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- 今年の読書(32)『警察回りの夏』堂場瞬一(集英社文庫)
<堂場瞬一>は好きな作家のひとりで、<高城賢吾>を主人公とする 『蝕罪』 で始まる「警視庁失踪課」シリーズも第10作目の 『献身』 で終わり、いまは<大友鉄>を主人公とする 「アナザフェイス」シリーズと、新米刑事として登場した<一之瀬拓真>の成長ぶりが楽しみな 『ルーキー』 にはじまり 『奪還の日』 の刑事物シリーズの新作が出るのを楽しみにしています。
本書は、著者の経歴(東京読売新聞社勤務)を生かした 『虚報』 や 『異境』 の延長線上にあるマスコミを舞台とした社会派ミステリーです。
母子家庭の幼い姉妹が自宅で殺害されているのが発見され、母親は行方不明の為、母親が犯人だとの憶測のもと、連日報道人は、発見された公営住宅や実家に張り付いています。東京本社から事件のあった甲府支局に追いやられた<南康祐>は、本社復帰を狙って、懇意にしている警察関係者のコメントの裏取りをすることなく、母親逮捕の特ダネ記事を書きます。
この特ダネ記事は誤報となり、新聞社は第三者の調査委員会を立ち上げ原因を追求していきますが、裏側には、警察組織を巻き込んだ罠が仕掛けられていました。
最後まで取材先のネタ元の人物を明かさずに、独自の調査で真実を追い求める<南>の行動は新聞記者としての矜持を感じ、改めてマスコミの「メディアスクラム」の怖さを感じさせてくれる一冊でした。
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