今年の読書(38)『新任警視(下)』古野まほろ(新潮文庫)
6月
23日
「やっと読み終えた」というのが、正直な感想です。多くの警察小説を読んできていますが、最後まで物語に《ノル》こともなく読み終えました。
<古野まほろ>は、元警察キャリアの著者らしく警察組織の世界は《飽きるほど》事細かな描写でしたが、私には、退屈で特段必要性を感じさせる描写だとは思えませんでした。
推理小説としての謎解きは、カルト集団〈まもなくかなたの〉の毒薬「キューピッド」で毒殺された前任の公安課長でしたが、肌身離さず持っていたフロッピーディスクが盗まれたことから、県警内部に〈まもなくかなたの〉のスパイがいたことを匂わし、県警も〈まもなくかなたの〉内部にスパイを送りこんでおり、事件の解決も刑事警察の手法と異なる公安警察独自の手法で描かれており、ネタバレになりますので詳しいことは書きませんが、推理小説として伏線的に最後には回収していますので、それなりに楽しめました。