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- 今年の読書(40)『伏龍警視・臣大介』神野オキナ(小学館文庫)
<古野まほろ>の『新任警視(上・下)』に続いて、警視総監、警視監、警視長、警視正に次ぐ第5位の階級として規定されている「警視」を主人公とした<神野オキナ>の『伏龍警視・臣大介』は、2023年5月7日文庫本として発売されています。
この階級からが、いわゆる「キャリア組」と「ノンキャリア」との大きな壁として刑事物には定形的に描かれている作品が多く見受けられます。キャリア組は7年目で目で一斉に、いわゆる準キャリア組は15、6年目前後で「警視」に昇任しますが、「ノンキャリア」の場合は昇任すること自体が非常に難しいとされ、最も早く昇任できたとしても45歳前後であり、その差は歴然としてあるようです。
主人公「臣大介」は警視庁から沖縄県警へ管理官として出向していました。13歳の娘「 臣雪乃」は、日本最大与党の衆議院議員の父を持つ「姉」の14歳になった「多和多華那」と沖縄独特の「姉妹制度」の仲間内で開いていた「華那」の誕生日を兼ねたパーティを愉しんでいました。パーティ会場からすぐ近くの部屋でしたのだ。その日偶然、持病のある雪乃を迎えに来ていた父、沖縄県警管理官の「臣大介警視」は、パーティー会場に出向き火災を発見、娘たちを救い出すことになりますが、その救出中に思いがけなく、「大介」は刺殺体を発見してしまいます。
被害者は有名経済系文化人「新堀兵衛」の「金庫番」の<井上幸治>でした。時を同じくして突然死した捜査一課長の後任として、「大介」は現場の指揮に当たりますが、警視庁から沖縄県警に移って半年のため、馴染みのない沖縄独自の風習と警察組織が壁となります。捜査が難航する中、<井上幸治>に恋人をレイプされた「瑞慶覧旅人」が自首してきますが、事件は思わぬ方向に展開していきます。
本書は沖縄の歴史的背景と現状を踏まえて、沖縄ならではの警察官や警察組織の流れを描き、「臣大介」が沖縄に出向させられた背景を匂わす描写があり、また警視庁二課の従妹「奥瀬真紀」の登場と絡めて、今後も続巻が続くシリーズになりそうな予感がしています。
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