今年の読書(67)『神様は勝たせない』白河三兎(ハヤカワ文庫)
5月
17日
顧問の<阪堂創一>は、全国大会出場を掲げて部員を指導していますが、チームプレーのサッカーながら、部員それぞれに個人的な思惑が絡んでいます。
準々決勝は0-2でリードされた状況で試合を諦めないキーパー<潮崎隆弘>の励ましで同点に追いついてPK線に持ち込まれる場面で、メンバー6人のサッカーへの関わりが6章構成で綴られます。
サッカーの経験がなく、<広瀬はるな>に鍛えながら練習してキャプテンになった「守護神」ことキーパーの<潮崎隆弘>、女子サッカーの経験があり厳しい指導で「鬼マネージャー」と呼ばれる<広瀬はるな>、顧問の息子であることを引け目に感じている「点取り屋」の<阪堂隼人>、なぜか万年補欠に甘んじている<宇田川定史>等、個性あるメンバーの人間関係を各章を通して相関的に描いています。
なぜ顧問が全国大会を目指すようになったのか、ミステリーっぽい謎を含ませて読者を思わぬ方向に導きながらも、最後はホロットする結末を迎え、気分よく読み終えれました。