今年の読書(43)『日の昇る国へ』佐伯泰英(新潮文庫)
6月
25日
恒例の「古着市」の開催直前に。将軍家近習の旗本「古瀬」が売り上げの一部を上納せよとの圧力を大黒屋にかけてきます。「古瀬」は無益の小普請組から瞬く間に将軍家近習にのしあがった男であり、総兵衛たちが背後関係を探りますとあくどい商売の呉服店「きき」が浮かび上がりますが、無事に始末をつけ、第十回目の「古着市」はいつも通りに開催されます。
桜子と婚姻を済ませた総兵衛は、新造船「カイト号」を引き取りに、バタヴィア迄桜子と一緒にイマサカ号にて日本を離れます。
「カイト号」を引き取った総兵衛一行は試験航海を繰り返し、船員共々新しい船に慣れていきますが、総兵衛は日本に戻らず、日の昇る国アメリカを目指して旅立つことを決心します。
日本の大黒屋の行く末は、徳川幕府との関係は、鷺沢一族の行く末はなどと読者としては気になる部分も多く残るところですが、長きにわたる物語としては、頃合いの完結かもしれません。