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- 今年の読書(37)『あやかし草紙』宮部みゆき(角川書店)
<宮部みゆき>の著作は、ミステリー・ファンタジィー・時代物と幅広く、本書は江戸を舞台とする<三島屋変調百物語>シリーズの5巻目になります。
<三島屋変調百物語>は、川崎宿の旅籠の娘<おちか>を主人公とし、、とある事情から江戸で袋物屋「三島屋」を営む叔父夫妻の元へ行儀見習いとして身を寄せています。しかし店主の身内として習い事に励むよりも、女中として忙しく働くことで自らの過去を頭の隅へと追いやろうとしていた。
ある日、叔父の<伊兵衛>が急な所用のため、訪問が予定されていた客への対応を、<おちか>に任せて外出してしまう。他人に心を閉ざしているおちかは不安に駆られるが、自分を信用してくれた叔父のためにも、客に非礼があってはならないと覚悟を決める。
客は、庭に咲く曼珠沙華に恐れおののくが、<おちか>に対して自分の過去にまつわる怪をぽつり、ぽつりと話し始める。
帰宅後、<おちか>から事の顛末を聞いた<伊兵衛>は、江戸中から不思議な話を集めるとして、<おちか>にその聞き役を務めるよう言い渡すのでした。
本書でも三島屋の「黒白の間」で客の話を聞くというのは変わりませんが、次の間に守り役として控えていた女中の<お勝>と三島屋の次男坊<富次郎>のうち、次男坊が<おちか>とともに客の話を聞き、それをちなんだ絵を描くという趣向が加わります。
本書で百物語の27話まで進み、<おちか>が百物語を始めなければならなかったトラウマの解消と、今後の展開が楽しみなシリーズです。
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