今年の読書(7)『夢の終幕』堂場瞬一(集英社文庫)
2月
4日
松本のライブ終了後の帰り道、人気急上昇中の4人バンド「FOT」のメンバーと、マネージャー「池沢」と運転手「三島」との6人が、ツアーバスごと行方不明になります。事故か、誘拐なのか、所属事務所は密かに警察に相談。警視庁〈SCU〉の「最上功太」たちが担当を任されます。Nシステムの解析でバスは八王子で高速を降りたことが判明し、付近の捜索が始まりますが見つかりません。やがてマネージャー「池沢」の遺体が発見されます。その後運転手の「三島」が監禁を逃れて発見され、メンバー4人も無事に保護されます。
誘拐事件も解決に向かうと思われ多段階で、〈SCU〉メンバーは捜査から手が離れますが、キャップの「結城」が、政治家二世の脅迫事件を持ち込み、「最上」たちは身辺調査を進めていきますが、別件の事件かなと読者に思わせますが、意外な展開でバンド「FOT」と関連し始めていきます。
最高の音を求めて響き合ってきたバンドマンが目指した夢の実現とは何だったのか、 特殊能力を持つ刑事たちが、事件の深い闇に迫り、芸能世界の残酷な罪を暴き出していきます。
ロックやギターに造詣が深い<堂場瞬一>らしく、『夏の雷音』や『絶望の歌を唄え』の延長線ともいえる一冊でした。