コロナ禍の影響で、著者の日本全国の居酒屋やバー巡りのテレビ番組もなくなり、カメラを首からぶら下げた赤ら顔のレポーターとしての著者ともしばらくお別れでしたが、呑み助の心をくすぐりそうな『大人の居酒屋旅』を手にしました。
兵庫県からは、姫路や明石の「たなか屋」が登場、なんと我が神戸も登場するだけに、興味深く読み通せました。
居酒屋記というよりは、文学論を彷彿させる内容で、自分のこれまでの旅と重なり合う部分もあり、楽しく読めました。
仲間で騒いだ若い頃の居酒屋巡りはもちろん楽しい思い出でですが、歳を重ねた身には一人旅こそ快適。あるのは誰気兼ねなく好きに過ごせる時間こそが楽しみになり、のれんをくぐる口開けまでの時間を、気になった美術館を巡り、名所の碑文・銘文をじっくり眺め、そうしてその土地をより深く知ったのち、これと決めた名店の飲み屋でやる一杯の美味さを共有出来る居酒屋旅がここに詰まっています。