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- 今年の読書(56)『世界はゴ冗談』筒井康隆(新潮文庫)
<筒井康隆>は、わたしが高校生の頃に神戸市垂水区に引っ越されてきたこともあり、当時はよく読んでいました。
新潮社の「書き下ろしシリーズ」の『虚航船団』はサイン会でのサイン本として本箱の中に埋もれているはずです。
差別用語事件で「断筆宣言」をされたということで著者の作品としては『文学部唯野教授』が最後になったでしょうか。神戸から東京に引っ越してしまったというのも、読まなくなった要因の一つだと思います。
また言葉遊びとしての、ブラックユーモア・ギャグ・ナンセンス・駄洒落に疲れてしまったのが一番大きな要因かもしれません。
本書『世界はゴ冗談』は、2015年4月に単行本で刊行、2021年6月1日に文庫本として発売され、全10篇の短篇が収められています。
幕開けは、<信頼出来ない語り手>などをはるかに凌駕する <まったく信頼出来ない語り手> による衝撃の超認知症小説『ペニスに命中』。ある染色体の消滅から激変する人類の近未来を哀切に描く『不在』。太陽の黒点の異常増加、電子システムのダウン、「お風呂が沸きました」「バックします」等の電子音声の異常、炸裂する異常の連続を描いて捧腹絶倒の表題作『世界はゴ冗談』。<午後四時半>を討伐に向かった男がやがて、高気圧を操る国家プロジェクトに巻き込まれていく『奔馬菌』。メタフィクションの先にある、世界初のパラフィクションに挑んだ『メタパラの七・五人』。
著者の面目躍如といった『三字熟語の奇』は、三字熟語2352をただ単に19ページに渡り羅列しているだけです。道徳的錯乱なのか文学的進化なのか、どの作品も著者ならではの10編でした。
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