今年の読書(14)『ジャベリン・ゲーム』田村和大(ハルキ文庫)
3月
7日
大学教授「武田長博」が自宅で殺害されます。日本の公安内部に張り巡らされたロシアのスパイ網壊滅を目的とし、CIAの極東部門の分析官であり「武田」の妻である「ベロニカ・ノートン」が立案した「クロー・ハンマー」の要が「長博」でした。
彼の息子「穣」は父を殺した殺人者を追うため17歳で母と同じCIAに入局し、スパイとして警察庁に潜入します。その7年後──ウクライナ侵攻の影響で供給不足となっているアメリカ製の歩兵携行式多目的ミサイル「ジャベリン」が三十基、太平洋で所在不明になる事態が勃発します。この「ジャベリン」が日本国内に持ち込まれるのを阻止する命令が「穣」に下ります。
「穣」は、AIコンピューターを中心とする府中署の西条巡査部長をはじめ4人ばかりの特別捜査班で、略奪された「ジャベリン」の密輸を阻止し回収の責任者として任につきます。
最新のAIを用いた近未来的な捜査も現実的な趣で、特別捜査班のサイバー担当の「藤堂綾美」がロシア組織とつながっている会話の描写がありましたので、今後続編が出てきそうな雰囲気でした。脇役的でしたが、西条巡査部長の部下「金子亜紀」がいいキャラクターでした。