自らの家族を10年間にわたり撮り続けたドキュメンタリー『ディア・ピョンヤン』(2005年)などで自身の家族と北朝鮮の関係を描いてきた在日コリアン2世の<ヤン・ヨンヒ>監督(57)が、韓国現代史最大のタブーとされる「済州4・3事件」を体験した母を主役に撮りあげたドキュメンタリー『スープとイデオロギー』が、2022年6月11日より公開されます。
「済州4・3事件」は、同じ韓国国民同士で多くの血を流した韓国の現代史の中でもっとも残酷で悲劇的な事件と言われています。1947年3月1日を起点に1948年4月3日から1954年9月21日まで、デモ中の済州島の群衆と警察/軍人達の間の流血衝突事件として、武力衝突における鎮圧過程で多くの罪なき住民達およそ6万人が犠牲になった韓国の歴史史上最悪の事件です。
朝鮮総連の熱心な活動家だった<ヤン・ヨンヒ>監督の両親は、1970年代に「帰国事業」で3人の息子たちを北朝鮮へ送り出しました。父の他界後も借金をしてまで息子たちへの仕送りを続ける母を、<ヤン・ヨンヒ>監督は心の中で責めてきました。
年老いた母は、心の奥深くに秘めていた1948年の済州島での壮絶な体験について、初めて娘である<ヤン・ヨンヒ>監督に語り始めます。アルツハイマー病の母から消えゆく記憶をすくいとるべく、<ヤン・ヨンヒ>監督は母を済州島へ連れて行くことを決意します。
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