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- 今年の読書(62)『流(りゅう)』東山彰良(講談社文庫)
本書は、2015年上半期の直木賞受賞作品です。選考委員の<北方謙三>氏に「二十年に一度の傑作」と言わしめた作品で、読み終わり、ミステリーでもあり、青春小説でもあり、歴史小説ともいえる重厚な構成に圧倒され、評価に納得できる内容でした。
台湾で1975年、<蒋介石>が亡くなった翌月に、17歳の主人公<葉秋生>は、戦争中、内戦で敗れ、追われるように台湾に渡った不死身の祖父が何者かに殺害されます。
大きな骨子としては、主人公が殺人犯を突き止めていくミステリー作品であり、それに伴う主人公の波乱に満ちた青春物語が語られていき、その背景として中国と台湾の政治的背景や、1980年代の日本のバブル経済が絡まり合い、さまざまな出来事、冒険談が多角的に展開、重層的に語られていきます。
登場人物たちの名前が、中国名ということもあり、最初は戸惑いましたが、導入部を過ぎると登場人物たちがドラマを見ているようにリアルに感じられ、キャラクター描写が秀逸であり、激動の時代の流れの中に身を置く登場人物たちに圧倒された497ページでした。
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