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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(35)『無花果の森』小池真理子(新潮文庫)

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今年の読書(35)『無花果の森...
特異な感覚の映画監督として人気のある<新谷吉彦>48歳ですが、家庭では妻<泉>38歳に対する暴力が絶えず、彼女は夫の出張中に家を飛び出します。

落ち着き先の当てもないなか、とある地方都市で降りた彼女は、昼飯に寄った喫茶店で高齢な80歳の画家<天坊八重子>の住み込み家政婦募集の張り紙を見て、<高田洋子>の偽名で働き出します。

ある日<天坊>は<洋子(泉)>を連れて、還暦のオカマ<サクラ>が経営するバーに連れて行かれますが、そこにはかって夫<新谷>のドメスティック・バイオレンスを取材しに来ていた週刊記者の<塚本鉄治>42歳が<ヒロシ>という名で働いていました。
自分の立場が<天坊>にばれないかと気をもむのですが、<塚本>もまた大手芸能プロダクションの覚醒剤の取材に絡み、容疑者としてはめられてしまい逃亡している立場でした。

共に身を隠すように生活する二人でしたが、お互いに惹かれあい逢瀬を重ねていきます。
やがて<サクラ>や<天坊>たちに二人の関係が知られることになり、<塚本>は愛する<泉>との将来に夢を託し、みすから警察に出頭していきます。

登場人物が少ない小説で、主人公は<泉>に間違いがありませんが、オカマの<サクラ>の脇役のキャラクター、そして画家の<天坊>の存在が大きく、自らの裸婦絵を描きながら亡くなった<天坊>の通夜の場面では思わず「ウッ」となり、<泉>と<塚本>の未来が垣間見れるエンディングは秀逸でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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エメラルド
エメラルドさんからコメント
投稿日 2015-03-09 11:09

個性的な登場人物の生き様が魅力的に描かれているようですね。またまた読みたいリストが増えました。

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ファルコン
ファルコンさんからコメント
投稿日 2015-03-09 11:19

絶望の淵に落ちた男女が、お互いに惹かれあい、明るい未来を予感させるエンディングはなるほどと納得ができました。
脇役たちの人間性も良く描かれており、小道具としての無花果の木が見事でした。

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