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- 今年の読書(54)『SOSの猿』伊坂幸太郎(中公文庫)
本書は、「私の話」と「猿の話」の二部構成で、それぞれ交互に物語が展開されていきます。
「私」こと<遠藤二郎>は家電量販店でエアコンを販売している30代の男で、大学受験に失敗、教師の薦めでイタリアの美術学校に留学していましたが、現地の友人の父がカトリックの神父として「エクソシス」であり、その手ほどきを受け日本に帰国後も「エクソシスト」として悪魔祓いを行っています。
昔憧れていた<辺見ねいさん>の息子が2年前からひきこもり状態になり、特にここ半年ほど前から様子が急変、<二郎>のところに助けを求めてきます。
片や「猿の話」は正体不明の語り手によって「因果関係の物語」が主軸となり、システム開発会社の品質管理担当の<五十嵐真>を主人公とし、証券マンの打ち込みミスにより株の誤発注が起こり、300億円の損失の原因調査を命じられますが、<孫悟空>の登場人物たちに翻弄されていきます。
つながりのない平行線的な別物語として話が進んでいきますが、<二郎>と<五十嵐>の間を取り持つように<孫悟空>が自由自在に「私」と<五十嵐>の前に現れ、物語が一本に集結されていきます。
エンターテイメントの名手としてさすがの構成で、面白く読み終えれました。
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