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- 今年の読書(83)『白春』竹田真砂子(集英社文庫)
初めて手にしました<竹田真砂子>の作品『白春』でしたが、面白く心に響く感動をもって読み終えました。
本作『白春』は、赤穂浪士討ち入り300年に当たる2002年12月に単行本が刊行され、第9回(2003年)中山義秀文学賞を受賞、2021年9月25日に文庫本として発行されています。
赤穂浪士の討ち入りを描いた〈忠臣蔵〉の番外編としては、<葉室麟>の『花や散るらん』がありましたが、本作品も討ち入りの裏話が主題です。
赤穂藩京屋敷留守居役の「小野寺十内」と妻「お丹」に仕える少女「ろく」は、捨て子として「大内内蔵助」の母「大石久満女」に育てられ、実親を知らず耳が聞こえませんが、出会いに恵まれ仕合わせな日々を過ごしていました。十歳の時に「お丹」が嫁ぐときに使えますが、しかし「ろく」が二十歳になった年、藩主「浅野内匠頭」の江戸城松の廊下での刃傷という一大事が起こります。
忠義を貫き命を散らすのが「武士の一分」ならば遺された「女の一分」とは。「小野寺十内」を中心として大石内蔵助をはじめとする赤穂藩士たちとの関わり、武士の妻としての生きざまを、「ふく」の目線から滋味溢れる筆致で討ち入りの顚末と家中の人々の覚悟を描く感動作でした。
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