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- 今年の読書(130)『オリーブ』吉永南央(文春文庫)
<吉永南央>といえば、珈琲豆の小売りと陶器の販売を兼ねている「小蔵屋」を76歳で始めた<杉浦草>を主人公とした<紅雲町珈琲屋こよみ>シリーズが面白く、(文春文庫)として現在第三作目の 『名もなき花の』 までを読んでいます。
本種はシリーズ第一作目 『萩を揺らす雨』 に次いで文庫化(2012年2月刊行)され、短篇5篇を収録していますが、<杉浦草>シリーズでないので読み飛ばしていました。
本書を読み終り、改めて著者の力量に深く感動、面白く読み終えることができました。
納められている作品の主人公たちは、何気なく過ごしていた日常から、ある日不安を駆り立てられる世界へと引き込まれてしまいます。
5年間連れ添ってきた妻がある日姿を消す表題作の『オリーブ』をはじめ、一日早く退院したら家は妻の昔の彼のために家を売却されていた夫、野心家の彼が、自分の作品を個展に出していたことを知る作家、ある日夫を急性心不全で亡くした妻等、日常に潜んでいる出来事を通して苦悩する主人公たちを丁寧に描き出し、一抹の希望を与える終わりかたでまとめられています。
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