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- 今年の読書(101)『路地裏ビルヂング』三羽省吾(文春文庫)
昨年読みました著者の 『公園で逢いましょう』 は、それぞれ登場するお母さんたちたちの人生描写が素晴らしく、感動させていただいた一冊でした。
今回の『路地裏ビルヂング』も、同じ路線での連作短篇集ですが、人間の「やさしさ」がよく描かれていました。
舞台は、路地裏の築49年経つ6階建ての古い<辻堂ビルヂング>です。
6編からなる連作短篇集で、それぞれの階に入っているテナントを舞台に、ビル全体の物語として語られていきます。
健康食品販売会社、広告デザイン事務所、不動産屋、学習熟、無認可保育所、1階が飲食店とそれぞれに職域が違いますが、各テナントに勤める社員を主人公として描き、またテナント全体の人間関係を見事につなげています。
ささやかな雑居ビルの中にも隠された歴史があり、思いもよらぬ人生が隠れているのだと、改めて著者の優しい目線を感じさせる一冊でした。
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