好んで観る「恋愛映画」ではありませんが、社会の中で変化し、多様化してきた恋愛という営み、それをつねに反映してきた 無声映画時代の名作から最新の話題作まで数々の恋愛映画を取り上げ縦横無尽に語り合う、一風変わった恋愛/映画論『反=恋愛映画論』が(Pヴァイン)から刊行されています。 映画、音楽、文学、美術、演劇などジャンルを超え、執筆を続けてきた批評家の<佐々木敦>と、LGBTQ映画を中心とした批評で注目を集める映画執筆家の<児玉美月>の「恋愛映画に距離を感じている」というふたりが新旧の恋愛映画を語り合っています。 全8章で構成されており、第1章「リアリティと作為性――2010年代の日本映画」では、『花束みたいな恋をした』・『寝ても覚めても』・『愛がなんだ』など、第2章「多様化する恋愛像――2010年代の外国映画」では『はちどり』・『テイク・ディス・ワルツ』・『ロブスター』・『お嬢さん』など、第3章「恋愛映画の巨匠?――ホン・サンス」では、<ホン・サンス>(61)が手がけた『逃げた女』・『それから』・『川沿いのホテル』・『カンウォンドのチカラ』などが取り上げられています。 第4章 「クリシェとそれを超えるもの――キラキラ青春映画」では、『君の膵臓をたべたい』・『殺さない彼と死なない彼女』・『私がモテてどうすんだ』 、第5章「 肉体と精神/リアルとフィクションードロドロ性愛映画」では、『愛のコリーダ』・『火口のふたり』・『愛の渦』・『ニンフォマニアック』・『倦怠』 など、第6章 「恋愛/映画」に惹かれるものーオールタイム・ベスト恋愛映画・日本編」として、『あなたがすきです、だいすきです』・『unloved』・『ともしび』・『渚のシンドバット』 など、第7章 「恋愛/映画」に惹かれるもの――オールタイム・ベスト恋愛映画・海外編」では、『カルメンという名の女』・『牯嶺街少年殺人事件』・『ポンヌフの恋人』・『燃ゆる女の肖像』など、第8章 「恋愛映画の現在――2022年公開の新作では、『アネット』・『チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』・『TITANE チタン』・『リコリス・ピザ 』などが取り上げられています。 映画ファン必読の(2640円)の一冊です。