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- 今年の読書(68)『霧(ウラル)』桜木柴乃(小学館文庫)
北海道江別市在住の作家らしく、『風葬』 では釧路と根室、『砂上』 では江別市、本書の物語の舞台となるのは、根室の漁港です。
主人公は<河乃辺珠生>、地元の顔役的な存在「河乃辺水産」の次女ですが15歳で家を飛び出し、20歳という年齢ながら料亭「喜楽楼」の芸者として座敷に出ています。彼女はここで<相羽重之>と知り合い相羽組組長の妻となります。
長女<智鶴>は、国会議員を目指す大旗運輸の御曹司に嫁ぎ、三女<早苗>は金貸しの杉原家の次男を養子に迎え実家を継ぐ立場です。
北方領土との政治的な社会を背景に、閉鎖的な漁村の人間関係を絡め、根室の街での女三姉妹の人生が<珠生>の視線で描かれていきます。
妾<スミ>の家で射殺される<相羽>ですが、25歳で未亡人となり相羽組を引き継いだその後の<珠生>と、残された<スミ>と<相羽>の幼子のその後の続編が読みたくなる余韻を残して読み終えました。
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