今年の読書(108)『炎罪』鏑木蓮(講談社文庫)
12月
29日
全焼した精神科クリニックを定年後開いていた自宅から、精神科医「山之内」の焼死体が発見されます。放火事件が続いていた地域だけに、自殺なのか他殺なのか、妻「和代」が不明のまま捜査が進められます。
元食品会社に勤める「長門繁」が、食品混入された商品がネットで炎上、責任を散る形で会社を首になった反動で放火事件を起こし、逮捕されます。「長門」は京都府警の顧問を務める「山之内」の弟子の精神科医である「新盛」の取り調べを受けた日に留置場で自殺を図ります。
「長門」が放火犯であり殺人犯なのか操作が行き詰る中、「片岡」は、同じ頃やはり「山之内」の弟子である仙台に住む「小津結花」がマンションから飛び降り自殺で亡くなっていることを知り、「自殺」を戒めていた「山之内」の弟子らしく無い行動を調べてゆくうちに、府警顧問の「新盛」に疑いの目を向けます。希有の才能の持ち主である精神科医の「新盛」には、隠された秘密がありました。
女性刑事ならではの観察眼が光る構成で、『時限』に登場していたキャリア組の「高藤」も登場していますので、さらなる「片岡」の個性が光る一冊でした。