10月
31日,
2024年
《 雅羅・/・〝里緑地の花 '10-12〟❖ ’24-305 ❖ 》
北海道、本州、四国、九州、各地の山地の木陰や草原に生える。
地下茎は、黒色を帯び横に伸びる。
茎は単一で直立し高さ1mに達し、上部は分枝する。
茎の下部は、無毛で頂端に白色の細毛を密生させる。
葉は互生、基部に近い茎葉は2~3出複葉。
長さ30㎝以下の長柄で、葉柄基部は膜質となって茎を抱く。
小葉の葉身は卵状三角形、長さ30㎝以下、頂小葉は披針形~菱形。
普通、3裂し縁は不揃いの鋸歯縁。側小葉は、無柄で頂小葉より小さい。
葉裏は脈上に僅かに毛があり葉表は無毛。上部の茎葉は小さく1~2出複葉。
茎頂および分岐した茎の先に長い穂状花序をつける。
花柄は5〜10mmで短毛。雄花と両性花とが混生する。
苞は先細、小花柄より短く小花柄は長さ5~10㎜前後。
萼片は、4~5枚、舟形で蕾を包み花弁状、背に短毛がある。
花弁は白色3〜5mm。先は2浅裂し雄蕊に混ざって先端が曲がる。
雄蕊は多数、長さ5〜6mm、花糸は無毛で先が少し広がる。
萼片・花弁ともに花が咲くと落ちてしまう。
花糸は白色、狭い線形で長さ5㎜位で無毛。葯は楕円形、長さ約1㎜。
雄蕊が伸びると多数の長い雄蕊が、ブラシ状のように見える。
雄蕊の数は変化あり、心皮は2~8個、灰色~白色の毛で有柄。
花の散った後、果柄に数個の楕円形袋果がつく。花柱は、先が少し曲がる。
熟すと口が割れて種子がこぼれる。種子は数個入っている。
楕円形で長さ約3.5㎜位。周囲に鱗片状の翼がある。
《 里緑地で新た開花していた〝晒菜升麻〟》

7.サラシナショウマ属 Cimicifuga L. ex Wernisch.
多年草.根茎は発達する.
根生葉は大型で長柄あり 3 出複葉.花序は頂生して総状または穂状,
萼片は花弁状で4~5 枚,花弁は 1~8 枚でふつう下部に蜜腺がある.
萼片や花弁は早落し,多数の雄しべが萼片や花弁より長く,
白く目立つ.果実は袋果.
北半球の暖帯以北に約 15 種ある.
日本には 3 種があり,いずれも県内に産する.
ルイヨウショウマ属 Actaea に含める見解もあるが,
Cimicifuga が側系統群である確実な証拠が見出せないため,
ここでは従来通りまとめた.
A.花には花柄がある.葉下面脈上の毛は屈毛 ..................................................................................(1)サラシナショウマ
A.花はほとんど無柄,葉下面脈上の毛は縮れて開出
B.葉は 1~2 回 3 出複生し,上面脈上有毛 ............................................................................................(2)イヌショウマ
B.葉は 1 回 3 出複生し,上面脈上無毛 ..............................................................................................(3)オオバショウマ

今回、新たに別場所に開花していると聞き、訪ねてみた。
神奈川県内では、シイ・カシ帯の丘陵からブナ帯まで林内に生え、
県央の沖積層を除きほぼ全域に自生・分布する、と資料にある。
ここ泉の森は、沖積層、洪積層が混在している場所に映る(私見)。
地質学での地質年代は検証されているが、泉の森の植生環境は分析を見ない。
散策していると、不可思議な植物と出会えて楽しい。
今回見た晒菜升麻は、中々見つけられない場所。
散策路下、崖の下で草木に隠れ余程注意深く探さないと。
よくぞ見つけたものだと感心する。
而して見えやすく周りをつぼ刈りしてあるではないか!!
こんな気遣いをしてくださる植物調査をされてるご婦人達。
里山緑地の調査、保存・保全の姿を見た思いだった。
自然(植物)とは、まず見つけることに始まる。
里山緑地にして然りだ。感謝感謝の思いで花と対話した。
サラシナショウマは、山菜としても美味である。
若葉を茹でて水にさらし山菜として食したものだ。
食料不足だった子供の頃、野草で食卓は潤っていた。
又、升麻(ショウマ)って、漢方的に生薬でもある。
解熱、解毒、扁桃腺、口内の腫れ等に効く。
10~11月に根を掘り、洗って日干しにする。
「令和陸年(皇紀2684年)10月31日」
10月
30日,
2024年
《 雅羅・/・襍感〝晩秋=初冬〟❖ ’24-304 ❖ 》

北海道〜九州の山地の落葉樹林内に生える。
つるから気根を出して、ほかの樹木の幹をはい登り、
日の当たる樹冠部で枝を広げる。秋には紅葉する。
樹皮は黒褐色。
若枝には褐色の毛が密生するが、
のちに無毛になり、小さい皮目が無数にできる。
本年枝は直径2〜5mm。葉は互生。3出複葉。
小葉は卵形または楕円形で、先は短くとがり、
基部はくさび形または円形。
側脈は7〜9対。頂小葉は長さ5〜15cm、幅3〜9cm、
側小葉は長さ5〜12cm、幅3.5〜7cm。
表面は無毛、裏面は側脈の基部に褐色の毛が密生する。
成木の葉は全縁だが、幼木の葉には粗い鋸歯がある。雌雄別株。
葉腋から総状花序をのばし、黄緑色の小さな花を多数つける。
花序は長さ3〜5cm。
花弁は5個、長さ約3mmの長楕円形で、雄花も雌花も反り返る。
雄花の雄しべは5個。
雌花には退化した雄しべが5個と雌しべが1個ある。
花柱は3裂する。果実は核果。
直径5〜6mmの扁球形で縦の筋があり、
表面には短い刺毛が散生する。
8〜9月に黄褐色に熟す。
のちに外果皮は剥がれ、白いロウ質の中果皮が露出する。
核は黄褐色で扁球形。花期は5〜6月。
冬芽は裸芽で褐色の毛が密生する。頂芽は長さ4〜8mm。
側芽は球形〜卵形で長さ1〜3mm。
葉痕はハート形〜腎臓形でやや隆起する。
維管束痕は7個。(樹に咲く花)
《 身近の紅葉に愛でたい樹〝ツタウルシ〟》

1.ウルシ属 Toxicodendron Mill.
落葉高木または低木,ときにつる性の木本.
葉は互生し,奇数羽状または 3 出複葉.
花は雌雄異株または雌雄雑居性.
葉腋に円錐花序を出す.萼,花弁,雄しべは 4~6 個.
子房は上位 1 室,花柱 3,核果はやや偏平.
本属は一般に秋に紅葉する.温帯~熱帯に 22 種がある.
日本に 5 種があり,この内 1 種はウルシで栽培され逸出している.
A.葉は 3 出複葉.
気根により他物にからまって上昇するつる植物(藤本)............................................(1)ツタウルシ
(1)ツタウルシ Toxicodendron orientale Greene; Rhus ambigua Lavallée ex Dippel
つる性木本.気根が出て他の樹木にはい上がる.
葉は 3 小葉からなり,羽状脈をもち,卵形~楕円形で長さ 5~15cm,
全縁(幼葉には粗鋸歯がある).葉の下面の中部の脈腋に褐毛がある.
雌雄異株.北海道,本州,四国,九州;サハリン,千島に分布.
山地~丘陵に生える.
幼木の葉はブドウ科のツタ Parthenocissus tricuspidata (Siebold& Zucc.) Planch. に似るが,
ツタは 3 出脈で葉の下面脈腋に毛叢がなく,
枝の変化したつるの先端の吸盤で上昇する.
*
近間の里緑地では見かけない。否、探しきれていない。
茅野市北山・軽井沢・丹沢等で見た。
紅葉見物に遠出できないときは、鎌倉で出会っていた。
鎌倉での紅葉散策の第一弾だった。
鎌倉を離れて、暫く見ていない。
「令和陸年(皇紀2684年)10月30日」
10月
29日,
2024年
《 雅羅・/・襍〝備忘録 24-44〟❖ ’24-303 ❖ 》

学名:Neolitsea sericea (Blume) Koidz.
別名:シロタブ、タマガラ、オキノミノキ
上画像、シロダモ雌株。赤い実と奥・黄色い雌花。

シロダモ; (常緑小高木)
宮城・山形県〜沖縄の暖地の山野の比較的湿潤なところに生える。
樹高10〜15mになる。樹皮は緑色を帯びた暗褐色。
まるい小さな皮目が多く新枝には黄褐色の毛が密生する。
葉は互生。枝の先に集まってつく。
葉身は長さ8〜18cm、幅4〜8cmの長楕円形~卵状長楕円形で全縁。
3脈が目立つ。若葉は垂れ下がり、両面とも黄褐色の絹毛に覆われる。
成葉になると表面は無毛。裏面はロウ質におおわれて灰白色。
多少絹毛が残る。葉柄は長さ2〜3cm。雌雄別株。
葉のわきに黄褐色の小さな花が集まってつく。総苞片は広楕円形。
花被片は4個。雄花の雄蕊6個。葯は4室、内面に2室、左右に2室。
雄花にも雌蕊があるが結実しない。
雌花には雌蕊1個と仮雄しべが6個ある。花被片は4個あり、平開する。
葯のない棒状の仮雄しべと黄色い腺体がある。
果実は液果、長さ1.5cm前後の楕円形。翌年の10〜11月に赤く熟す。
種子は球形。花期は10〜11月。
冬芽の葉芽は長楕円形で先端は尖る。花芽は球形で無柄。(樹に咲く花)
クスノキ科の特徴に葯には弁がある。
果実が黄色く熟すものをキミノシロダモという。

6.シロダモ属 Neolitsea (Benth. & Hook.f.) Merr.
常緑高木または低木.雌雄異株.
花序は散形,花芽は数個の総苞片に包まれる.
アジア,オーストラリアの熱帯および亜熱帯に約 85 種が知られる.
日本に 3 種が分布し,県内には 2 種がある.
A.葉は長楕円形で長さ 8~18cm,下面は著しい白色.花は秋に咲き黄色.
果実は赤く熟す ..................(1)シロダモ
(1)シロダモ Neolitsea sericea (Blume) Koidz. var. sericea
常緑低木.冬芽はふく瓦状の鱗片に包まれる.
葉は互生,枝の上部ではときに偽輪生になり,葉柄の長さ 2~3cm,
3 行脈があり,下面は著しい白色,若葉は両面に黄金色の絹状毛がある.
花期は 10 月.散形花序は葉腋から枝中間の落葉痕につく.
果実は液果で翌年の秋に赤色に熟し,雌株では花と果実が同時に見られる.
本州,四国,九州,琉球;朝鮮半島(南部)に分布.
県内ではシイ・カシ帯のほぼ全域で見られる.
*
シロダモ(白梻)の思い出。
花期の11月頃、冬山の準備・トレーニングに夢中になっていた若い頃。
横須賀線・東逗子駅から鷹取山によく通った。
今でこそしっかりと緑地公園かしている鷹取山周辺だが、
まだまだ素朴な緑地・・地元民の遊び緑地だった。
そんな地への入口にある神武寺(逗子市)。
そこは、今でも自然豊かな緑地である。
その神武寺にシロダモが居り、花と実を魅せて居た。
花柱痕(かちゅうこん)がそれほど大きくないシロダモ。
実が赤く熟したはずなのに続いて花が咲く不思議。
花が咲くまで赤い実が傷まず残っているは稀と聞いた。
「令和陸年(皇紀2684年)10月29日」
10月
28日,
2024年
《 雅羅・/・〝備忘録 24-43〟❖ ’24-302 ❖ 》

本州(房総半島南部以西の太平洋側)・四国・九州・沖縄に自生している。
暖地の海岸に多くみられ、群落もある。
茎は中空、下向きの小刺があり分枝が多く地を這うように広がる。
節から根を出し、上部は直立し高さ 30 - 100 cm。
葉は、互生。先が尖った卵形〜楕円形で短い葉柄がある。
両面に星状毛と刺毛があり,縁毛は密生する。
托葉鞘は長さ 5 - 8 mmの短い筒形で,
上部が葉状に広がるものと縁毛だけの2種ある。

白色または淡紅色の花弁に見える部分は萼。
花被は長さ 4 - 7 mmで先端が5裂し花柄には赤色の線毛がある。
花後に花被片は肥厚し液質になり、青味がかった黒色に熟す。
果実は黒色の痩果で、肉質になった花被片に包まれる。
名は、ツル性で花がソバに似ることから。
実をサラダに添え、新芽はあえ物や天ぷらにして食す。
《 身近で確認できていない植物〝蔓蕎麦〟》
10月
27日,
2024年
《 雅羅・/・〝里緑地の花 '10-11〟❖ ’24-301 ❖ 》

学名:Aster yomena var. dentatus
(Kalimeris pseudoyomena, K.yomena subsp.dentata, K.pinnatifida var.dentata)
『植物観察』
ヨメナ&カントウヨメナ❁ユウガギクetc
ヨメナ(嫁菜)とは、花の姿がやさしいので「嫁」に由。
ヨメナ は関西に、カントウヨメナ は関東に育つというのが通説。
花の色はヨメナは薄い紫、カントウヨメナは白、
というのが一般的だが、薄紫も存在する。
ノコンギクの葉はやや丸みがあり、葉の両面に短毛が生え、ざらつく。
ユウガギクは葉が薄く、中裂する。
カントウヨメナ(関東嫁菜);
草丈50~120cmの多年草。ヨメナによく似ているが以下の点が異なる。
葉はヨメナよりも鋸歯が深くて大きい。
頭花は径約2.5cmとヨメナ(約3cm)より小さく、冠毛は0.25mmとヨメナより短い。
葉の鋸歯がヨメナより深いことなどが違いとされている。
しかし、関東地方にはユウガギクというよく似た野菊があり、
見分けは、苦労する。
カントウヨメナは、花は淡紅紫色、ユウガギクは普通白色、
葉はやや厚く鋸歯は小さい。
ユウガギクの葉は薄く、縁は羽状中裂することが多い。
田んぼの土手や湿った草むら等、どの花も普通に見かける。
花を特定するのは、厄介。同属のキク科の花だし。。。!
*
カントウヨメナ(関東嫁菜)考!?!
カントウヨメナの学名“pseudoyomena”のpseudoの意味は、、、
似た・・・にせものと言った意味がある。
関東嫁菜の特徴とされるは、茎高50cm~100cm。
似た・・・にせものと言った意味がある。
関東嫁菜の特徴とされるは、茎高50cm~100cm。
地下茎を伸ばして増え、小枝の先に直径約3cmの頭花を1個ずつ付ける。
舌状花は淡青紫色~白色で、中心の筒状花は黄色。
舌状花は淡青紫色~白色で、中心の筒状花は黄色。
舌状花と筒状花では、花柱の先端の形が異なる。総苞片はへら状。
葉は粗い鋸歯のある披針形~卵状長楕円形で長さ4cm~8cmになる。
ユウガギクより厚く、ヨメナより薄い。縁の鋸歯はやや粗い。
そう果の冠毛はごく短く、ヨメナよりやや小さめ。
ヨメナの仲間は良く似ていて区別が難しい、
ユウガギクより厚く、ヨメナより薄い。縁の鋸歯はやや粗い。
そう果の冠毛はごく短く、ヨメナよりやや小さめ。
ヨメナの仲間は良く似ていて区別が難しい、
染色体数を調べないと正確な見分けは困難。
ユウガギクとヨメナの、中間的な特徴を持つのが関東嫁菜。
関東嫁菜は、かつてはヨメナ属(Kalimeris)として区別されたが、
ユウガギクとヨメナの、中間的な特徴を持つのが関東嫁菜。
関東嫁菜は、かつてはヨメナ属(Kalimeris)として区別されたが、
現在はシオン属(Aster)に纏められてる。
嫁菜と比べて葉が薄く、葉の縁のぎざぎざ(鋸歯)が粗い。
嫁菜と比べて葉が薄く、葉の縁のぎざぎざ(鋸歯)が粗い。
野紺菊(ノコンギク)にも似てるが、
関東嫁菜は、花の後にできる綿毛が短い。
和名の由来は、
和名の由来は、
婿菜(ムコナ・白山菊(シラヤマギク)との対比でつけられた!?!
色々な解説を読むと納得でき分かった気分になるのだが、、、
実際に植物と対面すると判断に迷う、、?
色々な解説を読むと納得でき分かった気分になるのだが、、、
実際に植物と対面すると判断に迷う、、?
聞かれても分からないと答えるのが常である。
「令和陸年(皇紀2684年)10月27日」
10月
26日,
2024年
《 雅羅・/・〝備忘録 24-42〟❖ ’24-300 ❖ 》

学名:Chrysanthemum indicum Linné
別名:アブラギク,ハマカンギク,オキノアブラギク
シマカンギク(島寒菊); キク属・・多年草
近畿地方以西〜九州の山麓の日当たりのよいところに生える。
茎は叢生し、下部は倒れ、上部は立ち上がって高さ30〜80cmになる。
葉は柄があり、長さ3〜5cm、幅2.5〜4cmで5中裂する。
裏面には丁字状毛があるが淡緑色。
柄の基部に葉状の仮托葉が目立つ。
頭花は黄色で直径約2.5cm。
総苞片は4列に並び、外片は長楕円形〜卵形。
花期は10〜12月。(山に咲く花)
《 随分と昔、見た花〝島寒菊〟》

私的には、野の自生菊に魅せられる。
若い頃、長門市青海島で山陰菊を見た事があった。
山陰菊の葉は、長さ7㌢もあり頭花も直径4㌢程もある。
野菊としては大きい方だろう。旅の途で次に出会った野菊。
それが、島寒菊。大分県飯田高原で出会い、その後平戸でも見た。
山麓などに見られるようだが、海辺でも見られるのか???
ハマカンギクの別名がある由。
シマカンギクは観賞用として栽培もされているようだ。
シマカンギクは、薬用としても使用される由。
漢方では<乾燥頭花をキクカ(菊花)>と云う。
漢方処方の釣藤散に配合される生薬であると聞いた。
キクカには解熱、消炎、解毒や降圧作用があるとされる。
又、菊花茶としても親しまれてきた植物。
「令和陸年(皇紀2684年)10月26日」
10月
25日,
2024年
《 雅羅・/・〝里緑地の花 10-11〟❖ ’24-299 ❖ 》

関東地方~近畿地方の山地や丘陵地、
樹木の下や沢沿いで生育している。
やや湿った場所に生育する多年草。草丈は、50~80cm。
茎葉はなく根生葉は1~2回3出複葉(時に1回3出複葉)、
葉裏の脈に縮れた短毛が開出する。
葉柄は長く、長いものは30cmを超える。
小葉は、やや硬く円心形で中裂(掌状に切れ込む)、
縁には不揃いの鋭い鋸歯があり両面脈上に短毛がある。
蕾は丸く淡紅色を帯び、花は直径約4㎜。
花色は、白色~ピンクで無柄。長い穂状に花は多数つく。
萼片は広楕円形。雄蕊は多数つき白色で長くて目立つ。
花弁は長楕円形、基部は細く先はしばしば2浅裂する。
葯は円形または広楕円形、花糸の先は少し広がる。
長さ7~8mm。雌蕊は1個、ときに2個。
袋果は長さ約1㎝、幅約3㎜。種子は長さ約2.5㎜、淡褐色。
《 身近の里緑地でひっそりと立つ〝犬升麻〟❖泉の森 ❖》

多年草.根茎は発達する.
根生葉は大型で長柄あり 3 出複葉.花序は頂生して総状または穂状,
萼片は花弁状で4~5 枚,花弁は 1~8 枚でふつう下部に蜜腺がある.
萼片や花弁は早落し,多数の雄しべが萼片や花弁より長く,白く目立つ.果実は袋果.
北半球の暖帯以北に約 15 種ある.日本には 3 種があり,いずれも県内に産する.
ルイヨウショウマ属 Actaea に含める見解もあるが,
Cimicifuga が側系統群である確実な証拠が見出せないため,
ここでは従来通りまとめた.
A.花には花柄がある.葉下面脈上の毛は屈毛 ..................................................................................(1)サラシナショウマ
A.花はほとんど無柄,葉下面脈上の毛は縮れて開出
B.葉は 1~2 回 3 出複生し,上面脈上有毛 ............................................................................................(2)イヌショウマ
B.葉は 1 回 3 出複生し,上面脈上無毛 ..............................................................................................(3)オオバショウマ
10月
24日,
2024年
《 雅羅・/・襍〝備忘録 24-41〟❖ ’24-298 ❖ 》

福島県以南の本州、四国、九州、沖縄に生育する、蔓性の常緑低木。
幹は灰黒色、丸い皮目があり、古くなると縦の裂け目が入る。
枝は鈍い稜があり、赤褐色の鱗片(鱗状毛が密生)がある。
枝には、時に「逆枝」と呼ばれる下向きの短い枝を出す。
他の木に寄り掛かり絡みながら長くのび、垂れ下がる。
葉は互生し、先方が長い長楕円形で縁はあまり波打たない。
葉の表の銀色の鱗状毛は出始めだけで、後にはなくなる。
葉裏にも赤褐色の鱗片(鱗状毛)が密生する。

白色で花弁の外側にも鱗片がある。
果実は、翌春に赤く熟す。赤くなる前に落ちてしまうものもる。
グミの仲間は花が春咲きが多いが秋咲きはツルグミとナワシログミ位。
ナワシログミも勢いのよい枝はつるのように長く伸ばす。
見分けるのが難しいが、ツルグミの鱗片が赤褐色である。
対して、ナワシログミは白色で葉の周りが波打ってやや裏側に巻き込む。

(7)ツルグミ Elaeagnus glabra Thunb.
つる性の常緑低木または小高木.
長い徒長枝を出し,分枝した枝は開出または下向きに伸びる.
小枝は鈍い綾があり,赤褐色の鱗状毛が密生する.
葉身は長楕円形または卵状長楕円形,鋭尖頭,
下面は赤褐色の鱗状毛が密生する.
ときに徒長枝の葉は銀色の鱗状毛をしく.花は 10~11 月,
萼筒は鈍い 4 綾のある細い筒形,しだいに細くなって子房につながり,
萼裂片は萼筒より著しく短い.
果実は長楕円形,長さ 15mm,4~5 月に熟す.
本州,四国,九州,琉球;朝鮮,中国,台湾に分布.
県内では海岸からシイ・カシ帯の山地の樹林内や林縁にやや普通に見られる.
雑種
1)アカバグミ Elaeagnus ×maritima Koidz. in Bot. Mag. Tokyo,
31: 133 (1917) の基準産地は葉山(1916.11.5 久内清孝)
と横浜(1916.11.3 久内清孝);
E. ×hisauchii Makino ex Nakai in Bot. Mag. Tokyo,
32: 223 (1918)の基準産地は横浜(久内清孝)と横須賀(松村任三)
別名オオバツルグミ.つる性の常緑低木または小高木.
ツルグミとオオバグミの自然雑種と見られている.
小枝はツルグミより太く,明らかな稜角をもち,葉柄はやや長く,
葉は広く,萼筒は明らかな 4 稜のある筒形で,ツルグミのような細い漏斗形でない.
オオバグミのような鐘形にはならない.
裂片は萼筒の半分の長さに近い.新条は帯赤褐色.
葉下面の全面に赤褐色(銅色)の鱗状毛をしくものはアカバグミ E. maritima で,
葉下面に銀色の鱗状毛をしき,
その上に赤褐色の鱗状毛の散生するものはオオバツルグミ E. hisauchii と呼ばれたが,
鱗状毛や葉形には変化があって,はっきりとふたつの形に分けることは不可能である.
関東地方以西で記録され,県内全域の海岸に点在する.
* * *
丘陵地の林内に生える常緑木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。
三浦半島や大磯丘陵などで今でも見られるようだ。
全きの自然状態ではなく刈払い等で余り見られなくなっているようだ。
花が咲きづらい環境では実もできない。
人間主体の環境保全に疑問を持つ。
生物共同体的均衡等という言葉を聞かなくなった。
若い頃、横須賀市・鷹取山に登攀トレーニングのためによく出かけた。
逗子・神武寺周辺から鷹取山にかけてこの時期見かけた。
「令和陸年(皇紀2684年)10月24日」
10月
23日,
2024年
《 雅羅・/・襍〝備忘録 24-40〟❖ ’24-297 ❖ 》

北海道〜九州の水辺に生える。
葉は長さ5〜10cm、幅2.5〜7cmの三角状披針形で、先端は尖る。
葉腋から花序をだし、小さな黄緑色の花をつける。雌雄同株。
花序の上部に雄花が総状につき、基部に雌花が1個つく。
花は5全裂し、裂片は細長い。
萼も同じ形なので、花びらが10個あるように見える。

1.ゴキヅル属 Actinostemma Griff.
1 年草.雌雄同株.葉は長 3 角状心形で,粗い歯牙がある.
萼も花冠も裂片は放射状に細長く尾状に尖り,萼片の縁に腺がある.
雄花は総状につき,雌花は雄花序の基部に単生.
果柄は細く,果実は小型で表面に突起が点在する.
熟すと果実は上下に分離して,種子を散らす.種子は偏平でざらつく.
東アジア~インドに 7 種分布し,日本にはゴキヅル 1 種が分布.
(1)ゴキヅル Actinostemma tenerum Griff.; A. lobatum (Maxim.) Maxim. ex Franch. & Sav.;
A. lobatum (Maxim.) Maxim.ex Franch. & Sav. var. japonica Maxim. in Franch. & Sav., Enum. Pl. Jap.
1: 175 (1873) の基準産地は横浜茎は細く,全草軟弱.
葉は長さ 3~10cm,ときに 3~5 裂するものもあり,葉先は細く尖る.
花期は 8~9 月,花は直径約 1cm で黄緑色.雄しべは 5 個.
果実は緑色の楕円体で,長さ 1.5cm 前後あり,下垂した状態での上半分(果
柄側)に突起がある.
果柄は長さ約 1cm.種子は 2 個,黒褐色で大きい.
本州,四国,九州;朝鮮,中国,ベトナムに分布.
水辺の草むらに生える.
県内では沖積地に点在し.ごく少ない.
『神 RDB06』では絶滅危惧ⅠB 類とされた.
* * *
合器(ごうき)とは、ふたつきの椀(食器)を意味する。また、修行僧などの持ち歩く椀をいう。
果実が熟すと、果皮が横に割れ上半分が蓋のように取れ、下部が椀状になる。
その形から合器の名が付いた由。更には、こうした実を蓋果(がいか)と言う。
「令和陸年(皇紀2684年)10月23日」
10月
22日,
2024年
《 雅羅・/・襍〝備忘録 24-39〟❖ ’24-296 ❖ 》

学名:Eusteralis stellata (Lour.) Murata
環境省レッドリスト2012 準絶滅危惧(NT)。

*
ミズネコノオ(水猫の尾);ミズトラノオ属
関東地方~九州,徳之島,に自生分布し,休耕田や湿地に生える。
茎高15~50cmの軟弱な一年草。茎は中央付近で多数枝を出す。
葉は3-6個ずつ輪生し、長さ2-6mm、幅2-4mm。
花穂は茎頂と枝先に直立し、長さ2~5mmになり、幅4~5mm。
花は白または淡紅色で密につき、雄蕊を含めると長さ約3mm。
8~10月に開花。花糸の毛は目立たない。

15.ミズトラノオ属 Pogostemon Desf(関口克己,図:関口克己)
別名ヒゲオシベ属.1~多年草.茎は中空.葉は無柄,直立する茎に対生または輪生してつく.
花は頂生する密な穂状花序につく.苞は花冠よりも小さいかまたはほぼ同じ大きさ.
花は無柄,花冠はやや等しく 4 裂.雄しべは 4本で花冠よりも突出し花糸には毛がある.
萼は鐘形で外面に毛がある.分果は長披針形~卵形で表面は平滑.
アフリカ,アジア東南部~インド,オーストラリアなどに 85 種ほどがある.
日本には 2 種があり,県内にも記録だけのものを含め 2 種がある.
以前はミズトラノオ属 Dysophylla Blume とされていたが,
近年,Press(1982 Bulletin of theBritish Museum (Natural History), Botany 10: 74)
により Pogostemon に統合された.
A.1 年草.茎は中央付近で多分枝.葉は 3~8 輪生.
花穂は長さ 2~6cm,幅 4~5mm ....................(1)ミズネコノオ
A.多年草.茎はほぼ無分枝.葉は 3~4 輪生.花穂は長さ 2~8cm,
幅 10mm 以上 ..............................*ミズトラノオ
(1)ミズネコノオ Pogostemon stellatus (Lour.) Kuntze;
Dysophylla stellata (Lour.) Benth.
1 年草.茎は直立し,高さ 15~60cm,
やや多肉質でやわらかく,中央部付近で多数枝を出す.
葉は無柄で長さ 2~5cm,幅 1.5~5mm,縁は細鋸歯があるかほぼ全縁,
先端鋭頭,下面に腺点がある.花は 8~10 月.茎頂に花穂を1 本つける.
花はほぼ無柄.苞は披針形で長さ約 2mm,鋭頭.
花冠は長さ約 2mm,鐘形で白色または淡紅色,先は4 裂する.
雄しべはほぼ同長で花外に突き出し,花糸にはまばらに毛がある.
萼は鐘形で長さ 1~1.5mm,密に毛がある.
分果は卵形で長さ約 0.6mm.
本州(茨城県以西),四国,九州,琉球;
朝鮮半島,中国(中部~南部),台湾,
インドシナ,マレーシア,インドに分布.
シイ・カシ帯の沖積地~丘陵の水田や低湿地に生える.
県内では『神植目 33』には横浜,戸塚(汲沢),
『神植誌 58』は横浜,鎌倉,平塚等を産地としてあげ,
『神植誌 88』やその後の調査では見出せなかったが,
1991 年に横浜市西区,2014 年に南足柄市などで採集された.
『神 RDB95,神 RDB06』では絶滅種,
『国 RDB15』では絶滅危惧Ⅱ類にされた.
標本:武蔵戸塚 1914.10.14 左右田 TNS44461;
相模戸塚 1915 牧野富太郎 MAK38647;Totsuka 1914.10.11 K.Hisauchi TI;
Hiratsuka 1905.9 牧野富太郎 TI;
相模平塚 1905.9 牧野富太郎 MAK36025;
相模茅ヶ崎 1915 牧野富太郎MAK38646;
横浜市西区浅間町 1 丁目 1991.9.20 吉川アサ子 KPM-NA1104148;
南足柄市 2014.9.9 伊藤晁逸 KPM-NA0295799.
* * *
ミズネコノオ、かつては、稲刈り後の水田で見られたと資料にあった。
手作業での稲刈りで切り取られずに残った草。
コンバインの下敷きで残存環境は、変化した。
一年草の宿命で開花結実する必要がある。
なんとか生き残った草体は花数が少ない現実。
それでもミズネコノオは休耕田で見る機会がある由。
似た仲間のミズトラノオは、湿地でしっかりと生育している。
水田の耕起湛水のサイクルに合わせた一年草のミズネコノオ。
対して、安定した湿地で生きる多年草のミズトラノオ。
生態系とは、不可思議なものだ。
ミズネコノオは、花穂を付ける華麗な植物に映る。
草全体としてはミズネコノオは、品位が高いように感じる。
しかし生育環境等で絶滅危惧に瀕している。
自生地を探せど神奈川県内では出会ったことがない。
南九州の水田等では、“ある所にはわんさかある”と。
環境変化による埋土種子の発芽が、あっても不思議ではない。
肥料と農薬、除草剤の使用量減少、無農薬稲作農家が増えているので。
シソクサやサワトウガラシ、ヒロハイヌノヒゲ等々が見られている昨今。
除草剤が、埋土種子まで浸透していなかった様に思える。
万一にミズネコノオ埋土種子の発芽が見れれば幸いだ。
「令和陸年(皇紀2684年)10月22日
10月
21日,
2024年
《 雅羅・/・〝里緑地の実〟❖ ’24-295 ❖ 》

熱帯アジア原産で古く有史以前に日本に入ってきた由。
本州〜沖縄の水辺や畑地などに極普通に生育し、群生。
湿地や田圃(休耕田)周辺を好んで生えている様だ。
昭和30年頃では、何処にでも見え雑草とも云われ。。!
機械によって刈り払われる様は、寂しくおもったりしたものだ。
子供時代、練兵場と呼ばれた周辺に数珠玉が沢山見れた。
今や住宅地と化した。又、農耕地周辺でもあまり見られない。
ましてや雑草と呼ぶ人々の話を聞くと、ため息がでる。
*

の長さ30〜60cm、幅2〜4cm。
花序は散房状、茎の上部の葉腋から出る。
雌性小穂は葉腋の基部につき、
葉鞘の変化した堅い総苞葉に包まれ、内に1小花(第2小花)を含む。
雄性小穂は総苞葉をつらぬき、短い柄の先に単生し総状になる。
果実はほぼ円形、灰白色、長さ6mm。
花期は8〜9月。(日本イネ科植物図譜)
小穂は単性、雌小穂は硬質壺形の苞鞘内にあり、
1小花があり、両側に退化小穂がある。(原色日本植物図鑑)
雄小穂と雌小穂があり、苞葉が変形した「つぼ」に納まった雌小穂群
と「つぼ」から突き出した雄小穂群で1つの花序ができている。
雌小穂3個のうち、1個だけがブラシ状の花柱を出す。
柱頭がしおれてから、雄花序の包穎が開いて葯がぶら下がる。
「つぼ」の横断面と中身。果実を含んだ雌小穂(稔実小穂)と
含まない雌小穂(不稔小穂―2つの細長い小穂)が組み合わさっている。
苞葉鞘の中には1個の雌小穂のほかに2つの棒状のものが含まれ、
苞葉鞘の口からはそれら2つが頭を覗かせている。
これらは退化して花をつけなくなった小穂である。
したがって、包葉鞘の中には、花をつける小穂(登実小穂)1つと、
その両側にある不実の小穂2つが包まれていることになる。(Wikipedia)
植物図鑑的には書くと堅苦しいが、ジュズダマの花は複雑。
同じ株に雄花と雌花があり、実のように見える苞鞘(ほうしょう)
から出ている糸のような白い花が雌花で、
その先に伸びている黄色の花が雄花。
玉の様な硬い袋玉は苞鞘(ほうしょう)と呼ぶ。
花はその先端から蕊だけが出ている。花弁はない。
こんな生育経緯を雌性先熟(しせいせんじゅく)と言う。
蕊が出て来ていたらそれが雌蕊(雌花)の柱頭。
雌蕊が終わる頃に穂のように垂れて来るのが雄花。
実ははじめ緑色で秋には黒く色を変える。
ジュズダマの実は、昔は実際に数珠(念珠)に使われた。
苞鞘は熟すにつれて硬くなり、白色~灰褐色~黒色などに変色。
つやが出てくると、中々の風合いである。
中心に穴があいている事で古くは、数珠に利用された。
我が子供の頃には、お手玉(玩具)に詰めたり、
女児が宝石と称してネックレス等にして遊んでいた。
今やこうした遊びは、姿をけしてしまったようだ。
《 余り見向きもされない〝数珠玉〟 ❖泉の森湿生花園❖ 》

→88.ジュズダマ属 Coix L.(木場英久)
1 年草または多年草.稈にはスポンジ状の髄がある.
小穂に雌雄の 2 型があり,雌性小穂は葉鞘の変化した総苞
葉に包まれ,総苞葉の中から柄を伸ばし,
雄性小穂からなる総が垂れる.
アジアの熱帯に約 5 種があり,
日本にはジュズダマ 1 種が分布する.
(1)ジュズダマ Coix lacryma-jobi L.
1 年草.高さ 2m になる.葉の幅は 4cm に達する.
上方の数節の葉腋に花序をつける.
総苞葉の葉鞘の変形した,
いわゆる数珠玉は平滑で,光沢がある.
この数珠玉に短い葉身がつくことが稀にある.
花期は 8~10 月.熱帯アジア原産の帰化植物.
日本各地に帰化する.
県内では全域に普通.川岸など水辺に生える.
『神植誌 58』に「特に果実大形で琺瑯質の厚いものは
var. maxima Makino(オオジュズダマ)で
大山町で採集の記録がある」とある.
栽培されるハトムギ var. ma-yuen (Roman.) Stapf には,
数珠玉に縦溝があり,花序が垂れる.
10月
20日,
2024年
《 雅羅・/・〝里緑地の羊歯〟❖ ’24-294 ❖ 》

本州〜九州の日向の山野に生える。
栄養葉の柄は長く、基部近くで胞子葉を分岐する。
栄養葉は葉軸が三岐する。
小羽片は広卵形で鈍頭、辺縁は鈍鋸歯。
葉柄や羽軸は無毛。
胞子葉は栄養葉より長く、上部につく胞子嚢穂は2回〜3回羽状に分岐し、
円錐状に丸い胞子嚢をつけ、秋に熟した後に枯れる。
似たものにオオハナワラビやアカハナワラビがある。
3つの違いは栄養葉の様子により、
葉の先(鋸葉)が尖っている オオハナワラビ、アカハナワラビ
茎に毛がなければアカハナワラビ、オオハナワラビは茎、葉柄、葉軸に毛がある。
葉の先(鋸葉)が鈍頭 フユノハナワラビ(松江の花図鑑)。
**上の2画像は、借り物。**
《 人知れず姿を見せてた羊歯植物〝冬の花蕨〟 ❖泉の森❖ 》
花のように見えるのは胞子葉と呼ばれる胞子を包んだ袋をつけた穂。
まるで子持ちワカメのような姿。
秋に葉を出し枯れずに冬を過ごして春に枯れる。
同じ形態にオオハナワラビ、アカハナワラビ、アカフユノハナワラビがある。
『研究者ノート(松本定・筑波大) 』
栄養葉と胞子葉は地表近くで合着して共通柄は短い。
栄養葉の羽片の頂片は鈍頭、裂片は鈍鋸歯縁である。胞子は秋から冬に熟する。
東北地方以南の暖地に見られ、山麓や原野の向陽地に多い。
9月に葉を出し、同時に花のような胞子葉を伸ばす冬緑型の多年生シダ植物。
落葉により空から林床へ光が届くこれからの時期にのびのびと生活をします。
しかしホオノキなどの大きな落葉に体を覆われると生存できず、生活域が左右されます。
また、本属の植物は胞子が土中へもぐり、そこで前葉体が作られます。』
「令和陸年(皇紀2684年)10月20日」
10月
19日,
2024年
《 雅羅・/・〝里緑地の花 '10-10〟❖ ’24-293 ❖ 》
山地のやや湿った半日陰などに生える多年草。
茎は普通、分枝せず長さ0.4~1mになる。
斜面から垂れ下がって咲く事も多い。茎には上向きの毛が密生する。
葉は互生し、茎の左右に並び毛が多く長楕円状披針形。
若い葉には表面に濃色の斑点(油点)があるが、次第に目立たなくなる。
花は葉脇につき、直径2-3cmの漏斗状鐘形。
茎頂と葉腋ごとに1~3個、上向きに咲き茎先端から基部に向かって咲き進む。
花披片は6個、平開せず斜めに開く。
白色で内側に紅紫色~紫色の斑点が多数つき、基部には黄色の斑紋がある。
斑点の色や濃淡、大小は変異が大きい。
3個の外花被片は倒披針形で3個の内花被片より広い。
基部が球状に膨らみ腺毛が生える。
雄蕊は6個で子房を囲んで直立し、上部で平開して帯紫色の葯を丁字形につける。
花糸は無毛。花柱の柱頭は3裂して平開しさらに2裂して多数の腺毛状の球状突起がある。
花糸や花柱、葯の上側にも紫色の斑点がある。
花柱は太く、柱頭が深く3裂し、先端がさらに2裂して平らに開く。
花披片に紅紫色~青紫色の斑点があり、花柱や柱頭、花糸に斑点がある。
花被片の基部には橙色の班紋がある。雄蕊6個。
果実は長さ4~5㎝、先が尖った三角柱状の蒴果、熟すと先端が小さく3裂する。
種子は長さ約2.5㎜の扁平な先が尖った卵形、赤褐色、表面に細かな網目がある。
ヤマホトトギスは花被片は下にくぼみ、先は上に向かって反り返る。
ヤマジノホトトギスは花被片が平開するか、上側に向かって膨らむ。
花被片が斜開するホトトギスとは区別は容易。
よく似たタイワンホトトギスとホトトギスとの交配も盛んに行われ、
都会で見られるものは、交配雑種と思しきものが多い。
《 静か&迫力ある咲きっぷり〝杜鵑草〟 ❖泉の森・こもれび広場❖ 》
**神奈川県植物誌より**
(3)ホトトギス Tricyrtis hirta (Thunb.) Hook.;
T. japonica Miq. in Ann. Mus. Bot. Lugd.-Bat., 3(5):
155 (1867) の基準産地の 1 つが横浜 (Maximowicz)
岸壁に生えたものは下垂し,平坦地に生えたものは直立し,高さ 40~90cm.
茎に毛が多い.9~10 月,
淡紅紫色で濃紫色の斑点がある花を葉腋に 1~3 個ずつつけ,
主茎の先から元への順で咲く.
本州,四国,九州に分布し,県内では全域に普通で,
川岸や湿った岸壁,草原や疎林の下に生える.
* * *
和名は、花弁の斑点模様が野鳥のホトトギスの胸模様に似ているに由来する。
泉の森の生育場は、歩行路脇の緩やかな斜面に静かに姿を魅せる。
元々、自生していたものか否かはわからない。
タイワンホトトギスとホトトギスの交雑園芸種とも見えるが??
「令和陸年(皇紀2684年)10月19日」
10月
18日,
2024年
《 雅羅・/・〝垣根の花 〟❖ ’24-292 ❖ 》
キンモクセイ(金木犀)モクセイ科(Oleaceae)
学名:Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino
別名:モクセイ(広義)
キンモクセイ(金木犀);
キンモクセイはギンモクセイの変種と分類されている。
園芸種で花の色によりキンモクセイ、ギンモクセイ等に分けられている。
Osmanthus fragransはFlora of Chhinaでは広義に木犀(mu xi) とし、
花が帯黄色~黄色~橙色であり、他は園芸種であるとしている。
キンモクセイは中国からの渡来とされ、日本では雄株しか見られない。
キンモクセイは日本で育成されたという説もある。
幹は淡褐色、樹皮に細かい縦の割れ目が入る。
葉は対生し、葉柄は長さ0.8~1.2(1.5)㎝。
葉身は惰円形~楕円状披針形、全縁~上半分に細鋸歯縁、革質。
側脈は6~8(10)対、葉脈が葉裏に突出する。雌雄別株。
葉腋に集散花序をつけ、強い芳香のある花を多数つける。
苞は、広卵形。花冠は帯黄色~黄色~橙色。
雄蕊は2個。花筒の中間につき、不完全雄蕊も2個つく。
雌蕊は1個。核果は惰円形で翌年3月に紫黒色に熟す。
《 沢山の花をつける〝金木犀〟 ❖隣家との境界線❖ 》
この季節になると、オトメツバキの右上で沢山の花をつける金木犀。
垣根として2m位に育っている。2階ベランダで昼寝をしながら眺めている。
淡い香りが漂ってくる。静寂なひととき。
以前は、厚木基地への離発着・・タッチ&ゴーの訓練で爆音が軣いていた!!
最近は、訓練場所が変わったとみえ、静かだ。
「令和陸年(皇紀2684年)10月18日」
10月
17日,
2024年
《 雅羅・/・〝里緑地の花 '10-9〟❖ ’24-291 ❖ 》
本州(東北地方南部から近畿地方の主に太平洋側)に自生している日本固有種。
茎は直立~斜上し、下部で枝分かれが少なく中部以上でよく分枝し上向きに伸びる。
茎葉は長さ23~50㎝、楕円形~広倒卵形で鎌状に曲がり先が鋭く尖る。
長さ23-50 cmで羽状に中裂~深裂し長い刺があり裂片は4~6対。
葉の基部は茎を抱かない。根生葉は花期にはない。花期は9月~11月。
頭花は直立または斜上、柄は無柄か殆ど無柄で,複花序は穂状となる。
総苞は狭筒形,直径は生時で6-10 mm,総苞片は11~12列で圧着する。
また、やや幅が広く筒形のものも見られ、あまり粘らないが総苞片に腺体はある。
くも毛も多い等、他の種と交雑しやすい種といわれ、交雑種も多い。
花色が薄く、頭花の柄(花序柄)が無柄でなく、短柄でありやや長いものもある。
花が枝先に単生するものや下向きに咲くものも見られる。
中部・関東地方では腺体が退化して総苞は粘らないものが多いが、
東北地方や北陸地方,近畿地方にみられるものでは、
中片と内片に楕円形の腺体が発達し総苞は粘る(ネバリアズマヤマアザミと呼ぶ)。
常緑樹林や夏緑樹林の林縁に生え,山麓部にも多くみられる。
小花は長さ18-21 mm,狭筒部は広筒部より長い。
痩果は灰褐色,長さ4 mm,冠毛は長さ14-16 mm。
ネバリアズマヤマアザミ form. glutinosum は東北地方、北陸地方、
近畿地方に分布し、総苞が著しく粘る。
和名の由来は四国、九州に分布するヤマアザミに似ていることから。
《 中々出会えない花〝東山薊〟 ❖泉の森・姥百合群生地端❖ 》

15)アズマヤマアザミ Cirsium microspicatum Nakai var. microspicatum
雌雄同株の多年草.花茎は高さ 1~1.5m,根生葉の葉脈にはしばしば白い斑が入る.
茎の下部の葉は羽状に浅~中裂し,裂片は 4~5 対ある.
花は 9~11 月,頭花は淡紅色でほとんど柄がなく,葉腋に 1~3 個がまとまってつく.
総苞は狭筒形で上部は少し細くなり,幅 8~12mm.
総苞片は短くやや斜上し,反り返らない.
関東地方,中部地方に分布し,県内では丹沢,箱根,小仏山地に多く,
多摩丘陵ではごく稀である.渓谷に面した林内や林縁に生える.
白花品のシロバナアズマヤマアザミ form. albiflorum Hid.Takah., nom. nud. が
山北町で採集されている.県内産をはじめ,関東南部では本種の総苞片の腺体は
退化的で粘らないものがほとんどだが,
近年,相模湖北部から総苞片の腺体が発達した粘る標本が得られており,
県内にも少ないが産することが分かってきた.
総苞片の腺体が発達したものは東北から北陸,近畿地方にかけて多く,
ネバリアズマヤマアザミ form. glutinosum Kitam. として区別されることもあるが,
種内における腺体の発達差異をどのように考えるか,
今後,他種を含めた再検討が必要と思われる.
標本:シロバナアズマヤマアザミ 山北町西丹沢世附峠 1995.9.8 高橋秀男 KPM-NA0104822;
山北町中川白石林道2015.10.20 西湖シダ勉強会 KPM-NA0283070;
ネバリアズマヤマアザミ 相模原市相模湖町底沢 2007.11.11 酒井藤夫・酒井啓子 KPM-NA0159387.
* * *
泉の森にはアズマヤマアザミの他、色々な薊が咲いている由。
*タイアザミ(大薊)・関東地方に多いのでトネアザミ(利根薊)とも呼ばれる。
*ノアザミ
*アメリカオニアザミ、別名セイヨウオニアザミ
*ノアザミ
*ノハラアザミ
*キツネアザミ
*クロアザミ
以上、泉の森に見られたとの資料があるが、私的未見のものもある。
私観察では、セイヨウトゲアザミとおぼしき葉も見かけたが???
いまひとつ、???な葉を見た。私的には驚きの葉。
アズマヤマアザミから少し離れた所に見えたロゼット根葉に目が行った。
ロゼット様からヒレアザミ(鰭薊)属の一種と思える葉に見えた??
カルドゥウス・デフロラツス;キク科ヒレアザミ属の二年草。
学名: Carduus defloratus、英名: Alpine thistle。
ヨーロッパの山々、標高800~2400mの草地や岩礫地などに生え、草丈15~60cm。
葉は長い披針形で、縁には先端に鋭い棘のある粗い鋸歯あり。
夏6月から8月頃、茎頂に赤紫色の頭花を咲かせる。総苞片は開出。
こんな花を以前見たことがあり葉形を思い出した。
スイス・ルツェルン州のピラトゥス山山麓で見た花である。
“ピラトゥス山”は、思い出の名。北八ヶ岳に北八ヶ岳ロープウエイがある。
八ヶ岳の北端に位置する北横岳と縞枯山の間に架かるロープウエイ。
開設当初は、ピラタスロープウエーと言っていた。
スイスの ピラトゥス山の景観に似ている、と付いた名と聞いている。
工事中には黒曜石がかなりの量、出てきたのを見ている。
営林局のバイトをしていて目撃した。
そんなことで本場を散策しによったことがあり、色々花とであった。
若いロゼット葉を見かけて印象深く覚えていた。それに似ていた。
撮影しにくい場所。再度見に行って撮影・観察してみたい。
「令和陸年(皇紀2684年)10月17日」
10月
16日,
2024年
《 雅羅・/・〝里緑地の花 '10-8〟❖ ’24-290 ❖ 》
10月
15日,
2024年
《 雅羅・/・〝里緑地の花 '10-7〟❖ ’24-285 ❖ 》

北海道から九州までの低地の薄暗く湿った林縁に稀に見られる多年草。
普通、花は夏に咲くが、場所等で花期は広く10月にも見られる。
茎高1m前後、触れると硫黄臭を発する。青紫花や斑入葉、桃色花もある。
以前はダンギク属(カリガネソウ属)と分類されていたが、
APGⅢでは、カリガネソウ属(トリポラ属)に分類されている。
和名の由来は花の形を雁の飛ぶ姿に見立てたことから。
短い地下茎をもち、多数の茎を直立させる。茎は高さ60~100cm。
茎は四角柱状で深いくぼみがあり、大きくなると木質化する。
葉は無毛で対生、長さ8~13㎝の広卵形、葉質は薄く葉柄は長い。
縁には普通、よく揃ったきれいな鋸歯があり、先が尖る。
花冠は2唇形、長さ8~10㎜の白い筒部があり下唇は3裂、上唇は2裂。
裂片は開口する。下唇の中央裂片は大きく、あごを突き出した形をしている。
雄蕊4個は長く、花柱1個とともに花冠から上へ突き出て、下側へ湾曲する。
茎の上部の葉腋から集散花序を出し、まばらに沢山の花をつける。
その花達が、群生している姿は楚々としている。
《 こんな処に〝帆掛草〟 ❖泉の森・東部❖ 》

5.カリガネソウ属 Tripora P.D.Cantino(関口克己,『神植誌 01』:城川四郎)
多年草.葉は対生,鋸歯があるかまたは全縁.
花冠は筒部があり,先は 5 裂して平開か 2 唇形.
雄しべは 4 個で2 強,長くて花外に突き出す.
花柱は長く柱頭は 2 又する.
東アジアに 1 種があり,日本に 1 種,県内にも 1 種がある.
以前はダンギクなどと共に Caryopteris 属とされていたが,
Cantio et al.(1999 Systematic Botany 23: 369-386)により組み替えられた.
(1)カリガネソウ Tripora divaricata (Maxim.) P.D.Cantino
多年草.茎は 4 角形,上部で分枝し,高さ 1m に達する.強い臭気がある.
花序はまばらに散開し,花冠は 2 唇形で大きく開口する.
北海道,本州,四国,九州;中国,朝鮮半島に分布する.
山麓原野に生える.比較的稀な植物で,県内では三浦半島が唯一の自生地である.
『神 RDB06』では絶滅危惧ⅠA 類にされた.
近年植栽されたものが横浜市などで採集されている.
* * *

カリガネソウの花の構造。先端が二又に分かれているのが雌しべで、
黄色い花粉をつけた雄しべは4本ある。
青紫色が美しい秋花のカリガネソウだが、その姿は独特。
受精の為に他の花粉を必要とする植物は、花粉の運搬を昆虫等に頼る。
虫媒花、花粉を運ぶ送粉者(ポリネーター)を引き寄せる施策として、
蜜を溜める。訪れた昆虫に効率よく花粉を運搬してもらうための術。
送粉者のために進化し続けたのだろう。
長い雌蕊と雄蕊が、花粉の受け渡しに実に効率良い形態である。
この場(泉の森)に如何なる運搬者が訪れているかは観察できていない。
泉の森、東上部側の住宅隣接地に群生地がある。
カリガネソウ後ろの泉の森は、徐々にマント群落になりつつある。
カリガネソウを初めとする草花は、袖群落を形成しつつある。
こうした場は、下草苅り等人間が手を貸さねばならない。
里山緑地の保存・保全は、自然(植物等)と人間の共存を意味する。
生態系を重んじ、希少・貴重な植物をも大切にする。
この対処が、自然保護の基本であるとおもう。
自然を愛でる、植物を愛でる、人間との共存共栄だ。
「令和陸年(皇紀2684年)10月15日」
10月
14日,
2024年
《 雅羅・/・襍録〝秋=穂!!〟❖ ’24-288 ❖ 》

北海道〜沖縄の畑地や田の畔、道端、空き地等、普通に見られる。
やや群生し、茎高は、30〜120cm、細長く直立、基部は分けつして叢生する。
葉は長さ5〜20cm、幅4〜13mm、無毛。花序は卵円形、長さ15〜30cm。
花序の枝はほとんど水平に開出し、緑紫色の小穂をまばらにつける。
小穂は倒卵形、長さ2〜2.5mm、2小花からなるが第1小花は退化して護穎のみとなる。
第1苞穎は長さ1mm、第2苞穎は第1小花の護穎と同長。
第2小花の護穎と内穎は厚くガラス光沢がある。
果実は広楕円形、突頭、暗褐色、長さ1.5mm。
花期は8〜9月。ーー日本イネ科植物図譜より引用ーー
《 細かい秋の穂〝糠黍〟 ❖泉の森・湿生花園❖ 》
10月
13日,
2024年
《 雅羅・/・襍録〝蔓性植物 Ⅱ〟❖ 24-287 ❖ 》

北海道西南部〜琉球の畑や藪に生え、長く根を伸ばし繁殖する。
若い部分には粒状の突起毛がある。
茎には稜角があり、托葉は卵状三角形で、膜質。
葉は互生し、柄があり、鳥足状に配列する5小葉。
頂小葉は、柄があり、狭卵形で尖る。
波状の鋸歯があり、鋸歯の先は小さな突起になる。
表面は深緑色で、側脈は6〜8対、表面は窪み、裏面は隆起する。
側小葉は頂小葉より小型で、柄も短い。
巻きひげは葉もしくは花序と対生し、先は分枝する。
花序は扁平な集散花序で突起毛がある。萼片は低い。
花弁は4個あり、卵状三角形で、淡緑色。
平開し、背面には突起毛があり、先端は僧帽状。
雄蕊は4個、葯は長楕円形。
花盤は平らに広がり、はじめ紅色、後に橙色に変わる。
子房は1個、花柱は1個、柱状で直立する。
液果は球形まれにややだるま形で黒熟する。種子は広卵形。
関東以西に分布する2倍体のものはよく結実するが、
近畿以東に分布し東日本に多い3倍体のものは結実しない。
別名ヤブガラシ。花期は6〜8月。(野に咲く花)
ヤブカラシの花柄、花序枝、茎、葉裏などに小さな球体があり、
Pearl bodies (真珠体)あるいは Pearl glands (真珠腺)と呼ばれる。
植物体由来の栄養体なのだという。(続・樹の散歩道)
《 何処にでも顔を出す〝藪枯らし〟だが!?! 》
藪枯らしを初め、蔓性植物は往々にして邪魔者扱いだ。
蔓植物は自らの力では体が支えられないため、
他の植物を利用して光のあたる方へ伸びていく植物。
つる植物は様々な方法で、他の植物に絡みつく。
吸盤をつけるものや根を食いこませて張り付くもの、
巻きひげで巻きついていくもの等々(仔細は略)。
だが、蔓植物の巻きひげは、植物における運動や接触王統のモデルとして、
ダーウィンの時代から研究されてきた植物。
最近、藪枯らしに付いて面白い研究・新発見が発表された。
ヤブガラシが接触によって葉っぱを識別し、
自分の仲間たちには巻き付かないという。
--- 以下は、研究論文の概要紹介、以上が主旨 ---
蔓植物は自らの力では体が支えられないため、
他の植物を利用して光のあたる方へ伸びていく植物。
つる植物は様々な方法で、他の植物に絡みつく。
吸盤をつけるものや根を食いこませて張り付くもの、
巻きひげで巻きついていくもの等々(仔細は略)。
だが、蔓植物の巻きひげは、植物における運動や接触王統のモデルとして、
ダーウィンの時代から研究されてきた植物。
最近、藪枯らしに付いて面白い研究・新発見が発表された。
ヤブガラシが接触によって葉っぱを識別し、
自分の仲間たちには巻き付かないという。
--- 以下は、研究論文の概要紹介、以上が主旨 ---
仲間の葉と他の植物の葉に同時に接触したときには多種の葉を選択して巻き付き、
多種の葉に巻き付いている途中で仲間の葉に接触した場合は巻き戻る能力を持っている由。
研究の結果、ヤブガラシは葉の中に含まれるシュウ酸化合物によって、
仲間と多種を区別していることが明らかにされた。
つる植物は巻き付くことで成長していくが、
巻き付かれた植物は実は成長が抑制されてしまう。
生き残るために身につけた高度な知恵だと言える。
ヤブガラシ;
ブドウ科のつる植物の1種で、草木や樹木、フェンスなどの人工物に
巻き付き上へ上へと伸びて行く繁殖力の強い雑草。
巻きひげで接触して最適なパターンで対象物に巻き付く。
全方向に巻き付くことができるのが特徴で、
多種の葉に巻き付いている途中で仲間の葉に接触した場合は巻き戻る能力を持っている由。
研究の結果、ヤブガラシは葉の中に含まれるシュウ酸化合物によって、
仲間と多種を区別していることが明らかにされた。
つる植物は巻き付くことで成長していくが、
巻き付かれた植物は実は成長が抑制されてしまう。
生き残るために身につけた高度な知恵だと言える。
ヤブガラシ;
ブドウ科のつる植物の1種で、草木や樹木、フェンスなどの人工物に
巻き付き上へ上へと伸びて行く繁殖力の強い雑草。
巻きひげで接触して最適なパターンで対象物に巻き付く。
全方向に巻き付くことができるのが特徴で、
自身の葉っぱに巻き付くことはない。
全周巻きパターンとクリップ型で、
全周巻きパターンとクリップ型で、
対象に応じた最適パターンを生み出している。
つる性植物は、草でも木でもない第3の植物群として区別されている。
(東北大学理学部助教授・鈴木三男著・「よじ登り植物の生存戦略」より引用・以下同じ)
地上部の茎の部分が1年で枯れてしまう草本性(ヘチマやアサガオ)のものと、
毎年太る木本性(フジやサルナシ)のものがあり、
形態的、生態的にも草と木とは違ったカテゴリーに入ることがわかる。
戦略の要点は・・・
A) つる性植物、即ち「よじ登り植物」がとった一番の戦術は、
丈夫で自立した茎を造るための資材を、長い蔓を短時間に造る方に向けたことである。
B) 樹木は大量の枝葉を支える丈夫な幹をつくるために、
長い時間をかけて形成層の活動で木部を大量につくるとともに、
道管、師管も大量に造成している。それらは葉に水を送り、
光合成産物を他の部分に分配するパイプラインの働きをしている。
C) それに対して、つる植物は繊維組織はわずかで、
しかも大きな道管や師管を少量しか造らない。
太い道管や師管は大量の水や養分を効率よく運ぶのには適するが、
構造上は脆弱である。
花は放射相称で小さく、4または5の数生の完全花。
D) 毎年地上部が枯れる草本性のつると、
木質化して残る木本性のつるがある。
ブドウ科は、木本性のつるになる種が殆どだが、少数の変わり種も含む。
つる性の種は、葉は互生し、有柄、単葉、掌状、
叉は羽状複葉で落葉性の托葉をもつ。
葉に対生する巻きひげがあり、これが植物体を支える役目をする。
巻きひげは茎の変化したもので、葉と対生している。
栽培ブドウ・ヤマブドウ・ツタ・ヤブガラシなどが仲間内。
2.よじ登るための「つる植物の戦略」
自立できる茎を造らないつる植物は、
他の草や木の上に立つにはよじ登らなければならない。
つる植物の進化の過程で、
その植物群のもつ遺伝的な性質とさまざまな試みの結果として、
いろんなよじ登り方法が生まれてきた。
被子植物に見られるものを類型化すると、次の5タイプが考えられる。
板塀にへばりつくツタの吸盤
・寄りかかり型 ヒヨドリジョウゴ・ツルウメモドキなど
・巻きつき型 フジ・アケビ・など (右巻き・左巻き)
・鉤かけ型 カギカズラ・カナムムグラ・など
・巻きひげ型 ブドウ科・ウリ科・マメ科など
・付着型 キズタ(気根)・ツタ(吸盤)
草本性・木本性にかかわらず多くのつる植物は、
多かれ少なかれ形成層の活動によりつるがだんだん太る。
急速に太る例としてフジがあげられる。
サルトリイバラは肥大成長を全くしない。
また、よじ登り植物の弱点は、寄生者がはびこって宿主が十分に光合成ができなくなると、
折損・枯損・倒木・枯死など致命的なダメージが宿主側に発生する。
宿主の死は寄生者の死に直結するのは明らかである。
運命共同体にあることをつる植物は知らない。
.帆柱山系のつる性植物の要点・・・結構多いんです・詳細は別項へ。
ワク内にそれぞれの科の要点を、
また★印の項には似たもの同士の対比をまとめ、
つる性植物の項で書き尽くせないものを補足したものです。
マメ科の特徴は、キク科・ラン科に次いで大きな科。
A) 1枚の心皮からなる果皮が子葉種子を包む、という果実の構造。(子葉をもつ)
B) 葉は互生し托葉がある、3小葉から羽状複葉が多い。
C) 葉や小葉の基部に膨らんだ部分があって就眠運動する。
D) この他に、土壌中の根粒菌と共生して空中の窒素を養分にする。
などが特徴。
農業上の重要性はイネ科に一歩譲るが、
総合的な有用性はマメ類に勝る植物はない。
利用範囲は多岐にわたっている。利用される種類は極めて多い。
クロンキストの分類体系にに従い、マメ類を3科からなるマメ目としている。
つる性植物は、草でも木でもない第3の植物群として区別されている。
(東北大学理学部助教授・鈴木三男著・「よじ登り植物の生存戦略」より引用・以下同じ)
地上部の茎の部分が1年で枯れてしまう草本性(ヘチマやアサガオ)のものと、
毎年太る木本性(フジやサルナシ)のものがあり、
形態的、生態的にも草と木とは違ったカテゴリーに入ることがわかる。
戦略の要点は・・・
A) つる性植物、即ち「よじ登り植物」がとった一番の戦術は、
丈夫で自立した茎を造るための資材を、長い蔓を短時間に造る方に向けたことである。
B) 樹木は大量の枝葉を支える丈夫な幹をつくるために、
長い時間をかけて形成層の活動で木部を大量につくるとともに、
道管、師管も大量に造成している。それらは葉に水を送り、
光合成産物を他の部分に分配するパイプラインの働きをしている。
C) それに対して、つる植物は繊維組織はわずかで、
しかも大きな道管や師管を少量しか造らない。
太い道管や師管は大量の水や養分を効率よく運ぶのには適するが、
構造上は脆弱である。
花は放射相称で小さく、4または5の数生の完全花。
D) 毎年地上部が枯れる草本性のつると、
木質化して残る木本性のつるがある。
ブドウ科は、木本性のつるになる種が殆どだが、少数の変わり種も含む。
つる性の種は、葉は互生し、有柄、単葉、掌状、
叉は羽状複葉で落葉性の托葉をもつ。
葉に対生する巻きひげがあり、これが植物体を支える役目をする。
巻きひげは茎の変化したもので、葉と対生している。
栽培ブドウ・ヤマブドウ・ツタ・ヤブガラシなどが仲間内。
2.よじ登るための「つる植物の戦略」
自立できる茎を造らないつる植物は、
他の草や木の上に立つにはよじ登らなければならない。
つる植物の進化の過程で、
その植物群のもつ遺伝的な性質とさまざまな試みの結果として、
いろんなよじ登り方法が生まれてきた。
被子植物に見られるものを類型化すると、次の5タイプが考えられる。
板塀にへばりつくツタの吸盤
・寄りかかり型 ヒヨドリジョウゴ・ツルウメモドキなど
・巻きつき型 フジ・アケビ・など (右巻き・左巻き)
・鉤かけ型 カギカズラ・カナムムグラ・など
・巻きひげ型 ブドウ科・ウリ科・マメ科など
・付着型 キズタ(気根)・ツタ(吸盤)
草本性・木本性にかかわらず多くのつる植物は、
多かれ少なかれ形成層の活動によりつるがだんだん太る。
急速に太る例としてフジがあげられる。
サルトリイバラは肥大成長を全くしない。
また、よじ登り植物の弱点は、寄生者がはびこって宿主が十分に光合成ができなくなると、
折損・枯損・倒木・枯死など致命的なダメージが宿主側に発生する。
宿主の死は寄生者の死に直結するのは明らかである。
運命共同体にあることをつる植物は知らない。
.帆柱山系のつる性植物の要点・・・結構多いんです・詳細は別項へ。
ワク内にそれぞれの科の要点を、
また★印の項には似たもの同士の対比をまとめ、
つる性植物の項で書き尽くせないものを補足したものです。
マメ科の特徴は、キク科・ラン科に次いで大きな科。
A) 1枚の心皮からなる果皮が子葉種子を包む、という果実の構造。(子葉をもつ)
B) 葉は互生し托葉がある、3小葉から羽状複葉が多い。
C) 葉や小葉の基部に膨らんだ部分があって就眠運動する。
D) この他に、土壌中の根粒菌と共生して空中の窒素を養分にする。
などが特徴。
農業上の重要性はイネ科に一歩譲るが、
総合的な有用性はマメ類に勝る植物はない。
利用範囲は多岐にわたっている。利用される種類は極めて多い。
クロンキストの分類体系にに従い、マメ類を3科からなるマメ目としている。
花弁より長い雄しべ雌しべをもつ放射相称花をつけるムネノキ科、
旗弁が内側にあるジャケツイバラ科、
蝶形花をつけるマメ科の3科をマメ目としている。
ネムノキの長い赤紅色の毛は花糸といい、たいていは色がついている。
昆虫や動物には花弁に代わる目印になる。
マメ科の花は蝶形で花弁が3種類に分化する。
目立つ旗弁、黒い斑紋のある翼弁、さらに翼弁の中に小型の竜骨弁がある。
キョウチクトウ科は、その多くは有毒で、有毒成分は200種以上もあるアルカロイドである。
この毒は古くから矢毒として用いられた。
マダガスカル島の乾燥地の主役はバオバオ。
よく似たパキボディウムゲアイは、太く膨らんだ女性的な樹形は、
1年間全く雨が降らないでも耐えうるように水をたっぷり含む。
同じ仲間のニチニチソウ(日日草・日々新しい花に咲き替わることから)はこの島が原産地。
ニチニチソウの薬効成分を抽出するために営利栽培始まる。
このほか身近にはサカキカズラ・テイカカズラ・キョウチクトウなどがあり、
容姿は全く異なるが同じ仲間内である。
4.ガガイモ科とアサギマダラチョウの生活史・・・
ガガイモ科は、虫媒花をを発達させた進化の一つの頂点に立つ植物群と考えられている。
それは5本の雄しべと、内側の2本の雌しべを合着させて
肉柱体という特別な筒をつくっていることと、
花粉を集めて花粉塊という団子を作り出したことによっている。
筒には縦に5本の隙間が開いている。
ペリプロカ亜科・セカモネ亜科は花粉塊をつくらない。
日本には9属33種が知られているが、
いずれもトウワタ亜科で花粉塊をつくる。
花は大きくないが、形・色・香り・の三拍子揃っていて昆虫を招く。
キョウチクトウ科から進化してきたと推測される。
両者は有毒な乳液をもつことや、つる性植物が多いことなど、共通の性質が多い。
ガガイモ・イケマ・フウセントウワタなどが同じ仲間。
イエライシャンは中国原産のつる性植物で、花の香りは脂粉のようだという。
旗弁が内側にあるジャケツイバラ科、
蝶形花をつけるマメ科の3科をマメ目としている。
ネムノキの長い赤紅色の毛は花糸といい、たいていは色がついている。
昆虫や動物には花弁に代わる目印になる。
マメ科の花は蝶形で花弁が3種類に分化する。
目立つ旗弁、黒い斑紋のある翼弁、さらに翼弁の中に小型の竜骨弁がある。
キョウチクトウ科は、その多くは有毒で、有毒成分は200種以上もあるアルカロイドである。
この毒は古くから矢毒として用いられた。
マダガスカル島の乾燥地の主役はバオバオ。
よく似たパキボディウムゲアイは、太く膨らんだ女性的な樹形は、
1年間全く雨が降らないでも耐えうるように水をたっぷり含む。
同じ仲間のニチニチソウ(日日草・日々新しい花に咲き替わることから)はこの島が原産地。
ニチニチソウの薬効成分を抽出するために営利栽培始まる。
このほか身近にはサカキカズラ・テイカカズラ・キョウチクトウなどがあり、
容姿は全く異なるが同じ仲間内である。
4.ガガイモ科とアサギマダラチョウの生活史・・・
ガガイモ科は、虫媒花をを発達させた進化の一つの頂点に立つ植物群と考えられている。
それは5本の雄しべと、内側の2本の雌しべを合着させて
肉柱体という特別な筒をつくっていることと、
花粉を集めて花粉塊という団子を作り出したことによっている。
筒には縦に5本の隙間が開いている。
ペリプロカ亜科・セカモネ亜科は花粉塊をつくらない。
日本には9属33種が知られているが、
いずれもトウワタ亜科で花粉塊をつくる。
花は大きくないが、形・色・香り・の三拍子揃っていて昆虫を招く。
キョウチクトウ科から進化してきたと推測される。
両者は有毒な乳液をもつことや、つる性植物が多いことなど、共通の性質が多い。
ガガイモ・イケマ・フウセントウワタなどが同じ仲間。
イエライシャンは中国原産のつる性植物で、花の香りは脂粉のようだという。
花は野菜として扱われ、民間薬にも利用。
◆ アサギマダラ蝶の生活
有毒なカガイモ科植物を食草としているのが、マダラチョウの仲間である。
アサギマダラは九州南部から本州中部の山岳地にかけて
渡りをするらしいことがわかってきた。
低地では幼虫の状態で常緑のキジョランの葉で越冬する。冬の宿。
春になって気温が上昇すると、幼虫はキジョランの葉を食べて成長し、
やがて羽化して夏場の生活地である山岳地へと登っていく。
5月末頃の山岳地では、イケマが地中から新芽を伸ばしてくると、
さつそくイケマの若葉に産卵する。
5.よく似たツル性の対比で、見分けのポイントを
★ イワガラミと〈ツルアジサイ〉の対比
ユキノシタ科〈ユキノシタ科〉・葉は対生〈対生〉
◆ アサギマダラ蝶の生活
有毒なカガイモ科植物を食草としているのが、マダラチョウの仲間である。
アサギマダラは九州南部から本州中部の山岳地にかけて
渡りをするらしいことがわかってきた。
低地では幼虫の状態で常緑のキジョランの葉で越冬する。冬の宿。
春になって気温が上昇すると、幼虫はキジョランの葉を食べて成長し、
やがて羽化して夏場の生活地である山岳地へと登っていく。
5月末頃の山岳地では、イケマが地中から新芽を伸ばしてくると、
さつそくイケマの若葉に産卵する。
5.よく似たツル性の対比で、見分けのポイントを
★ イワガラミと〈ツルアジサイ〉の対比
ユキノシタ科〈ユキノシタ科〉・葉は対生〈対生〉
・葉身は広卵形〈楕円形~長楕円形〉・葉柄は3~12㎝〈3~9㎝〉
・葉脈上に粗毛・裏面脈上に軟毛・〈粗毛・裏面脈上に軟毛〉
・葉縁は大きな鋭鋸歯〈細かい鋭鋸歯〉・葉先は鋭尖頭か鋭頭〈急に鋭頭〉
・花は5~7月〈5~6月〉・装飾花1枚〈4枚〉
★ アケビと〈ムベ〉の対比
アケビ科〈アケビ科〉・落葉性灌木〈常緑性藤本〉
・葉脈上に粗毛・裏面脈上に軟毛・〈粗毛・裏面脈上に軟毛〉
・葉縁は大きな鋭鋸歯〈細かい鋭鋸歯〉・葉先は鋭尖頭か鋭頭〈急に鋭頭〉
・花は5~7月〈5~6月〉・装飾花1枚〈4枚〉
★ アケビと〈ムベ〉の対比
アケビ科〈アケビ科〉・落葉性灌木〈常緑性藤本〉
・5小葉の長柄掌状複葉〈5~7個の掌状複葉〉
・全縁で先端凹頭〈先端は尖る〉
・雌雄同株〈雌雄同株〉・花期4~5月〈4~5月〉
★ キヅタと〈ツタ〉の対比
ウコギ科〈ブドウ科〉・常緑性灌木〈落葉つる性藤本〉・別名フユヅタ〈ナツヅタ〉
・気根で登る〈巻きひげは分岐し先端に吸盤がある〉
・樹皮は灰色〈黒褐色〉・花序のつく枝の葉は楕円形で全縁
〈花序のつく短枝の葉は大きく長柄で3裂し先端は鋭く尖り、縁は芒状の鋸歯がまばら〉
・互生で葉身は掌状に浅く3~5裂〈花のつかない長枝の葉は小さく短柄、
きれ込みはないもの~3裂〉・花期は10~12月〈6~7月〉
・雌雄同株〈雌雄同株〉・花期4~5月〈4~5月〉
★ キヅタと〈ツタ〉の対比
ウコギ科〈ブドウ科〉・常緑性灌木〈落葉つる性藤本〉・別名フユヅタ〈ナツヅタ〉
・気根で登る〈巻きひげは分岐し先端に吸盤がある〉
・樹皮は灰色〈黒褐色〉・花序のつく枝の葉は楕円形で全縁
〈花序のつく短枝の葉は大きく長柄で3裂し先端は鋭く尖り、縁は芒状の鋸歯がまばら〉
・互生で葉身は掌状に浅く3~5裂〈花のつかない長枝の葉は小さく短柄、
きれ込みはないもの~3裂〉・花期は10~12月〈6~7月〉
“ヤブガラシに学ぶ植物型スマート構造の開発”
--植物の情報処理のメカニズムをロボットに活かす--
光を求めて他の植物や人工物に巻き付いて成長するつる植物。
神経系をもたないのに、対象物に応じて最適な巻き付きパターンを生み出している、
ヤブガラシに学ぶ植物型スマート構造の開発とは?
人工構造物に生体の脳、神経、筋肉などと同じように、知覚や判断、
応答という機能を持たせて状況に応じた自律的な動きを可能にするスマート構造。
これまでは、センサで感知して神経系で情報処理を行い、
モーターに情報をフィードバックして作動する、
いわば動物型のメカニズム開発が主流でした。
そこに、視覚や神経系をもたないのに環境に適応して生育する
植物規範を取り入れたユニークな研究が行われています。
研究対象となったのは、つる植物の1種であるヤブガラシという雑草です。
他の植物や柵などの人工物に巻き付き、自身のからだを支えて上へ伸びて行きますが、
つかむ相手に対して巻きひげを変形させて最適なパターンで
巻き付くという非常に複雑な動きをしているのです。
これまで、巻きひげの動きを詳細に観察したところ、
巻き付く相手の直径が細い場合はつるを全周に巻く(通常巻き)、
直径が太く巻きひげが長い場合は途中でUターンしてクリップ状になる、
直径が太くて巻きひげが短い場合は巻き付くのをあきらめて離れて行く(先端のみ接触・離脱)
という3つのパターンに分類できることがわかりました。
非常に合理的な巻き方をしていることが明らかになったのです。
さらに、巻きひげへのマーキングと画像データ解析により3D座標データ化を進め、
パターンの違いがどのように生じてくるのか、そのメカニズムの解明を進めています。
植物は神経系を持っていませんが複雑な動きを可能にしているのは、
巻きひげ自身がセンサとして、同時にモーターとしての役割りを担い、
独立的に判断して最適なパターンを生じさせているためだと考えられるのです。
この情報処理と動きのメカニズムをスマート構造に利用できれば、
複雑なセンサネットワークや情報処理系統のない、
植物規範のシンプルな機械ができるのではないかと考えられています。
将来的に、たとえば内視鏡手術用のガイドワイヤーなど、
アクセスが難しい場所で自在に動く植物型ロボットが生まれるかも知れないのです。
--植物の情報処理のメカニズムをロボットに活かす--
光を求めて他の植物や人工物に巻き付いて成長するつる植物。
神経系をもたないのに、対象物に応じて最適な巻き付きパターンを生み出している、
ヤブガラシに学ぶ植物型スマート構造の開発とは?
人工構造物に生体の脳、神経、筋肉などと同じように、知覚や判断、
応答という機能を持たせて状況に応じた自律的な動きを可能にするスマート構造。
これまでは、センサで感知して神経系で情報処理を行い、
モーターに情報をフィードバックして作動する、
いわば動物型のメカニズム開発が主流でした。
そこに、視覚や神経系をもたないのに環境に適応して生育する
植物規範を取り入れたユニークな研究が行われています。
研究対象となったのは、つる植物の1種であるヤブガラシという雑草です。
他の植物や柵などの人工物に巻き付き、自身のからだを支えて上へ伸びて行きますが、
つかむ相手に対して巻きひげを変形させて最適なパターンで
巻き付くという非常に複雑な動きをしているのです。
これまで、巻きひげの動きを詳細に観察したところ、
巻き付く相手の直径が細い場合はつるを全周に巻く(通常巻き)、
直径が太く巻きひげが長い場合は途中でUターンしてクリップ状になる、
直径が太くて巻きひげが短い場合は巻き付くのをあきらめて離れて行く(先端のみ接触・離脱)
という3つのパターンに分類できることがわかりました。
非常に合理的な巻き方をしていることが明らかになったのです。
さらに、巻きひげへのマーキングと画像データ解析により3D座標データ化を進め、
パターンの違いがどのように生じてくるのか、そのメカニズムの解明を進めています。
植物は神経系を持っていませんが複雑な動きを可能にしているのは、
巻きひげ自身がセンサとして、同時にモーターとしての役割りを担い、
独立的に判断して最適なパターンを生じさせているためだと考えられるのです。
この情報処理と動きのメカニズムをスマート構造に利用できれば、
複雑なセンサネットワークや情報処理系統のない、
植物規範のシンプルな機械ができるのではないかと考えられています。
将来的に、たとえば内視鏡手術用のガイドワイヤーなど、
アクセスが難しい場所で自在に動く植物型ロボットが生まれるかも知れないのです。
斉藤一哉 助教 東京大学 生産技術研究所
深野祐也 助教 東京大学大学院 農学生命科学研究科
“植物規範で従来にない機械をつくりたい”
斉藤の専門は、機械工学・航空宇宙工学です。
コンパクトに収納して宇宙で展開する構造物など、
形状可変構造物をつくっています。
そこで、生物の変形に興味をもち、
昆虫の翅(はね)の折り畳みの研究なども行ってきました。
今回は、植物をターゲットに共同研究を進めることになりました。
深野の専門は進化生態学という分野で、
生物がどのように環境に適応して生き残ってきたのかを研究しています。
もともとは、植物が周りの個体とか、植物を食べる昆虫の情報をどう手に入れて、
どう生き延びているのか研究していました。
現在は、植物がどのように他の植物を認識しているかを化学的に解明しようということで、
ヤブガラシに注目しました。
アプローチが異なるので、共同研究は新鮮ですね。
植物に学ぶことで、これまでとは全く違うシステムの機械ができると考えています。
「令和陸年(皇紀2684年)10月13日」
10月
12日,
2024年
《 雅羅・/・〝里緑地の実 '10-2〟❖ ’24-286 ❖ 》

ホドイモ(塊芋) マメ科(Fabaceae)
学名:Apios fortunei
ホドイモ(塊芋);つる性多年草
北海道〜九州の日当たりのよい林縁で見られる。
細長い地下茎があり、所々に紡錘体あるいは球形の塊根がある。
塊根は親個体から離れると無性的に新個体を形成する。
茎は塊根の頂端あるいは地下茎の途中から地上に出て他物に巻きつき、
長く伸びて2m以上に達する。
小葉は5枚ときに枝先で3枚となり、頂小は卵形〜広卵形で、
先はやや長く伸び、長さ5〜12cm、幅2〜7cm、
多くは表裏面ともに伏した短剛毛がある。
托葉は小型で狭卵形あるいは広線形、長さ3〜4mm。
花序は開花期間中しだいに伸びて長さ約18cmに達し、
ときに枝分かれし、節はこぶ状にふくらみ、1節に2〜4花をつける。
花は黄緑色、萼は長さ3〜3.5mm、花のほぼ1/3長、
萼裂片は短く、長さは萼全体の1/5以下。
旗弁は広楕円形、翼弁は小型、竜骨弁は細長く内側に曲がる。
豆果は線形で扁平、長さ6〜8cm、無毛、5〜6個の種子を入れる。
2片に裂開する。
種子は扁平な広楕円形、あずき色で、長さ約4.5mm、幅約4mm。
花期は7〜9月。(日本の野生植物)
《 カメラが壊れ画像がない〝ホドイモの実〟 ❖泉の森❖ 》

19.ホドイモ属 Apios Fabr.(佐々木あや子,『神植誌 01』:浜口哲一,図:浜口哲一)
つる性の多年草.葉は羽状複葉で,小葉は 3~7 個ある.
托葉は小型で針形,小托葉は目立たない.
花は葉腋から出る総状花序につき,黄緑色でときには紫褐色.
竜骨弁は旋回して曲がる.豆果は線形で裂開する.
東アジア~インドおよび北アメリカに約 8 種があり,
日本には 1 種が自生し,1 種が帰化している.
A.花は緑黄色で長さ 6~7mm,長く伸びる総状花序にややまばらにつく.
塊茎は球形 ...........................(1)ホドイモ
A.花は内面が紫褐色を帯び長さ 10~12mm,総状花序につまってつく.
塊茎は数節にくびれる ...(2)アメリカホド
(1)ホドイモ Apios fortunei Maxim.
つる性の多年草で,樹木にからんでマント群落をつくる.
多くの葉が 5 枚の小葉をもつことで,ほかのつる性のマメから容易に区別できる.
7~8 月に葉腋から総状花序を出し,緑黄色の花をつける.
竜骨弁とそれに包まれる雄しべと花柱は旋回して曲がる.
豆果は線形で長さ 5cm,裂開して種子をはじき飛ばす.
北海道,本州,四国,九州;中国に分布する.林縁に生える.
県内では市街地を除いて広く分布するが,それほど多いものではない.
「令和陸年(皇紀2684年)10月12日」
10月
11日,
2024年
《 雅羅・/・〝里緑地の花 '10-6〟❖ ’24-285 ❖ 》
葉が卵形で裂けないことからついた。北アメリカ原産の多年草。
明治時代に箱根町強羅の公園植栽品から散逸し広がったと伝わる。
現在では、生態系被害防止外来種・侵入植物になってしまった。
道端や空き地に生え、横走する太く長い根茎がある。
茎は直立し、茎の上部には短毛がある。葉は、長い柄があって対生。
表面は濃緑色でやや光沢があり無毛または短毛が点在する。
葉形は、卵状披針形で縁に鋭く大きな鋸歯があり先は鋭く尖る。
茎の先に花序を出し、白色の頭花を多数つける。花序にも短毛あり。
頭花は、15~25個の筒状花。総苞片は、10個ほどが1列に並ぶ。
花冠の先は5裂し、花柱は2深裂して白色。
痩果は、黒色で強い光沢があり4~5個の稜があり、冠毛は白色。
頭状花,虫媒花.耐陰性があるため林内でも繁殖可能。
耐陰性があるため森林域にも入り込む性質がある。
《 ひっそりと咲いている帰化植物〝丸葉藤袴〟 ❖泉の森❖ 》

84.マルバフジバカマ属 Ageratina Spach.
(勝山輝男,『神植誌 01』:大場達之,図:大場達之)
多年草または低木.葉は対生.頭花は多数で,散房状に集まる.
頭花は 10~60 小花からなり,総苞片は 1~2 列で等長.
南北アメリカに約 250 種がある.日本および県内には 1 種が帰化.
ヒヨドリバナ属 Eupatorium に含められていたが,
今回の改訂にあたって分離された.
→(1)マルバフジバカマ
Ageratina altissima (L.) R.M.King & H.Rob.; Eupatorium rugosum Houtt.
長い横走する地下茎がある.茎は高さ 30~100cm.
葉は卵形で長 7~15cm,幅 4~9cm.長さ 2~5cm の柄がある.
濃緑色でやや光沢があり,無毛.花は 9~10 月.頭花は 15~25 個の小花がある.
総苞片は 10 個で 1 列,同長.痩果は長さ 2mm で黒色,光沢がある.
北アメリカ原産で,明治 29 年に渡来し,
箱根の強羅に帰化(澤田 1927 植研 3:242-243)し,その後各地に広がる.
日陰,特にスギ植林の下に多く生える.
県内では小田急線に沿って分布が広がり,
現在では三浦半島を除いて丘陵から低山域に広く見られる.
丹沢の南~東側山麓ではニホンジカが食べないために
ヒノキ人工林下に目立つ.
* * *
泉の森の生育場は、ひと目につかない所。
注意深く観察し、然るべき処置を検討すべきか。
「令和陸年(皇紀2684年)10月11日」
10月
10日,
2024年
《 雅羅・/・〝里緑地の花 '10-5〟❖ ’24-284 ❖ 》

学名:Persicaria sieboldii (Meisn.) Ohki
Persicaria sagittata (L.) H.Gross [広義]
synonym Polygonum sagittatum L.
synonym Persicaria sagittata (L.) H.Gross var. sibirica (Meisn.) Miyabe [狭義]
synonym Polygonum sagittatum L. var. sibiricum Meisn.
別名:アキノウナギヅル(秋の鰻蔓)、ウナギツカミ(鰻攫)

畦畔、水辺、空き地など湿った土地に生育する。
種内の変異が大きく、早生の畑地型が狭義のウナギツカミ、
晩生の湿地型がアキノウナギツカミと呼ばれてきた。
茎はつる状に伸び、下部は地を這い、上部は斜上する。
茎は、四角形で稜に逆刺がある。
葉は互生、葉柄は長く葉柄の基部には膜質の托葉鞘がある。
葉の基部は心形〜やじり形。
茎上部の葉は短柄で、基部が矢じり形で茎を抱く。
枝先に淡紅色の花を球状につける。花序は直径約1cm。
花被片は5枚。上部が紅色〜紅紫色を帯び、長さ約2.5mm。
そう果は花被に包まれ、濃茶褐色に紫色を帯び3稜形で光沢がある。
長さ約3mm。花期は5〜10月。(植調雑草大鑑)
YListでは、アキノウナギツカミはウナギツカミの別名になっている。
似た花のナガバノウナギツカミ:
花柄に腺毛、葉の基部が小さく開出、茎を抱かない。
ホソバノウナギツカミ:
葉の基部はほこ形で,側片は耳状に下方にわん曲する。花がまばらにつく。
*早生の畑地型が狭義のウナギツカミ。
*晩生の湿地型がアキノウナギツカミと呼ばれてきた。
《 堂々と咲き誇る〝秋の鰻攫〟 ❖泉の森・湿性植物園❖ 》

(13a)アキノウナギツカミ Persicaria sieboldii (Meisn.) Ohki var. sieboldii;
P. sagittata (L.) H.Gross var. sibirica (Meins.) Miyabe
1 年草.茎は基部が横にはい,節から根をだし斜上して高さ 1m 以上になる.
茎には下向きの刺が 1 列に並ぶ.葉は披針形で,
長さ 5~9cm,幅 1~2cm,先は鋭頭,基部はやじり形になって茎を挟む.
托葉鞘は膜質で長さ約 1cm,上部は斜め切り形で縁毛はない,花期は 8~11 月.
花は枝先にやや密な頭状に集まる.花被は淡紅色で長さ 3~3.5mm.
果実は 3 稜形で長さ約3mm,黒色で光沢がある.
北海道,本州,四国,九州,琉球;東アジア~ヒマラヤ,シベリアに分布.
県内ではほぼ全域の湿地や休耕田などで見られる.
刺のないものをアキノウナギツカメズ form. laevicaulis Seriz. といい,稀に見られる.
(13b)ウナギツカミ Persicaria sieboldii (Meisn.) Ohki var. aestiva (Ohki) Okuyama; P. aestiva Ohki
1 年草.アキノウナギツカミに似るが高さ 30~60cm と小さい.
葉は長卵形で長さ 3~4cm,幅 1.5cm,基部はやじり形,
先は鋭形で鈍端,下面中脈に小さい刺がある.
托葉鞘は短く,上部は斜め切り形で,縁毛はない.
白色で先が淡紅色または,全体が淡紅色の花が枝先に頭状に集まり,花被は 5 裂.
雄しべは 8 個.花期は 5~6 月で,アキノウナギツカミの 7~10 月より早い.
果実は黒褐色で,先が尖る 3 稜形,長さ 3mm.
北海道,本州,四国,九州,琉球;東南アジアに分布.
水田などに生え,県内では広く点在するが少ない.
『神植誌 01』は種ランクで扱ったが,変種説を採用した.
* * *
10月
9日,
2024年
《 雅羅・/・〝里緑地の花 '10-4〟❖ ’24-283 ❖ 》

中国、韓国から日本に伝わったとされ、縄文時代の遺跡からも発見されている。
食用・油用に栽培され各地で栽培されてきた。黒種・白種、大きさも異なる。
現在では栽培されていない地域で野生化したものが見られる。
中国のものには葉が紫色のものもある。
種子から採れるエゴマ油(荏油)には必須脂肪酸であるα-リノレン酸が豊富に含まれ、
これが体内でDHAやEPAにも変換されるため、健康食品として注目されている。
全草に特有の臭いのあるぺリラケトン(perillaketone)などを含み、
これが肺水腫や肺気腫を起こす、と広く知られている。
茎は4稜形、長い下向きの軟毛が密生又はまばらに生える。
葉は対生し、広卵形で、長柄がある。葉質はやや厚い膜質。
葉の基部は広い楔形で鋸歯はなく、鋸歯が丸みを帯びることが多い。
葉裏には黄色い腺点がある。
苞は緑色~紅紫色、卵形~広卵形で、花序下部の苞は横幅が狭い。
花序は枝先につき、2花の仮輪からなり、長い。花冠は白色、まれに淡紅色。
萼は釣鐘形で、先が5分裂し、果期にはやや大きくなり、長さ約8㎜。
萼筒には長毛が密生し、黄色の腺点がある。
果実は4分果で、分果は長さ1.5~1.9㎜(約1.7㎜)のほぼ球形。
初めは紫色を帯び、暗褐色、網目模様がある。
レモンエゴマは在来種であり、強いレモン様の臭いがある。
エゴマ、レモンエゴマ、シソは容易に交雑が起き、中間型など多様形態がある。
* * *
高さ100〜250cm、茎には1〜2mmの長軟毛が疎生、または密生する。
葉は卵形〜広卵形で長さ10〜20cm、巾6〜10cm、先は尖り、
鋸歯があるが基部では暖味である。
葉の質は厚く、時に薄く、色は鮮緑色〜濃緑色。
花穂は太く短い円柱形で、その長さは野生種のトラノオジソやセトエゴマに比べてかなり短い。
花冠は白色、時に桃白色、長さ4〜 6mm、雄しべは花冠からほとんど突出しない。
萼は花時の長さ4〜7mm、果期には約1cm、短軟毛と長軟毛が生える 。
苞は卵形〜広卵形で中肋から縁がやや波うつように反り返 り 、
鋭先頭、縁の毛は短くて疎らであり、あまり目立たない。色は緑色で果時宿存性。
分果は約2mmの偏球形で隆起した網紋があり、
色は白色〜淡褐色〜褐色、また灰色〜灰褐色。
各地で栽培され、野生化したものも多い。花期は9〜10月。
(日本産シソ属植物の類縁および化学分類に関する研究より)
伊藤美千穂「日本産シソ属植物の類縁および化学分類に関する研究」によると
「日本産シソ属植物の野生種は形態上3種に分類される。
即ち、レモンエゴマ(Perilla citriodora)、トラノオジソ(Perilla hirtella)、
セトエゴマ(Perilla setoyensis)である。
これらは、いずれも少し奥まった山の谷筋等に生えるが、
トラノオジソは海岸部にも分布がある。
分布域、個体数ともにレモンエゴマが最も広く、かつ多い。
また 3種とも関東以西の太平洋側の地域に分布し 、
それより北や日本海側の地域には分布していない。」とある。
レモンエゴマ
本州中部以南の太平洋側〜九州の山地の林縁などに生える。
茎は軟毛が密生し、高さ20〜70cmになる。
茎には0.2〜0.3mmの下向きに曲がった短軟毛が密生する。
葉は長さ7〜12cmの葉柄があり、卵形〜広卵形で、長さ8〜12cm、幅6〜8cm、
先は尖り、鋸歯があるが基部では曖昧になる。
葉面には 0.1〜0.2mmの短毛があり、 長毛は無い。
葉の裏面や葉脈、 葉柄が赤紫色を帯びることが多い。
脈上に軟毛、裏面に腺点がある。
枝先に長さ10〜18cmの花序に唇形花をつける。花冠は淡紅色、長さ4〜5mm。
雄しべは花冠からほとんど突出しない。葯の色は赤紫色。
萼は花時の長さ4〜6mmで短軟毛が密生し、0.7〜1.2mmの長毛が生える。
果期に少し大きくなる。
苞は横長の楕円形〜平円形で凸頭、 巾3.5〜4.5mm、 長さ4〜5mm、
縁に長毛が疎らにあり、 色は白っぽく、
花穂が伸び出すと大きく反り返り、 果時には殆ど脱落する。
分果は偏球形で網紋があり、直径約1.3mm。
葉を揉むとレモン様の香りのするものがある。
シソ(Perilla frutescens var. crispa)
茎には長軟毛が疎生する。
葉は広卵形で時に縮み、質は薄く、長さ8〜10cm、幅6〜8cm、色は赤紫色、または緑色。
葉の上面が緑色で裏面は赤紫色のものもある。鋸歯があるが基部では曖昧である。
萼は花時の長さ4〜6mmで短軟毛と長軟毛が生える。
苞は卵形〜広卵形で中肋から縁がやや波うつように反り返り、
鋭先頭、縁の毛は短くて疎らであり、あまり目立たない。
色は緑色〜赤紫色で果時宿存性。
分果は偏球形で隆起した網紋があり、色は黒褐色〜褐色。
栽培植物であるが各地に野生化したものがある。
※ 以上、3画像は借り物 ※
《 色々あって面白い〝荏胡麻〟 ❖泉の森にも居る!!❖ 》
**神奈川県植物誌**

1 年草.茎は直立する.葉は対生.花は 2 花の仮輪を重ねた細長い花穂を枝先に形成する.
萼は釣鐘形で 5 裂し唇形,果時には大きくなる.分果は球形で網目模様がある.
東アジアからインドにかけて数種または 1 種が分布する.
日本には,野生種 3 種のほか,栽培種が野化する.
県内には野生種が 2 種,逸出種が 1 種ある.
文献: 伊藤美千穂・本多義昭 ,
1996. 日本産シソ属野生種の分類学的再検討 . 地分 , 44: 43-52.
A.葉身の基部には鋸歯がある
(1)トラノオジソ
A.葉身の基部には鋸歯がない
B.茎の中下部には下向きの短毛が密生する.苞は白色.
花序の下部の苞は横に広い楕円形となる
(2)レモンエゴマ
B.茎の中下部には短毛,縮れた長毛が疎生する.苞は緑色か紅紫色.
苞は卵形~広卵形で横に広い楕円形のものが出ることはない
C.植物体にエゴマの匂いがある.葉身はやや厚い膜質で平ら,ふつう緑色.
萼は果時に長さ 8~9mm.分果は長さ 1.5~2mm
(3a)エゴマ
C.植物体にシソの匂いがある.葉身は膜質で縮れるか平ら,紅紫色か緑色.
萼は果時に長さ 5~6mm.分果は長さ 0.7~1.5mm
(3b)シソ
(1)トラノオジソ Perilla hirtella Nakai;
P. frutescens (L.) Britton var. hirtella (Nakai) Makino
高さ 50~90cm.茎の中下部には,やや縮れた短毛が密生する.
葉は葉身基部まで明らかに鋸歯があり,ほかのシソ属からは,はっきり区別できる.
通常葉柄は紅紫色を帯びる.花は 9~10 月に咲き,若い花序は円柱状で先が細まり,
苞がしっかり鱗状に重なって花はあまり見えない.
苞は長さ約 5mm で卵円形~丸い偏菱形,先は尖り,縁に軟毛が多い.
花冠は赤紅色.本州,四国,九州に分布する.
県内では山地~丘陵地の林縁などの半陰地に生育し,やや稀であったが,
ニホンジカの不嗜好植物で,丹沢山地や小仏山地では増えている.
伊藤・本多(1996)はトラノオジソとレモンエゴマを 2n=20 の野生種,
エゴマとシソを 2n=40 の栽培種とし,
トラノオジソとレモンエゴマを独立種とする見解を支持している.
県内産のトラノオジソの葉形についても中間形はなく,
はっきり区別できることから独立種として扱った.
(2)レモンエゴマ Perilla citriodora (Makino) Nakai; P. frutescens (L.) Britton var. citriodora (Makino) Ohwi
高さ 50~90cm.生植物か新しい標本では,
植物体の一部をもむと強いレモン様の匂いがする.
この匂いはレモンエゴマに特有である.
エゴマやシソでレモンエゴマに近い匂いのものを誤同定することがあるが,
茎の毛と苞の色や形でほぼ区別できる.
葉の鋸歯は丸みを帯びることがなく,やや鋭い.
葉身基部には鋸歯がなく,広いくさび形である.
葉柄や葉の下面は紫色を帯びることが多い.
花は 9~10 月に咲き,若い花序は円柱状で鈍頭.
苞は長さ4~5mm で縁にまばらに軟毛があり,早落性である.
花冠は淡紅紫色~紅紫色.
本州(関東地方以西の太平洋側),四国,九州に分布する.
県内では県央~県西部の山地に分布が偏り,やや少ない.
丘陵地や三浦半島では稀である.
おもにシイ・カシ帯上部~ブナ帯下部の林縁に生育する.
→(3a)エゴマ Perilla frutescens (L.) Britton var. frutescens
茎は高さ 60~150cm と大きくなり,長軟毛が密生またはまばらに生える.
葉身はふつう緑色であるが,やや紫色を帯びることもある.
花冠は白色で,稀に淡紅紫色.
外部形態はシソの一部の栽培品種と非常によく似ているが,
全草にペリラケトンというエゴマ特有の芳香物質が含まれ,
人によって不快な匂いと感じる.
伊藤・本多(1996)はエゴマとシソは容易に交雑が起きて
さまざまな形態のものが存在するため,厳密な定義は難しいとしている.
県内産の標本も上記の検索表にあてはまらないものが多く見られ,
エゴマとシソおよびそれらの雑種の境界は十分に認識できなかった.
匂いもエゴマとシソの中間的な匂いのものやほとんど匂わないもの,
レモンエゴマに近いがやや青臭い匂いのものなどがある.
東南アジア原産とされる逸出種.
日本では種子を食用または搾油用,葉を食用として利用.
やや冷涼な気候を好み,乾燥に弱いため日陰で湿り気のある場所で栽培されるが,
近年では栽培しているところが少ない.
また,芽ジソ用にアオチリメンジソの代用として栽培されることもある.
県内では山地~丘陵地の麓の林道,農道脇などに逸出し,典型的なエゴマは少ない.
近年,丹沢ではニホンジカの採食の影響が大きい
山地斜面にニホンジカの忌避植物のエゴマを播種しているところが見られる.
→(3b)シソ Perilla frutescens (L.) Britton var. crispa (Benth.) W.Deaneさまざまな品種があり,
代表的なものとしては葉が深い鋸歯と皺をもち赤紫色のチリメンジソと,
その葉が緑色のアオチリメンジソ,葉が浅い鋸歯をもち皺がなく赤紫色のシソ(狭義)
とその葉が緑色のアオジソ,下面だけが赤紫色のカタメンジソが知られる.
呼び方もさまざまで,それぞれアカチリメン,アオチリメン,アカジソ,
アオジソ,ウラアカともいう.
また,茎の毛,葉形,葉色,萼の毛の量,萼の大きさ,花冠の色にはさまざまなものが
ある.
全草にペリルアルデヒド,リモネン,ピネンなどの精油を含む.
中国中南部原産の逸出種.
日本では芽ジソ,穂ジソ,葉ジソ,シソ実用に古くから広く栽培される.
県内の農耕地周辺や山麓,丘陵地の道端や林縁などの半陰地に野化している.
分布図ではさまざまな品種をまとめて広義のシソとして表示した.
§ § §
山地の林縁に生える一年草。(エゴマは外来種だがレモンエゴマは在来種)
東南アジア原産という一年草で、元は人が栽培してきた農作物。
古い時代に日本へ入ってきたため在来種の扱いになったりもする。
葉が食用になり、種子からは油が採れる。
エゴマは、全体的姿はアオジソ(青紫蘇)に似ている。両者の交雑種もある。
葉は対生。葉身の基部側四分の一に鋸歯(きょし)がない。
葉柄付近までびっしり鋸歯があったら希少種トラノオジソ(虎の尾紫蘇)か?
葉を揉むとレモンの香りがするレモンエゴマ(檸檬荏胡麻)がある。
だが、エゴマにもレモン臭がするものもあって判別が難しい。
エゴマは栽培種で色々とあり、レモン臭だけでの判別は無理。
茎に短毛と縮れ気味の長毛が疎生し、苞が幅狭で緑色なのがエゴマ。
茎に下向きの短毛が密生、花序下方の苞が幅広で白っぽいのがレモンエゴマ。
花序は葉脈にも付くが茎先端に突き出たものが印象的。シソに似ている。
花色はふつう白。生育環境により花期は少しずれるが、泉の森では9月下旬~。
完熟した実の種子からは食用油の「えごま油」が採れる。
α-リノレン酸を多く含んでおり、動脈硬化や心疾患を予防する。
あるいは老化防止、認知症を予防、ダイエットにも効果がある。
えごま油は酸化しやすいため、加熱してはいけない。
えごま油にはエゴマ特有の臭みは一切なく味はまろやか。
ーー色々と掲載されている。参考引用させていただいた。ーー
「令和陸年(皇紀2684年)10月9日
10月
8日,
2024年
《 雅羅・/・襍〝備忘録 24-38〟❖ ’24-282 ❖ 》

学名:Oplismenus undulatifolius (Ard.) Roemer et Schultes var. undulatifolius (Stend.) Koidz.
別名:ケチヂミザサ(毛縮み笹)

チヂミザサ(縮み笹);多年草。
北海道〜九州の林縁や林地の木陰に生育し、やや群生する。
ちょこっとこんもりした薮の縁などにも生育している。
茎高は、30〜50cm、基部は長く地を這い枝分かれし生長する。
節は太く、短毛が密生する。
道端や原っぱの縁で余りめだたず、あちこちで生息。
葉は互生し、広披針形で先は次第に尖り基部は狭まり、
光沢なく両面に細毛、葉鞘は無毛で縁辺にだけ毛がある。
葉は縁が縮んで波打つのが特徴で、それを特徴に探す。
しかし、花軸に毛が生えていないコチヂミザサも同様で、
葉の周りが縮れているので葉だけでは見分けられない。
花序の枝は殆ど水平に開出し、緑紫色の小穂を疎らにつける。
小穂は倒卵形、長さ2〜2.5mm、2小花からなるが
第1小花は退化して護穎のみとなる。苞穎は長さ1mm。
第2苞穎は第1小花の護穎と同長。
第2小花の護穎と内穎は厚くガラス光沢がある。
果実は広楕円形、突頭、暗褐色、長さ1.5mm。
花期は8〜9月。ーー日本イネ科植物図譜より引用ーー
《 面白い葉〝縮み草〟 ❖泉の森にも居る!!❖ 》

イネ科の特徴の通り、花びらを持つ花ではない。
また、特徴が葉の縁が縮んで波打つ、と云われ名前の由来だが、
周りを注意深く見ると、他の植物の葉に隠れても匍匐して広がっている。
小穂は、見た目は一つに見えるが雄蕊と雌蕊を包む外花頴(ガイカエイ)と、
退化し結実しない内花頴(ナイカエイ)の2つがくっついて構成されている。
雌蕊の羽毛状の毛の下に、紫色の葯の雄蕊がぶら下がる。
開花時の雌蕊の柱頭の羽毛状の毛が目立つ。
外花頴の羽毛状の毛の先に出る雄蕊の紫色の葯を見つける。
そして雌蕊の羽毛状の白い毛を注意深く観察する。
小穂の基部には2個の苞頴(ホウエイ:蕾を包むように葉が変形した部分)、
その先端に長い芒(ノギ)をつける。この芒が後に大事な役目を持つとか。
果実が熟すると長さ0.3cmの小穂は、基部で外れ易くなり中に種子がみえる。
小穂についている長い芒と少し短い芒が一本、それぞれについている粘液。
粘液が球状に点々とついており、そこを通る小動物の体毛にひっつく。
その後しばらくしていずれかの場に落ちてそこに新たな命が芽生える。
チヂミザサは芒と粘液によるいわゆる「ひっつき虫」のひとつ。
芒が衣服によく突き刺さる。粘液でべたべたしている。
手で払っても全然落ちない。指で摘まんで一つ一つ摘み取って除去。
山野を歩いたあと、チヂミザサの芒が残ったままなんてよくある。

73.チヂミザサ属 Oplismenus P.Beauv.(佐藤恭子,図:佐藤恭子)
木陰に生える 1 年草ときに多年草.地を這って分枝し,支柱根がある.葉身は狭卵形で基部は心形,縁は波をうつの
が特徴.花序の主軸上に 10 内外の総を出し,総の片側に数個の小穂が集まってつく.小穂は 2 小花からなり,第 1 包穎
には長芒が,第 2 包穎には短芒がある.第 1 小花は護穎だけに退化,第 2 小花が登実,成熟すると芒が粘液を出し,小
穂ごと動物などについて散布する.熱帯,亜熱帯に分布の中心があり,世界に 5 種,日本に 2 種,県内には 1 種見られる.
A.高さ 15~30cm,花序 10~15cm.葉長 3~7cm,葉幅 8~15mm(広義チヂミザサ)
B.花序の主軸や葉身,葉鞘に基部の膨れた長毛がある ....................................................................(1a)ケチヂミザサ
B.花序の主軸や葉身,葉鞘に毛がないか,あっても短毛 ................................................................(1b)コチヂミザサ
A.高さ 5~10cm,花序 3~5cm.葉長 1~2.5cm,葉幅 3~6mm..................................................(1c)チャボチヂミザサ
(1a)ケチヂミザサ Oplismenus undulatifolius (Ard.) P.Beauv. var. undulatifolius
葉身には短毛の密生に加え,基部の膨れた長毛も混ざり,特に葉の基部で顕著である.葉鞘,花序にも開出した
毛が生えざらつく.花期は 8~10 月.北海道,本州,四国,九州,琉球;旧世界の温帯~亜熱帯に広く分布する.
県内では平野部~山地まで林中や林縁の陰地に普通.

ケチヂミザサに比べ全体に毛が少なく,
葉身は短毛が密生してビロードのような触感.
特に典型的なものは円錐花序の中軸は節部以外ではほとんど無毛である.
今回,ケチヂミザサとコチヂミザサを 2 変種として分けるにあたっては,
基部の膨れた長毛の混生の有無を判別の基準とし,
花序の枝や葉身に生える毛が短毛のみで,
基部の膨れた開出毛のないものはコチヂミザサとした.花期は 8~10 月.
北海道,本州,四国,九州;朝鮮(中部~南部),
中国に分布する.
県内では林中,林縁の陰地に生え,平野部~山地まで広範囲で普通に見られる.
(1c)チャボチヂミザサ Oplismenus undulatifolius (Ard.) P.Beauv. var. microphyllus (Honda) Ohwi
全体非常に小型で全草毛が少なく,花序の軸は無毛,
花序はほとんど枝を分けず,軸に 1~3 個ずつ小穂がつく.
標本:横浜市旭区 1990.7.28 小崎明則 KPM-1104279.
「令和陸年(皇紀2684年)10月8日
10月
7日,
2024年
《雅羅・/・〝里緑地の花 '10-3〟❖ ’24-281 ❖》

野原や道端、空き地やグラウンド等、何処にでも普通に見られる。
日当たりのよい路傍や土手、耕地の周辺等に生育し、群生する。
地下茎で繁殖し、大きな株を作る。茎の高さは50〜80cm。
踏みつけても起き上がる。又、容易に抜けない等々で“力芝”と命名された。
薄に似た大型の野草、開花期に群生する黒紫色をした花穂姿は美しい。
茎は枝分かれしない。地下茎で繁殖し、大きな株を作る。
葉は線状で長さ30~60cm、幅5~8mm程になり、尖った先端は垂れ下がる。
葉も茎もかなり丈夫で、刈り取りや踏圧に強いが、晩秋には枯れる。
地下にある根は細かな「ヒゲ根」になり、引き抜かれることを阻止している。
その結果、大きな株になり、翌春には多数の葉を密生させる。
葉は長さ10~80㎝、幅0.3~1㎝。葉舌は長さ0.5~2.5㎜。
円柱形の穂状花序は長さ10~20㎝、直径約4㎝。
小穂の基部に長さ約2㎝の黒紫色の総苞毛(毛状の総苞)がある。
小穂は長さ5~8㎜。第1小花は長さ約1.5㎜、0~1脈。
第2小花は長さ約4㎜、3~5脈。頴果は総苞毛とともに落ちる。
第1小花は護穎だけで、結実するのは第2小花である。
第1包穎は長さ1mm、第2包穎は4mm。
小穂基部の総苞は黒紫色を帯び毛状。
果実は灰褐色、無光沢、長さ3mm。花期は8〜10月。
総苞毛が淡緑色のものは、アオチカラシバと云われている。
帰化種のエダウチチカラシバは茎が分枝し、
花序の枝1本に2~4個の小穂がつき、
内側の総苞毛が羽毛状に分岐する。
《 群生すると圧巻〝力芝〟 ❖ 10月中 ❖ 》

78.チカラシバ属 Pennisetum Rich.(佐藤恭子・古川冷實,図:佐藤恭子)
多年草ときに 1 年草.大きな株をつくる.踏みつけに強く,引き抜きにくい.
花序はブラシ状で,小穂は披針形または卵形,
基部には芒状の総苞毛(剛毛・刺毛)が輪生する.
78.チカラシバ属 Pennisetum Rich.(佐藤恭子・古川冷實,図:佐藤恭子)
多年草ときに 1 年草.大きな株をつくる.踏みつけに強く,引き抜きにくい.
花序はブラシ状で,小穂は披針形または卵形,
基部には芒状の総苞毛(剛毛・刺毛)が輪生する.
穎果は成熟期に護穎と内穎に包まれ総苞毛とともに脱落する.
世界の熱帯~暖帯に約 100 種見られる.
日本には 7 種,県内にはそのうち 4 種が生育する.
A.総苞毛は分岐しない
B.葉身は幅 5~8mm で平らまたは折りたたまれる..........(1)チカラシバ
B.葉身は幅 1mm,内側に巻いて円筒形になる ..............*シマチカラシバ
A.総苞毛の一部は羽状分枝する
B.羽状総苞毛は小穂あたり 2~3 本.......................*ナピアグラス
B.羽状総苞毛は多数
C.花序は幅 50~75mm の楕円形で,小穂は長さ 9mm を超える
(2)シロガネチカラシバ
C.花序は幅 15~50mm の細長い円筒形で,小穂は長さ 7mm 以下
D.花序の幅は 30~50mm,小穂は長さ 5~7mm
E.根茎が地中をはう,葉身は平ら ...............................(3)エダウチチカラシバ
E.稈は束生,葉身はごく細長く片巻きまたは折りたたまれる(4)ファウンテングラス
D.花序の幅は 15~25mm,小穂は長さ 3~4.5mm........................*マキバチカラシバ
(1)チカラシバ Pennisetum alopecuroides (L.) Spreng.
高さ 30~80cm の多年草.総状花序は紫褐色の柱状で幅 30~50mm,
長さ 6~20cm.小穂は長さ 7mm ほどの披針形で 2 小花からなり,
第 1 小花は雄性または不稔,第 2 小花は両性で稔性がある.
総苞毛は長さ 10~30mm で羽状の分枝はないが,
微小な上向きの刺毛により穎果が動物などに付着し散布される.
総苞毛が淡緑色のものをアオチカラシバ form. viridescens (Miq.) Ohwi といい,
稀に見られる.花期は 9~10 月.
北海道(西南部),本州,四国,九州,琉球;朝鮮,中国,
フィリピン~インド,オーストラリアに分布する.
県内では高所を除き広範囲に分布,荒れ地,路傍に生える.
§ § § § §
チカラシバ、イネ科チカラシバ属の多年草で雑草と卑下される。
子供の頃、野原で力芝を何本か結んで足に引っ掛けて喜んだいたずら。
秋に実が熟すと小穂が軸から外れ、突き刺さる引っ付き虫として知られる。
そんな仕様で実を遠くへ運ばせる。巧妙な手段だ。
「令和陸年(皇紀2684年)10月7日、記」
10月
6日,
2024年
《 雅羅・/・〝里緑地の実 '10-1〟❖ ’24-280 ❖ 》

茎は直立し1m以上にもなり分枝する。茎、葉裏、果実などに短い伏毛がある。
茎の基部は木質で葉は奇数羽状複葉、小葉が15~35個つく。小葉は長さ2~4㎝。
花は長さ20~25㎝の総状花序を出し、長さ約15㎜の淡黄色の蝶形花を多数付ける。
まれに赤みを帯びる花も見られる。雄蕊は10個、互いに離生する。
花が紫色の種があり、ムラサキクララ forma purpurascens (Makino) Sugimoto という。
果実は細長く、長さ7~8㎝、種子は1列に入り、中間付近でくびれることも多い。
熟すと数珠状になり、裂開しない。種子は長さ4~5㎜。花期は6~7月。
《 泉の森で見つけた“クララ(眩草) の実!?!”❖2024/10/6❖ 》

(1)クララ Sophora flavescens Aiton
有毒の多年草.茎は直立して 1m 以上に達し,茎,花柄,葉柄,豆果などに短軟毛が多い.
上部で枝を分け,枝先に総状花序をつける.
花は 6~7 月に開花し,淡黄色でときに紫色を帯びる.
萼筒の先は斜めに切れ,萼裂片は低い.豆果は長さ 7~8cm で,所々がくびれる.
本州,四国,九州;朝鮮,中国,シベリアに分布する.
林縁や土堤などに生える.県内では山麓~丘陵地に広く分布するが少ない.
花が淡紫色を帯びるものをムラサキクララ form.galegoides (Pall.) H.Ohashi; form. purpurascens Sugim., nom. nud.
といい,稀に記録される.
§ § §
以前、つくば市内で見たクララの花(2018/06/22)。
泉の森にも居るのではないか、とは思っていたが見つけられないでいた。
探索眼(老眼か?)が低下してきたことは、実感しているが。。。!
偶然、教えて頂けた。感慨深い。感謝・感謝であった。
神奈川県植物誌2018年版に自生地として掲載されていない。
そんなことで懸命に探さなかったのかもしれない。
次の植物誌版には掲載されるだろう。楽しみに観察したく思う。
泉の森には、強靭な植物調査者がおられる。
特に女性、3名の植物観察者の活動には畏敬の念を禁じ得ない。
*
かつて、自然保護等という表現が一般化していなかった頃の話だが。
日本の自然保護の先駆者は、神奈川県である。
鎌倉の自然を守る会(会長・酒井恒博士)や横浜国大・宮脇昭先生。
日本の自然保護の先駆者、金田平先生。
こうした方々を初めとして神奈川県の自然保全は、今に至る。
§ § §
日本国内では、昔から薬草として知られている“クララ(眩草)”。
漢方では根が人参に似て苦味が強いことからクジン(苦参)と呼ぶ由。
草名由来は、根をかむと目が眩む程に苦く、眩草(くららぐさ)と言われてきた。
それを略してクララ。全草にアルカロイド(マトリン等)を含み有毒でもある。
来春の開花に出会える事を希す。 楽しみだ。
「令和陸年(皇紀2684年)10月6日、記」
10月
5日,
2024年
《 雅羅・/・〝里緑地の花 '10-2〟❖ ’24-279 ❖ 》

イヌタデ(犬蓼);1年草の在来種
イヌタデは道端、荒地など、生活地でも普通に見られる。
茎高20~50cmで茎は赤味を帯びることが多い。
葉は互生、長さ3~8cm、幅1~2cmの広披針~披針形。
全縁、縁毛があり、先が尖り、基部は楔形。
葉裏に腺点があり、主脈上に伏毛がある。
長さ1~5cmの円柱状の総状花序に紅色の花を密につける。
花被は5裂し、淡紅色、花後は紅色になり痩果を包んで残る。
雄蕊6~8本。花柱は3本。
小苞は赤色、長い縁毛が多数あり、花の間から突き出る。
托葉鞘は長さ5~8mmの円柱形、先に托葉鞘とほぼ同長の剛毛がつく。
花期は6~10月と長い。
ヒメタデ Persicaria erectominor (Makino) Nakai は日本固有種。
絶滅危惧種に指定されている。
葉幅が3~6㎜と狭くて葉が細長く、基部は広い楔形。
短い葉柄がある。托葉鞘の縁毛は長さ3~4㎜。雄蕊5~7個。
今日10月5日は、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの誕生日。
なんとも言葉を持てない。新政権に早急の解決を求めたい。
なんとも言葉を持てない。新政権に早急の解決を求めたい。
拉致解決に向け、与野党の政治家はなぜに声をださない(怒)。
NHKにして然り。奪還方法を国民に問うべきだ。世論喚起!?!
*
今年の10/5は、私的には喜ばしいⅠ日であった(喜)。
次男が、寒川神社で三献の儀をおこなった。
白無垢、被き綿(かずきわた・綿帽子のこと)姿、紋付袴、
新郎新婦の姿、感動・感激であった(親馬鹿)。
而してモーニングを着れた私自身にも驚いた。
このモーニング、私の挙式に着たものだから。
「令和陸年(皇紀2684年)10月5日、記」
10月
4日,
2024年
《 雅羅・/・襍囈〝花=貴婦人〟❖ ’24-278 ❖ 》

学名:Tricyrtis ishiiana (Kitagawa & T. Koyama) Ohwi & Okuyama
又は、スルガジョウロウホトトギス(駿河上臈杜鵑草)ユリ科(Liliaceae)
T.ishiiana (Kitagawa et T.Koyama) Ohwi et Okuyama var.surugensis Yamazaki
* ! * ? * ! *
野生自生地が、絶滅すると危惧されてる草本。
ここでも鹿の食害が深刻であるようだ。
山の沢筋・岩場に見られる貴重、且つ稀有な花。
この稀有な花が突然、庭の片隅に花を見せた。
2014年10月2日から1週間の顔見世!!
開花した数年前から茎・葉だけは見ていたのだが、
百合科の草本か?程度にしか思っていなかった。
以前、温室を撤去した際に土等も今の庭に移した。
そんな庭片隅に1度だけ花を付けたのである。
そのおり、デジカメでかなりの量、写真に記録したが。
保存していたHDDが壊れて今は観ることができない。
1枚だけブログに残っていた(自庭で撮った生き証人)。
長い間の土壌での同化で花まで咲くようになったか?
我が家に来た花々は自生種移植、突然発生はないだろう。
レモンイエローの花、花の内側に赤紫色の斑点が特徴。
大きな釣鐘型フォルムは美しいが、花名由来は???
「ジョウロウ(上臈)」には「貴婦人」という意味がある由。
庭片隅では生育環境に適さないのに現に咲いたは不思議。
相模上臈杜鵑草か、駿河上臈杜鵑草と推測したが?
外観・葉の形状からすると駿河上臈杜鵑草に近いか。
《 詳細観察したい秋花〝上臈杜鵑草〟 》

(1)サガミジョウロウホトトギス Tricyrtis ishiiana (Kitag. & T.Koyama) Ohwi & Okuyama; T. macrantha Maxim. var.
ishiiana Kitag. & T.Koyama in J. Jpn. Bot., 33: 254. (1958) の基準産地は相模塔ケ岳 (1957.9.2 石井初男 TNS)
高さ 20~60cm.茎は上方でジグザグとなり,淡褐色の斜上粗毛がわずかにある.
葉は長楕円形または披針形,先は尾状に尖り,基部は心形で茎を抱き,
長さ 5~12cm,幅 1.5~3.3cm,上面は光沢があり,5~7 脈があり,
下面へ隆起し,脈上に早落性の微毛がある.
花は 8~9 月,茎の頂または上部に散房花序が出て,
黄色い筒状花が下向きに咲く.茎先端部の花が咲くころに,
数節おいて基部寄りの葉腋から花序が出る.
外花被片の距は長さ 3mm 以上あり,苞は顕著である.
葯はあずき色.神奈川県固有の種.
丹沢の高所の岸壁に垂れ下がって生える.
『神 RDB06』では絶滅危惧ⅠB 類とされた.
本種は,はじめトサジョウロウホトトギスの変種として記載されたが,
後に大井次三郎・奥山春季(奥山 1962 原色日本植物図譜 6: 164)が
独立種に格上げした.
ジョウロウホトトギス類は高知県にトサジョウロウホトトギス
(ジョウロウホトトギス)T. macrantha Maxim.,
紀伊半島にキイジョウロウホトトギスT. macranthopsis Masam.
が古くから知られていたが,サガミジョウロウホトトギスが加わり 3 種になった.
その後,静岡県の毛無山や愛鷹山などにもこの仲間の植物が産することが分かり
(榎本 1960 植研 35: 218),本種の変種,スルガジョウロウホトトギス
var. surugensis T.Yamaz. として記載された(山崎 1962 植研 37: 351).
本調査会会員の岩田実は赤石山系の前衛の篠井山の一角からも発見した.
サガミジョウロウホトトギス(以下サガミと略す)と
スルガジョウロウホトトギス(以下スルガと略す)はよく似ていて,
従来言われている花序の出方や葯の色などの形質は区別点にならない
(城川 1980 FK (5): 20).スルガは花柱の下部まで腺毛があるのに対し,
サガミは花柱の下半部は無毛である(大場 1980 FK (5): 19)とされ,
花柄や花軸がサガミはより短く,花序がコンパクトで,
苞同士が重なるように見え,スルガの苞には縁毛がないが,
サガミには,ごくまばらに毛が生える.
しかし,これらの違いも多数の個体による比較ではないため,
サガミとスルガの形態的な違いについては,
今後の詳細な研究が必要である.
§ § §
サガミジョウロホトトギス、丹沢山地に見える。
場所も知っており、2回ほど観たが山行途中の事。
仔細な観察は、していない。関心はたかまるばかり。
体力を整え再見したい草本である。
自庭に今一度、茎をだしてほしい。
「令和陸年(皇紀2684年)10月4日、記」
10月
3日,
2024年
《 雅羅・/・〝里緑地の花 '10-1〟❖ ’24-277 ❖ 》

学名:Aster ageratoides var. laticorymbus (Vaniot) Hand.-Mazz.
別名:ヤマシロギク(山白菊)

草名は、花が白く、草姿がヨメナに似ているのでついた。
別名の山白菊は、標準和名のヤマシロギクとは別種。
山野の林下や林縁などに普通に生え変異の多い多年草。
茎は細く時に屈曲して上部でよく分枝し茎高0.3~1mになる。
半日陰に生育しており、日当たり良い場所では余り見られない。
葉は長さ5~15cm、幅2~5cmの長楕円状披針形で先は鋭く尖り基部は楔形。
縁に大きな鋸歯があり、葉柄との付け根から出た3つの長い脈が目立つ。
短い柄があるかまたは無柄で茎は抱かない。質はやや薄い。
表面はくすんだ深緑色で多少短毛があり、裏面は淡緑色。最大幅は基部寄り。
葉身の基部の1/3辺りで急にくびれると書いてある図鑑もあるが、
そのように見えないものも多いので同定の参考にはならない。
頭花は細い花柄の先に1個ずつ付き、直径1.5~2cm。
総苞は長さ約4mm、幅5-6mmの筒状。
総苞片は3列、やや薄く鈍頭、暗緑色で微毛がある。
舌状花は白色、まれに淡紫色を帯びることがある。
痩果は扁平で長さ2~3mmの狭倒卵形。冠毛は長さ3~4mm。
似た花のシラヤマギクは、茎と葉の両面に白い短毛が密生、葉はやや茎を抱く。
葉の幅は両種とも変異が多く、同定の決め手にならない。
ノコンギクは日当たりのよいところに生え、頭花は一回り大きく直径2~3.5cm.。
ふつう淡紫色を帯び、葉身の最大幅は中部付近、葉の先は細長くは伸びない。
葉の両面に短毛が密生していてざらつく。
シロヨメナの学名は分類が難しく、学名には諸説ある。
Kewscienceでは広義には東アジアに広く分布するAster ageratoides Turcz.とし、
狭義にはAster ageratoides var. laticorymbusとされる。
Aster ageratoidesは中国、台湾、朝鮮などにも分布する。
花が紫色を帯び、日本のシロヨメナとはやや異なるところもある。
日本のシロヨメナでも、四国には紫色を帯びるものが多い。
《 里・丘陵地の秋花〝白嫁菜〟 ❖ 9月~10月上旬 ❖ 》

シロヨメナ Aster leiophyllus Franch. & Sav. var. leiophyllus; A. ageratoides Turcz. var. ageratoides
多年草.横走する地下茎がある.
茎は直立またはやや斜めにでて,やや紫色を帯びる.高さ 40~100cm.
茎の葉は薄く,長楕円状披針形,長さ 10~15cm,幅 2~4cm,
基部近くで急に幅が狭くなり,ほとんど無柄,粗い鋸歯があり,3 脈が目立つ.
頭花は径 1.5~2cm.総苞は長さ 4mm.痩果は長さ 2.5mm.冠毛は長さ 4mm.
花は 9~11 月.
本州,四国,九州;朝鮮,中国,台湾に分布し,日陰の林縁や林の中などに生える.
『神植誌 01』では Ito & Soejima(FJⅢ b)に従い,
日本のシロヨメナに対して A. ageratoides(中国大陸に広く分布)を採用したが,
ここでは,『平凡新野生 5』に従い種を狭くとらえ,A. leiophyllus(日本~台湾にのみ分布)を用いた.
『神植誌 58』に花が紫色のムラサキシロヨメナ form. purpurellus H.Hara が
三浦半島や小田原市で記録されている.『神植誌 88』では,
丹沢西部のブナ林の林床に生える葉の広いシロヨメナ類については再検討が必要であるとしながら,
茎が直立し緑色で,葉は幅広く,長さ 10~14cm,幅 6~7cm の広卵形~広楕円形になり,
花がやや密な散房状につくものをヒロハシロヨメナ A. leiophyllus var. latifolius Katsuy. & Ohba, nom. nud.
と仮称している.しかし,『神植誌88』のための調査では 2 標本が
ヒロハシロヨメナとされたのみで,その後の調査では典型的なものは得られていない.
『神植誌 01』では,日本海側に分布するタマバシロヨメナ var. ovalifolius (Kitam.) H.Hara
や関東地方北部にあるオオバシロヨメナ var. robustus (Koidz.) Makino & Nemoto
との関係も含め,さらに資料を収集し検討したいとされた.
10月
2日,
2024年
《 雅羅・/・襍〝備忘録24-37〟❖ ’24-276 ❖ 》

学名:Hosta longipes (Franch. & Sav.) Matsum.;
Funkia longipes Franch. & Sav., Enum. Pl. Jap.

キジカクシ科は旧分類のユリ科から分割された。
イワギボウシ(岩偽宝珠); 多年草。
岩偽宝珠は山地の湿った岩場や渓谷の岸壁や樹木の幹や枝に着生する草本。
根元に纏まってつく葉は幅の広い卵形で厚く、表面に光沢がある。
長い葉柄に紫黒色の細かい斑点、葉の下面脈上は全く滑らか。
苞は比較的小さく、花茎伸長時の初期から苞の間に蕾が見えたり、
苞が開花時にしおれるのは特徴的姿だが、各地には変種が色々とある。
花弁内側の脈は着色しないか着色しても濃くはならない。
雄蕊は、花弁より突き出す。
花筒の透明線は広筒部のほぼ全体から細筒部にまで及ぶ。
サイコクイワギボウシ(Hosta longipes var. caduca)が四国西部と九州に、
イズイワギボウシ(H. longipes var. latifolia)が伊豆半島と伊豆諸島に、
ヒメイワギボウ(H. longipes var. gracillima)が四国東部と近畿地方南部に、
オヒガンギボウシ(H. longipes var. aequinoctiiantha)が西日本に分布している。
イワギボウシ(岩擬宝珠)は、日本固有種。
葉柄に広く紫色の斑点がある。葉の下面脈上は全く滑らか。
苞が比較的小さく、花茎伸長時の初期から苞の間に蕾が見え、やや薄質。
花被内側の脈は着色しないか着色しても著しく濃くはならない。
雄蕊は花被より突き出す。
花筒の透明線は広筒部のほぼ全体から細筒部にまで及ぶ。
《 私的未見の秋花〝岩偽宝珠〟 ❖ 9月~10月上旬 ❖ 》
**神奈川県植物誌**

Funkia longipes Franch. & Sav., Enum. Pl. Jap. 2(2):
529 (1878)の基準産地は箱根山(Savatier n.1297bis)
高さ 20~30cm.葉は花茎より少し短い.

脈は片側で 5~8 個.葉柄は暗紫色の細点を密布し紫色を帯びて見える.
苞は白色から淡紫色で長さ 7~12mm.花は 8~9 月,淡紫色.
本州,四国,九州に分布する日本固有の植物.
県内では小仏山地,丹沢,箱根などに分布するほか,
三浦半島,相模原台地にも見られる.
川岸の岩場や樹幹に着生する.
葉柄の緑色の 1 型をアオジクイワギボウシ
form. viridipes F.Maek. in J.Fac. Sci. Imp. Univ. Tokyo, sect. 3, Bot. 5:
388 (1940) といい箱根駒ヶ岳が基準産地.
標本:アオジクイワギボウシ 1983.6.4 林辰雄 KPM-NA1069728.
(2)コバギボウシ Hosta sieboldii (Paxton) J.W.Ingram; H. albomarginata Ohwi form. lancifolia Ohwi; Hemerocallis
japonica Thunb. in Murray, Syst. Veg. ed. 14: 339 (1784) の基準産地の 1 つが箱根(Fakoniae)
高さ 40~50cm.葉身は狭卵形または楕円形,卵状楕円形など葉形や大きさに変化が多く,
鋭頭または鋭尖頭で,基部はしだいに狭くなって翼となって葉柄に流れ,
脈は片側で 3~6 個ある.
苞は緑色,狭卵形,鋭尖頭.花は淡紫色,長さ 4~5cm.花期は 7~8 月.

県内では各地にやや普通で,草原や疎林内に生える.
葉身が特に狭いコギボウシ var. intermedia (Makino) F.Maek.; H.clavata F.Maek.
の型の標本も南足柄市矢倉岳や相模湖町小仏などに見られるが,
両者に決定的な分類形質は見られず,本稿では同一種として扱った.
(3)オオバギボウシ Hosta sieboldiana (Lodd.) Engl.; H. montana F.Maek.
高さ 50~120cm.葉身は広卵形または狭卵形,基部は心形または切形,
下面は多少とも突起状毛がある.脈は片側で 9~12 個.
苞は咲き始めの花茎が伸びるときには開出して星形をなし,
開花時には花茎と直角に開出し,広卵状披針形または卵形,
白色または淡緑色で長さ 2.5~3cm.花は 7~9 月,白色または淡紫色.
花筒は長さ 4~6cm.北海道,本州(中部以北)に分布する日本固有の植物.
県内では全域にもっとも普通で,草原,疎林の下,岩場などに生える.
(4)キヨスミギボウシ Hosta kiyosumiensis F.Maek.
オオバギボウシのように葉下面脈上には突起状の凹凸がある.
苞は開花時に開出せず,ボート形に凹み,緑白色で質厚く,長さ約 1.5cm.
花期は早く,6 ~ 7 月である.
本州(関東地方南部,東海地方,近畿地方)に分布する日本固有の植物.
県内ではきわめて稀.本来は,林床に生える植物だが,
『神植誌 01』の調査で箱根湯本の早川の渓岸で採集された(1993.7.7 中村和義 KPM-NA1105346).
それ以後は採集されておらず『神 RDB06』では絶滅危惧ⅠA 類とされた.
*
10月
1日,
2024年
《 雅羅・/・襍〝備忘録24-36〟❖ ’24-275 ❖ 》

湿地に生える、多年草の小さな食虫植物。
細い地下茎の所々に捕虫嚢をつける。
葉は水深により沈水葉と気水葉の2形。
気水葉は長さ3~8㎜のへら形~倒披針形。
深い水深の沈水葉は、線形で大きい。
花茎の上部に直径3~4㎜の花を1~4個つける。
花冠は淡青色~紫紫色で長さ約3mmで濃色の条線がある。
明らかな花柄があり、距は下向きで先はやや前に曲がる。
花は淡青色~紫紫色、濃色の条線がある。
上唇弁が下唇弁よりやや小さく上唇弁と下唇弁が上に向く。
距は長さ2~3㎜、下方へ突き出て先はやや前に曲がる。
萼は広卵形、花とほぼ同色でやや濃色。
果実(蒴果)は、長さ約3.5mm。
萼が大きくなり、耳掻きのような形になる。
環境省の絶滅危惧第 II 類の貴重種。
黄色い花を付けるミミカキグサ。
一回り大きくより鮮明な色の花をつける花、
ホザキノミミカキグサと隣り合わせ混生している。
《 私的未見の秋花〝紫耳掻草〟 ❖ 9月~10月上旬 ❖ 》

**神奈川県植物誌**
ムラサキミミカキグサ Utricularia uliginosa Vahl; U. yakusimensis Masam.
1 年草.地上葉は長さ 3~6mm.花は 8~9 月.花茎は高さ 5~15cm.
花序は総状で,1~5 花をつける.花は淡紫色,長さ約 3mm,有柄.
蒴果は耳掻きの形に似ている.
北海道,本州,四国,九州;東アジア,インドに分布する.
湿地の泥上に生える.県内では箱根仙石原にのみある.
かつては藤沢市鵠沼周辺にもあったが,
現在は本種が生育するような環境があったことを想像することさえできない.
久内(1932 植研 8: 73)によると鵠沼・片瀬には砂質の湿原や池があり,
ミミカキグサ,ムラサキミミカキグサ,ホザキノミミカキグサ,イヌセンブリ,
ゴマクサ,ヒメタデ,ヤナギヌカボなどの稀産種が生育していたが,
当時すでに絶滅していたことを記している.
『神植目 33』は片瀬・鵠沼,『神植誌 58』は箱根・鵠沼(絶滅)を記録している.
『神 RDB06』では絶滅危惧ⅠA 類,『国 RDB15』では準絶滅危惧とされた.
標本:箱根仙石原 1994.9.8 北川淑子 KPM-NA0119195.
(2)ホザキノミミカキグサ Utricularia caerulea L.; U. racemosa Wall. ex Walp.
1 年草.花序は穂状で,小花柄はほとんどない.花は淡紫色で長さ約 2mm.
北海道,本州,四国,九州;アジア,オーストラリア,マダガスカルに分布.
かつて藤沢市鵠沼にあったが 1932 年にはすでに絶滅したとされる(久内 1932
植研 8: 73).
しかし,下記の標本があり,もうしばらく生き残っていた可能性がある.
『神植目 33』は片瀬・鵠沼,『神植誌 58』には鵠沼(絶滅)とある.
『神 RDB06』では絶滅とされた.
標本:藤沢市鵠沼 1942.7 宮代周輔 YCB112265.
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古いメモを整理していると、浅学の自分には強く関心を持つ花々。
新たに資料作りを夢見る。
「令和陸年(皇紀2684年)10月01日、記」