種のサガミメドハギ(Lespedeza. hisauchii )はオオバメドハギに似てる。
小花柄に腺毛があり、葉両面に毛がある。
*神奈川県植物誌*
メドハギ;
多年草.茎は直立して,高さ 1m に達し,茎に沿って密に葉をつける.
花は葉腋に集まってつくが,淡黄色の花弁のある花と,花弁のない閉鎖花がある.
旗弁にはふつう紫斑があるが,まれに欠くものもある.
豆果はおもに閉鎖花から熟し,その萼裂片は 1 脈で,先端は豆果より明らかに短い.
豆果の表面はごく疎らに短毛が生える.
北海道,本州,四国,九州,琉球;東アジアに分布する.
川原や草原に生える.県内では山地の高所を除き広く分布し普通.
ハイメドハギ Lespedeza cuneata (Dum.Cours.) G.Don var. serpens (Nakai) Ohwi ex Shimabuku
葉や花などはメドハギと同じだが,茎は基部から倒れて地面を被って広がる.
花は基本種よりも紫色の部分が多い傾向がある.
茎の毛はメドハギと同様に伏すものと,
開出するもの(ケハイメドハギ L. serpens Nakai form. hirta Hiyama)があり,
後者の方が多い.県内では沿海地方を中心に広く分布するが少ない.
海岸砂浜や海岸近くの芝地や草原に生える.



《 里山緑地の花〝メドハギ(蓍萩)〟 ❖ 8月下旬~10月上旬 ❖  》
メドハギは、荒れ地にも生育する生命力が強いマメ科の植物.
夏から秋にかけて白い花を咲かせるが、小さな花過ぎて見向きもされない。
古く、茎を束ねて「めどき」と呼ばれ占いの道具に用いられた。名前の由来。
血糖値を下げる働きや、天然のバイアグラと呼ばれる強壮作用、美白効果等々、
民間薬として古くから用いられており、近年注目され始めている由。
秋の七草も薬草になる。 ハギ、... 秋の七草も薬草になる。

ハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウ。

「春の七草は食べるもの、秋の七草は鑑賞するもの」
こんな認識が一般的であったようだが、秋の七草は、立派な薬草。
ハギはやや痩せた土壌、日当たりのよい乾燥したところを好む。
七草の中でハギは唯一の「木」。
昔からハギの根を煎じて服用し、めまいやのぼせに効く。
熱冷まし、肺を潤すともいわれてきた。
だが、漢方薬の生薬には含まれておらず、成分の解明もされてはいない。
花の咲く時期に、直径数mm程度の枝を下のほうから刈り取る。
刈り取り後、葉も枝も含めて数cmに切り刻んで乾燥させ使用する。
乾燥した葉や茎を煎じてハギ茶とするが、バランスが難しい。
しかし、独特の香りと味がよい。すっきりした気分になる。
昨今、日常生活近くの環境で里緑地(里山)は機材を使い全面草刈り。
又は、伐採等を行わない故、フジバカマとキキョウは、絶滅危惧状態。
里山の景観において、袖群落・マント群落が消えつつある現況に危惧感を持つ。
画一的貧化で植物の減少、又は上手に利用するノウハウも消失しつつある。
日々の暮らしの中で自然環境との共生を考える必要がある、と痛感する。

こんな薬的なものまで市販されて...
こんな薬的なものまで市販されている。


「令和陸年(皇紀2684年)9月13日、記」


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《雅羅・/・襍録〝里緑地の花Ⅳ〟❖ ’24-256 ❖》

イヌハギ(犬萩)マメ科(Fab... イヌハギ(犬萩)マメ科(Fabaceae)
学名: Lespedeza tomentosa (Thunb.) Siebold ex Maxim.
イヌハギ; 環境省レッドリスト... イヌハギ;
環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類(VU)。
河原や海に近い日当たりのよい砂地に生える半低木状の多年草。
茎は基部が木化して直立して上部で分枝し、高さ1-1.5m。
全体に黄褐色の軟毛が密生する。
葉は互生し、長さ2-3cmの柄がある3出複葉。
頂小葉は長さ3-6cm、幅1.5-3cmの卵状楕円形で先は鈍形。
茎頂や上部の葉腋から出る長い総状花序、
黄白色で長さ0.8-1cmの蝶形花が多数つく。
萼は長さ約6mmで黄褐色の開出毛が密生して5深裂。
裂片は長さ4mmの狭披針形で先は針状にとがる。
花は黄白色~白色で、旗弁は長さ0.8-1cmの長楕円形。
翼弁は短く、楕円形。竜骨弁は旗弁とほぼ同長。
閉鎖花が葉腋に多数集まってつく。
閉鎖花は無弁で葉腋に多数が集まってつく。

《 里緑地(里山)の晩夏の花〝... 《 里緑地(里山)の晩夏の花〝犬萩〟 ❖ 2024/8月下旬~9月上旬 ❖  》
花名は、ハギに比べ花が目立たず地味なので「イヌ」の名を冠した由。
ネコハギよりも大きいことからついたという説、
又、「ネコハギ」の名はイヌハギより全体に多毛な事によるとの説もある。
何れにしても日本的な呼称で日本文化・歴史を理解していないと意味不明。

“マメ科植物の特徴・・・根粒菌”
ハギに代表されるマメ科の植物は、その根に根粒菌を寄生させている。
根粒菌とは、ハギ等の宿主に寄生し根に根粒というコブ(根粒)を作り出す。
コブは、大気中の窒素を吸収し宿主植物の栄養に変換し、宿主の成長を助ける。
こういった共生関係がハギのやせた土地での生育を可能にしている。

ーー秋田県立大学生物資源科学部 生物環境科学科 助教 佐藤孝ーー
畑の大豆を抜いて根っこを見てみると、根っこに数ミリメートルの瘤(こぶ)のようなものがいっぱいくっついています。これは根粒と呼ばれる器官で、この中に根粒菌(バクテリアの一種)という土壌微生物が住んでいます。根粒菌は大気中の窒素をアンモニアに変換し(窒素固定といいます)、植物の生育に欠かせない窒素を大豆に供給する働きをしています。
化学肥料のアンモニアは1000気圧という超高圧、500℃という高温のもとで窒素と水素の化学反応で工業的に作られますが、莫大なエネルギーを費やします。根粒菌はこの反応を常温常圧でいとも簡単にやってしまう、まさに自然が創造した「超すぐれもの」なのです。大豆に限らずマメ科植物(エンドウ、クローバーなども仲間なのです!)は、根粒菌と共生して窒素固定しています。自然界は不思議ですね。
ヘアリーベッチというマメ科植物がありますが、土壌改良や緑肥(土壌にすき込んで肥料にする)に使われ最近注目されています。しかし、比較的低温である東北地方や北海道では植栽がむずかしく、あまり普及していません。私達の研究室では、低温でも窒素固定活性が高い根粒菌を発見し、ヘアリーベッチの生育を促進させることに成功しました。この根粒菌をY629株と名づけて(特許出願中)、現在普及させるべく農家や仲間と活動中です。今後はヘアリーベッチで成功したこの技術を大豆栽培にも応用し、「スーパー根粒菌」を探し出して、安定した大豆生産に役立てたいと研究中です。


*神奈川県植物誌より*
半低木状の多年草.全体に黄褐色の軟毛が密生する.
茎は直立して高さ 1.5m に達し,下部が木化する.
小葉はやや大型の長楕円形で長さ 3~6cm.
有弁の花は白色で上部の葉腋から出る総状花序につき,
無弁の閉鎖花は葉腋に集まってつく.
本州,四国,九州,琉球;東アジアに分布する.
海岸近くや川原の砂地に生える.
県内では相模川沿いの地域で記録されたが稀.
『国 RDB15』は絶滅危惧Ⅱ類,『神 RDB06』では絶滅危惧Ⅰ B 類とされた.
《雅羅・/・襍録〝里緑地の花Ⅳ...
 

「令和陸年(皇紀2684年)9月12日、記」
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《 雅羅・/・襍〝備忘録'24-20〟❖ ’24-255 ❖ 》

ナベナ(鍋菜)スイカズラ科(C... ナベナ(鍋菜)スイカズラ科(Caprifoliaceae)
学名:Dipsacus japonicus Miq.
APG分類ではマツムシソウ科は、スイカズラ科に分類された。
ナベナ(鍋菜);2年草(越年草)、茎高1~2m位。
茎はよく分枝し、全体に刺状の剛毛が生えているが、
茎の下部は、下向きの長毛が密生している。
葉は、対生。下部は羽状に全裂し、翼のある柄がある。
羽片は長さ6〜15cmで鋸歯があり、下方のものは小型。
茎下部の葉は5裂、上部では0~3裂、頂葉片が最も大きい。
頭大羽状に全裂した裂片は、卵円形~楕円形。
花は枝先に多数の小さな花が集まり頭花となり径約2cmで淡紅紫色。
小花の花冠は筒状花で長さ約7mm、上部は4裂し裂片に長短がある。
総苞片は線形、長さ5~20cm、1列に並び反り返る。雄蕊は4個。
萼の先はコップ状に広がり、縁に毛がある。
雄蕊4個が突き出し、紫褐色の葯が目立つ。
花冠の間から突き出る緑色の刺状のものは花床鱗片。
小苞片(Flora of Chinaではbracteole)とも呼ばれる。
長さ約8㎜、先が刺状に尖り、褐色を帯び、毛が生える。
総苞片は1列、長さ5~20㎜の線形で垂れ下がる。花期は8~9月。
果実(痩果)の小総苞は4片からなり、8肋がある。
くさび形で長さ5~6mm、集まって球状になる。
花床の鱗片はくさび形で小花を包み、先に剛毛の生えた刺針がある。
葉は対生、左右対称で見事な釣り... 葉は対生、左右対称で見事な釣り合い。
葉が、基部まで羽状に切れ込み、
先端の裂片が最も大きく基部の裂片は小さい。
この様な形状の葉を頭大羽状裂と言う由。
各裂片の先端は尖り縁に鋸歯がある。
花も良いが、葉も見事なフォルムだ。
面白い咲き方。 面白い咲き方。
拡大した花は、更に複雑な構造を... 拡大した花は、更に複雑な構造をしている。
黒丸地点は、自生確認地だ。丹沢... 黒丸地点は、自生確認地だ。丹沢山地等、山間部に自生している。
平地で見ることは、無理とは思うが、間違って出てこないものだろうか。

*以上の画像は、すべて借り物*



《 泉の森では未確認の草本〝鍋菜〟》
泉の森の一部は、立入禁止。鍋菜〟が生育していそうな場所もありそう。
特異な泉の森であるがゆえに、夢膨らむ。
福島県会津地方や茨城県の筑波山麓等、出会った場所を重ねてみると、尚更である。
 
「令和陸年(皇紀2684年)9月11日、記」
 
 
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《雅羅・/・襍録〝里地の花Ⅲ〟❖ ’24-254 ❖》

オトコエシ(男郎花)スイカズラ... オトコエシ(男郎花)スイカズラ科(Caprifoliaceae)
学名:Patrinia villosa (Thunb.) Juss.
別名:オトコメシ、シロオミナエシ、シロアワバナ、ツチナ、トチナ等。
オミナエシ科はスイカズラ科に含められた。
花に近寄って見ると; 匐枝を出... 花に近寄って見ると;
匐枝を出して、広がる。茎の上部はほとんど無毛、下部は有毛。
葉は対生し、長さ3~15㎝。
上部の葉は分裂しないが、中部以下の葉は羽状に3~5深裂する。
頂部の葉が最も大きく、裂片は卵状長楕円形。
花は散房状に多数つき、花冠は白色、5裂する。
オミナエシは、花が黄色。
オミナエシの自生は少なくなったがオトコエシは多い。
又、オミナエシ属オトコエシ種内にオトコオミナエシがある。
高次倍数体間の交雑種であるが、黄花や白花が混在する。
仲間のオミナエシは匍匐枝を出さず、地下茎で増え、花は黄色。

《 泉の森・こもれび広場〝男郎... 《 泉の森・こもれび広場〝男郎花〟 ❖ 2024/8月下旬~9月上旬 ❖  》
泉の森の〝男郎花〟は、自生・野生種である。
画像の〝男郎花〟は、分植・移植したもの。
オトコエシ(男郎花)という名は、茎がより太く、葉がより厚い。
全体に逞しい印象を持つことに由来する。
開花状態の茎上部の傘状の大きな花序は、みごたえがある。
茎の根元からは匍匐枝(走出枝)、赤い蔓状の茎が横に伸びる。
その先に新たな株を作る。ときに山の谷間などでは大群落をなす。
秋に採取した根を乾燥させ煎じて飲めば、解熱や解毒に効果がある。
又、漢方名は「白花敗腐」。若葉の揚げ物もおつなものである。
オトコエシに似ている草花に“カノコソウ”がある。

「令和陸年(皇紀2684年)9月10日、記」
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《雅羅・/・襍録〝里緑地の花Ⅱ〟❖ ’24-253 ❖》

ナツエビネ(夏海老根)ラン科(... ナツエビネ(夏海老根)ラン科(Orchidaceae)
学名: Calanthe puberula Lindl.; C. reflexa Maxim.
常緑性で、やや湿った落葉樹林下... 常緑性で、やや湿った落葉樹林下にはえる。
偽球茎は、球形で地表近くをじゅず状に連なる。
葉は 3~5 枚,束生し長さ10~30cm。
狭長楕円形で先は尖り,縦のひだが目立つ。
表面は光沢無く白みをおびている。
花茎は基部葉腋より出て高さ20~40cmで短毛がある。
花期は 7~8 月。花は花茎の上半部に 8~20 個つけ淡紅紫色。
苞は披針形。萼片は狭卵形で上方に反る。
側花弁は線形で後方に曲がり、唇弁は心臓状卵形で前方に垂れ、
基部近くで 3 裂し中裂片は広楕円形で大きく先は尖る。
縁は細かくちじれ,隆起線はない。蒴果は倒卵形。
北海道(南部),本州,四国,九州に分布する。
県内では『神植目 33,神植誌 58』は塔ヶ岳,津久井,
横須賀,『箱根目 58』は神山が産地として記録されていた。
現在は、西丹沢のブナ帯や相模原市緑区(旧藤野町)、
それらのシイ・カシ帯の樹林内に生えるが稀。
『神 RDB95』では絶滅危惧種 ,
『神 RDB06』では絶滅危惧ⅠA 類とされた.

《 泉の森・山野草園〝夏海老根... 《 泉の森・山野草園〝夏海老根〟 ❖ 2024/8月下旬~9月上旬 ❖  》
泉の森の〝夏海老根〟は、自生・野生種ではなく植栽されたものに由。
すぐ近くにサイハイランがおり、開花期的には順繰りで良い。
今年の8月にすぐ脇の大木が伐採された。
今後にこの伐採が、周りの植物に如何に影響するか観察を続けたい。

「令和陸年(皇紀2684年)9月9日、記」
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《雅羅・/・襍録〝里緑地の花Ⅰ〟❖ ’24-252 ❖》

センニンソウ(仙人草)キンポウ... センニンソウ(仙人草)キンポウゲ科(Ranunculaceae)
学名: Clematis terniflora DC.; C. maximowicziana Franch. & Sav., Enum. Pl. Jap.
センニンソウ(仙人草);蔓性木... センニンソウ(仙人草);蔓性木質(半低木)の多年草。
自生場所は、シイ・カシ帯~ブナ帯下部に見られる。
葉は羽状複葉、小葉は 3~7 枚。小葉の葉形は卵形~狭披針形と変化がある。
夏に、枝の先端および葉腋から3出円錐状集散花序を出す。
白い小さな4弁花に見えるのは萼片で、白色の萼片4枚が十字形に平開する。
牡丹蔓に似ているが、仙人草の葉には切れ込みがない。
対して牡丹蔓には牡丹の葉のような切れ込みがある。
また、仙人草は草。 牡丹蔓は、基部が木質化し、木に分類される。
仙人草の茎や葉の切断面から出る汁や濡れた花粉に触れると炎症を起す有毒植物。
花名の由来は果実先端に長く伸びた毛が仙人の髭に似てる事による。


《 里山里地の晩夏の花〝仙人草〟 ❖ 2024/8月下旬~9月上旬 ❖  》
“せんにんそう”;
夏になると、各地の日当たりの良い道端の藪や山野で咲き誇る花。
白い花を沢山に纏ったセンニンソウは、目を引く程に見事だ。
センニンソウはつる性の多年草で、無毛の茎は勢いよく長く伸びる。
仙人草の別名には、ウマノハオトシ(馬の歯落とし)、ウマノハコボレ(馬歯欠)、
ウシクワズ(牛食わず)、ハコボレ(歯欠)、ハグサ(歯草)等がある。
此等の別名は有毒植物にゆえんする。
泉の森・シラカシの池東側(池東防衛林・仮称どんぐり広場)。
中に大きなホウノキがあり、脇の草地にアワブキが移植されている。
そんな所に、仙人草が咲き誇っていた。
柵にしたロープを蔓にしたように絡みつき、覆いかぶさった仙人草。
キンポウゲ科の学名はRANUNCULACEAE(ラナンキュラス)、
センニンソウ属の学名はClematis(クレマチス)、
どちらも園芸種の名前に使われて いる花名だ。
キンポウゲ科の植物は花弁状の萼片をつけるものが多く、
トリカブト属をはじめアルカロイドを含む有毒植物が多い。
 薬用として利用されるものもあるが。
花が美しく観賞用に栽培されるものも多い。日本には22属145種もある。
センニンソウ(クレマチス) 属にはつる性のものが多く、
葉は対生し葉柄で他のものに絡みつき、雄蕊、雌蕊が多数あるのが特徴。
半鐘蔓を除き風車・鉄線等、花が大きく上向きに咲く鑑賞用花。
この仙人草は在来種で、クレマチスの野生原種でもある。
オオアカマルノミハムシの仲間(ハムシ科の昆虫)は、
センニンソウの仲間の葉を食べて育つ、と図鑑で知った。
とか 甲虫が、集まっている姿を以前、見たことがある。
花には、わずかに芳香がある・・“ほのかな香り”
 
「令和陸年(皇紀2684年)9月8日、記」
 
 


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《雅羅・/・襍崋〝続・北岳花Ⅱ〟❖ ’24-251 ❖》

キタダケキンポウゲ (北岳金鳳... キタダケキンポウゲ (北岳金鳳花) キンポウゲ科(Ranunculaceae)
学名:Ranunculus kitadakeanus
キタダケキンポウゲ (北岳金鳳... キタダケキンポウゲ (北岳金鳳花);
草丈8~20cmの多年草。茎や葉柄には白い毛がある。
葉は細かく裂け、長さ1~2.5cmの細い糸状になる。
花は黄色で茎の先に1個つき、大きさ1.5cm程度。
萼片の外側に白い毛が生える。
本州・南アルプス北岳の稜線・岩場(礫地)の陰に自生している。
環境が厳しい場所、草丈も低く気をつけなければ見逃してしまう。
同じ仲間に八ヶ岳に咲くヤツガタケキンポウゲがある。
北岳を代表する初夏の花、7月上旬に咲き始める。絶滅危惧1B類 。
南アルプス・北岳~間ノ岳の稜線の岩場にだけ自生している。
“ミヤマキンポウゲ”よりはるかに小さい花。
キンポウゲ種らしく光沢ある黄色の花を花茎の先にひとつ咲かせる。
花弁の下に大きな萼片が5個付き、3深裂した細い茎葉が3枚つく。
根生葉は、切れ込みの深い3深裂。環境省:絶滅危惧ⅠB類(EN)
山梨県:絶滅危惧種ⅠA類(CR)に指定されている。


《 北岳の希少植物・続Ⅱ〝キタ... 《 北岳の希少植物・続Ⅱ〝キタダケキンポウゲ〟 ❖ 1970~/初夏 ❖ 》
“北岳金鳳花”;
南アルプスには標高3000mを超える高峰が14座、
それらの稜線周辺に多様な高山植物が自生している。
高山植物分布の特徴、南アルプス山岳地域は、日本列島南部に位置する。
又、植物の分布においては、南限にあたるものが多い。
地質学的においても多様で砂岩・花崗岩・石灰岩等々。
此等の場所に日本固有種、周北極要素の種、大陸要素の種が混在している。
固有種は特に最高峰の北岳に多く、キタダケソウはその代表的な種である。
キンポウゲ科の植物で南東面の石灰岩地に生育し、
花は白く雪どけと同時に開花する。
その為、7月初めのまだ雪深い大樺沢の雪渓を登らなければ見れない。
かつては盗掘に会い、その個体数は減少したが、現在は回復している。
北岳と名の付く植物は多い。キタダケキンポウゲは、その代表的なもの。
石灰岩地の白い岸壁に鮮やかな紫色の花をつけるミヤマムラサキも特徴的。
北極圏でよく見られる仲間で、日本列島に分布を広げてきたと思われる花々、
チョウノスケソウ、ムカゴユキノシタ、タカネマンテマ、ムカゴトラノウ、
此等の花々は、南アルプス中部が南限となる。
このうち、ムカゴユキノシタは「むかご」を持つこと、
タカネマンテマは「ぼんぼり状のガク」を持つことでよく知られているが、
これらは極端に個体数が少なく、保護を必要とする植物である。
チョウノスケソウは氷河期に北極圏から放射状に分布を広げた代表的な植物。
かつて、日本列島に広く分布を広げたが、
現在では南アルプスと八ヶ岳の限られた場所に集中的に自生している。
北アルプスにはわずかしか自生していないが、
須川長之助が初めて発見した地は富山県の立山である。
この植物は学術的にも大変に貴重な存在で、
北極域からの分布経路に関する遺伝子解析の対象となっている。
高山植物が数多くかつ広範囲に生育している場所を「お花畑」と呼ぶ。
このような場所は一般に草丈の高いキンポウゲ科の花々が優占している。
その代表的なものは千丈ヶ岳の馬の背、北岳南東面、塩見岳雪渓跡地、
三伏峠、千枚岳南面、荒川前岳の南西斜面(荒川のお花畑)で、
これらが成立する土壌は水分条件がよく夏期には美しい花園となる。
しかし、現在その多くがニホンジカの食害に会い、
かつてのお花畑は見られなくなってしまった。
その中でも荒川のお花畑と北岳のキタダケソウ群落の一部は、
シカの侵入を防ぐ柵を設置することにより、シカの食害を防いでいる。
そのほかシカ柵を設置した場所の多くは現在回復の方向に向かっている。
**ある資料で拜読、昔を感慨深く思った一瞬であった。**
南アルプスには氷河時代に作られた氷河地形がたくさん残る山域。
それらは日本列島における氷河地形の南限でもある。
高山植物の多くは山岳域に残る氷河地形(カール地形)に対応している。
南限のカール地形として最もその特徴を維持したまま残っている山域、
顕著なのは、荒川三山の前岳の南面カールである。
そこには、カール地形の特徴に対応し多くの高山植物が生育している。

今年の夏は、私的雑用でいっぱいだった。出かける時間をもてなかった。
お陰で、昔を思い返す時間をもてた。

「令和陸年(皇紀2684年)9月7日、記」
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《雅羅・/・襍崋〝続・北岳花Ⅰ〟❖ ’24-250 ❖》

ミヤマハナシノブ (深山花忍)... ミヤマハナシノブ (深山花忍) ハナシノブ科 (Polemoniaceae)
学名:Polemonium caeruleum subsp. yezoense var. nipponicum
ミヤマハナシノブ (深山花忍); ハナシノブ属

北岳を代表する初夏の花。7月上旬に咲き始める。
右俣コースなど草地に生える。
花は淡青紫色で花冠は2cmほどの漏斗形。
草丈40~50cmの多年草。葉は互生し羽状に深裂する。
小葉は7~9対あり、長さ2~5cm、幅0.3~1.5cm。
花は散房花序につき、花冠は淡青紫色で5深裂する。
花柄や萼の基部に短い腺毛と細毛がある。
萼は3分の2ほど切れ込む。
(北岳・肩の小屋HPより)

北岳登山で多くの登山者が選ぶルート、大樺沢沿いに登るコース。
沢沿いを登る。明るく開放的で花も多い。黙々と登るのだが。。!
二俣が近づくと、天空のお花畑が迎えてくれる。
北岳バットレスの勇壮な姿もお花畑と一体化して素晴らしい。
その景観は、登ってきた疲れを忘れさせてくれる。
お花畑の中に北岳では然程珍しくないが、
清楚な“深山花忍”が顔を見せてくれる。。。!
日本固有種の高山植物、限られた場所でしか見えない。
絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されている。

《 北岳の希少植物・続Ⅰ〝ミヤ... 《 北岳の希少植物・続Ⅰ〝ミヤマハナシノブ〟 ❖ 1970~/初夏 ❖ 》
“深山花忍”、古風と感じる青紫の清楚な花(箱根湿生花園では毎年見れる)。
ミヤマハナシノブ(深山花忍);
花名の由来は、シダ植物「シノブ」の葉に似ていることからに由。
優美な姿、それ故の宿命か!盗掘で姿を消しつつあった。
30年以上も前のことだが、盗掘者(5名グループ)が送検された。
罰金刑であったが、其の数人が園芸店をいまでも開業している。
絶滅危惧種の販売、一寸ひっかかる。
北アルプスでは希少で清水岳(しょうずだけ)で探すのに苦労したものだ。
今では、普通の登山でみれる花だ。それ故、さらなる盗掘が心配だ。
紙のように薄い花冠、空色というにふさわしい明るい青。
「はなしのぶ」という名にふさわしい可憐な花。
北岳に、清水岳に、今一度訪ねたい。
真夏の花々を書いたが、この〝ミヤマハナシノブ〟は、外せない。

「令和陸年(皇紀2684年)9月6日、記」


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《雅羅・/・襍懐古〝山羊歯Ⅳ〟❖ ’24-249 ❖》

キタダケデンダ(北岳連朶)イワ... キタダケデンダ(北岳連朶)イワデンダ科 (Woodsiaceae)
学名: Woodsia subcordata Turcz
別名:ヒメデンダ(姫連朶)
絶滅危惧ⅠA類 (CR) / 環境省レッドリスト2020 , 2020 . 
場所によっては、生え方も違う。 場所によっては、生え方も違う。
胞子も絵になる。 胞子も絵になる。
小葉も枝も環境に対処するように... 小葉も枝も環境に対処するように細い毛が見える。

左側高所が北岳山頂、右下が肩の... 左側高所が北岳山頂、右下が肩の小屋。
この周辺が、日本屈指の・・高山植物の宝庫。

*以上の画像、すべて借り物画像。
《 北岳の羊歯  Ⅳ〝北岳連朶〟 ❖ 1970~/夏 ❖ 》
南アルプスの高山や、八ヶ岳、北海道にも自生している珍しいシダ。
キタダケデンダ;
タカネシダ(オシダ科)やトガクシシダ(イワデンダ科)、
この2種とは、極めて似通っている。慎重かつ真摯な観察が必要である。
平凡社の図鑑と山渓の図鑑のキタダケデンダの写真は、タカネシダっぽい。
かような指摘をしてるHPを拜した。まともな、勇気ある指摘でありがたい。

高山性の夏緑性シダ。葉は長さ15 cmほど、根茎は直立状を呈する。
一見して、同属イワデンダの趣きがあるのだが、
羽片は中~浅裂、葉柄の関節は、葉柄の半分からやや上の所にある。
基部に鱗片があり、根茎、葉柄基部の鱗片は、卵状披針形から披針形。
高山帯の岩の割れ目などに自生しているが、見つけるのが大変だった。
岩場の岩壁崩落等で生育環境変化、登山者の増加で絶滅が危惧される。
今では、尾瀬に自生が見つかっている。それでも絶滅の危機には変わらない。
他方、下界の園芸店には鉢植えで販売されている。販売物の出処は???
そんな販売物を見ていると、自生地の保存・保全は急務と思うのである。
それにしても園芸店のそれは¥1.000に満たない。淋しい感覚に落ち入る。
 
「令和陸年(皇紀2684年)9月5日、記」


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《雅羅・/・襍懐古〝山羊歯Ⅲ〟❖ ’24-248 ❖》

《雅羅・/・襍懐古〝山羊歯Ⅲ〟...
《雅羅・/・襍懐古〝山羊歯Ⅲ〟...
《雅羅・/・襍懐古〝山羊歯Ⅲ〟...
ヒイラギデンダ(柊連朶)オシダ... ヒイラギデンダ(柊連朶)オシダ科(Dryopteridaceae)
学名:Polystichum lonchitis 
別名:ヒイラギシダ、クモイカグマ 
絶滅危惧ⅠB類 (EN) / 環境省レッドリスト2020 , 2020 .
以上、4点の画像は、拝借画像。
最近撮影された画像のようだが、撮影にご苦労されたと感じる。

平地で育てた画像。 *筑波実験... 平地で育てた画像。
*筑波実験植物園*

以上の画像すべて借り物。
昔、北岳で撮影したが、当時のプリント画像がみつからない。


《 北岳の羊歯  Ⅲ〝柊連朶〟 ❖ 1970~/夏 ❖ 》
“北岳”周辺のみに自生している羊歯類で自生個数少ない。
ヒイラギデンダ;
北半球の高山帯に見られるシダの仲間。
日本では山梨県の北岳の山頂付近にのみ自生している。
希少種の中でも極めて個体数が少ない。氷河期の遺存種。
近く絶滅が心配される絶滅危惧1B類に入れられている。
オシダの仲間だが、小型で葉が羽状に切れ込んでいる。
その縁がぎざぎざになっているのが特徴。葉にはつやがある。
 
「令和陸年(皇紀2684年)9月4日、記」


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《雅羅・/・襍懐古〝山羊歯Ⅱ〟❖ ’24-247 ❖》

トガクシデンダ(戸隠連朶)イワ... トガクシデンダ(戸隠連朶)イワデンダ科(Woodsiaceae)
学名:Woodsia glabella 

亜高山帯から高山帯の岩の隙間を好んで生育している夏緑生シダ。
山梨県では北岳周辺に生育しているが鳳凰山でも確認されている。
軸の根元から3分の1付近に関節(節目)があるのが特徴。
ソーラスは小羽片のやや辺縁寄りに付着する。
ナヨシダとの違い、トガクシデンダは葉柄の途中に関節があり、葉の幅が狭い。
岩の割れ目で根元まで確認出来ないが、最下部近くの羽片が丸くて扇型で確認。
高山帯の岩上や地上に見られる常緑のシダ。長さ10cm程度。
茎の基部は分岐して直立茎を伸ばす。
葉は開出するものが多く、黄緑色から緑色。
植物体の大きさや葉の形に変異が多い。

《雅羅・/・襍懐古〝山羊歯Ⅱ〟...
《 北岳の羊歯  Ⅱ〝戸隠連朶〟 ❖ 1970~/夏 ❖ 》
“北岳”周辺には羊歯類も色々生育しているのだが、識別に苦労した。
トガクシデンダ(イワデンダ科)も中々識別出来なかった一つ。
回を重ねてなんとなく識別できるようになったが。。。
数十年も経っているのに未だ未だ未熟で明確に識別できないでいる。
最近、羊歯の勉強に参考にさせて頂いてるサイトが下記。
南アルプス北部個々のシダ/トガクシデンダ - 神奈川県のシダ植物
 
「令和陸年(皇紀2684年)9月3日、記」


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《雅羅・/・襍備忘録〝山羊歯I〟❖ ’24-246 ❖》

コスギラン(小杉蘭)ヒカゲノカ... コスギラン(小杉蘭)ヒカゲノカズラ科(Lycopodiaceae)
学名:Lycopodium selago
白い花の様に見えるのは無性芽(... 白い花の様に見えるのは無性芽(図鑑で知り得た)。


《 北岳の羊歯  Ⅰ〝小杉欄〟... 《 北岳の羊歯  Ⅰ〝小杉欄〟 ❖ 1970~/夏 ❖ 》
“北岳”周辺には羊歯類も色々生育している。
思い出すままに週種類を備忘録に加えたい。再訪?のために。
大樺沢左又上部のハシゴを登り暫く登ると八本歯のコル。
このコルから北岳山荘までは、羊歯類も多く見られる。
高山性シダの生育地といっても小さな羊歯ゆえ探すのが大変だ。
色々あることは、知識として知っていたが、面白い名前の羊歯。
コスギランのことだが、実際に見たことはなかった(昔の話)。
コケの仲間!?! 名前は・・・ラン、不可思議なシダ。
白い花の様な無性芽(図鑑を見て驚き)!!!
マクロ撮影できる機材を持参していなかった。
デジカメなどまだなかった頃。銀塩フィルムカメラで重かった。
登山用装備は、最小限度。更には、バイトゆえ三脚など携行していない。
生息場所と株数を調べるだけの初山行(北岳周辺)。
その後幾度となく観た“コスギラン”思い出の羊歯第一号で感慨深い。

「令和陸年(皇紀2684年)9月2日、記」
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《雅羅・/・襍〝備忘録'24-19〟❖ ’24-245 ❖》

ヒメヤナギラン(姫柳蘭)アカバ... ヒメヤナギラン(姫柳蘭)アカバナ科(Onagraceae)
学名:Chamaenerion latifolium (L.) Sweet 
synonym Epilobium kesamitsui T.Yamaz
維管束植物 離弁花類 /アカバナ科 /ヤナギラン属
《 北岳感慨の締め〝姫柳蘭〟 ... 《 北岳感慨の締め〝姫柳蘭〟 ❖ 1985~/夏 ❖ 》
ヒメヤナギラン(姫柳蘭);
日本の南アルプス北岳に特化し、キタダケヤナギランとも云われる。
英名はalpine fireweed , broadleaf willowherb , dwarf fireweed , river-beauty 。
川沿いや山地の湿った砂利の多い場所に生える多年草。
北岳直下のトラバース道という場所に咲咲く草丈30cm程の花。
『キタダケヤナギラン(ヒメヤナギラン)』。
ヤナギランに似るが花も茎も小さい。可愛いヤナギランだ。
特定・命名されたのは1987年だったと思う。
直立、叢生し、太い木質の根茎と根の針金状の固まりをもつ。
茎は高さ12~35㎝、下部は無毛、稀に上部の茎と花序に密に小剛毛がある。
葉は葉柄が無又は長さ2㎜以下。
根生葉の葉身は褐色、三角状卵形、長さ5~10㎜、類膜質。
茎葉の葉身は緑色~淡緑色、楕円形~披針状楕円形、長さ2~5㎝×幅0.6~1.7㎝。
葉は、無毛か小剛毛があり(脈に多い)、側脈は不明瞭で各側に3~4本。
基部は鈍形又は楔形、縁は全縁だが、離れた点状の歯がある。
葉には、4~7歯をもち、先は鈍形又は尖鋭形。
苞は茎葉の長さの約1/2、草質。
花序はまばら~中程度に小剛毛がある。
花は蕾では直立、花期の初期には下を向く。
萼片は長さ1~1.6㎝×幅1.5~3.5㎜。
花弁はロズパープル色又はピンク色で長さ1~2.4㎝×幅7~15㎜位。
子房は紫緑色、長さ1~2㎝、密に灰白軟毛がある。
花柱は長さ3.5~8㎜、無毛。蒴果は長さ2.5~8㎝、小剛毛がある。
花柄は長さ1.2~2.5㎝。(以上は、植物研究雑誌、他から引用記載)

9月1日  “二百十日!?!” は、立春から数えて二百十日目。
嵐の襲来する時期とされてきた。今年も台風に翻弄させられた!
9月1日は、個人的には、区切りの日。新たな感慨を持って進みたい。
先年から始めた私事も少しずつ動き始めている。
新たな気概を以って、心して9月1日を迎えた。
そんな日に似合う花(勝手に思う)、高山植物として再考する花。
北岳の中で私的だが最後まで識別出来なかったキタダケヤナギラン。
このヒメヤナギランは、単に全体が小型のヤナギランとお思っていた。
正式に別種とされて以来、一度しか目にしていない。
公私ともに、転換期に出会ったヤナギラン属の花々。
尾瀬に、北岳に再訪しなければ、と思った9月1日。
どことなく秋近しと感ずるは9月に入ったが故か。

「令和陸年(皇紀2684年)9月1日、記」
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