今年の読書(38)『ヘイ・ジュード』小路幸也(集英社文庫)
6月
2日
前作『ラブ・ミー・テンダー 東京バンドワゴン』は、4年に一度の番外編でした。本シリーズは「堀田家の今」を描く「本編」が三作続き、「主に過去の時代の堀田家」を描く「番外編」を一作品挟むという形で今まで続いています。
「本編」はいつもビートルズの曲名がタイトルで、二作目である『シー・ラブズ・ユー 東京バンドワゴン』以降は、その曲が物語全体のイメージでありテーマになったりもしています。
今回のタイトルである名曲『ヘイ・ジュード』の歌詞の内容は、大人の男が若い男性を励ますようなものになっています。ネタバレになりますが、本書では、ガンで余命があまりない「我南人」のバンドメンバーの「ボン」が病室で息子の前で演奏する場面に登場、なるほどとホロットさせられました。
いつも通り、古本屋「東京バンドワギン」の堀田家の家族を中心とした〈ホームドラマとして総勢50名近い登場人物が織りなす日常が、亡くなった「サチ」の語り口で描かれています。どこかにいてくれたら楽しい家族と、そこに集う人たちの、ちょっと愉快な日々を描くだけの物語なのですが、なぜか文庫本の新作が出ますと手に取ってしまうシリーズになりました。
本書の解説文を書かれている<浦田麻理>さんは、「ジュンク堂書店