今年の読書(70)『二都騒乱:新・古着屋総兵衛7』佐伯泰英(新潮文庫)
5月
22日
人気作家ですのでシリーズ物の発刊が急になくなるとは思えず、<新・古着屋総兵衛>シリーズも、第6巻の 『転び者』 から間が空きましたが、のんびりと読み続けています。
タイトルの「二都」は、江戸と京都を表していますが、許嫁の<桜子>と付添いの<しげ>が、京の錦市場で消息を絶ってしまいましたが、<総兵衛>はあわてることなく、敵である薩摩藩の動きを冷静に見極めていました。
そのころ江戸では、「大黒屋」の地下大広間につながる秘密の地下通路を探り当てた元同心<池辺三五郎>が、薩摩藩に取り入られようと密告、薩摩藩上屋敷当主の<東郷清唯>の妾腹の子<石橋茂太>と出向きますが、両名とも憤死してしまいます。
薩摩藩から<桜子>拉致に関する連絡が<総兵衛>に届き、策略を感じて裏をかくべく部下を引き連れ、無事に<桜子>と<しげ>を取り戻します。
「大黒屋」は神君家康公の影旗本として、将軍からの命令を伝える<影>の存在が本書では<九条文女>とわかります。彼女は100年に渡る「大黒屋」と薩摩藩との和睦をすすめ、薩摩藩主も同意しましたが、薩摩藩京屋敷目付<伊集院監物>や、息子を殺された薩摩藩上屋敷の<東郷清唯>などの動きが、今後気になるところです。