今年の読書(48)『去就:隠蔽捜査6』今野敏(新潮文庫)
7月
31日
主人公は大森署署長の<竜崎信也>、東京大学法学部卒のキャリアとして、警視庁総務課長としてエリートコースを歩んできていましたが、息子の不祥事で、警視長の肩書のまま大森署の所長に降格人事を受けながらも、持ち前の警察官としての原理原則を貫きながら、職務に励んでいます。
大森署管内にてストーカー行為を受けていた娘<寺川真智子>が行方不明との通報が母親からあり、本人からのストーカー被害の届出により、拉致したのは、<下松洋平>だとしての捜査本部が設置されます。そんなおり、<真智子>の会社の同僚<中島重晴>が刺殺体で発見され、重ねて<洋平>の父親から猟銃の紛失届が出ている報告があり、二人の逃亡先が絞られ、捜査の結果、被害者に思えた<真智子>が<中島>殺しの犯人説に辿りつきます。
捜査本部が忙しく動いている中、管轄する第二方面本部のノンキャリアの<弓削>方面本部長が横槍を入れてくるなか、<竜崎>は警備指揮権に関する命令を出しますが、これがのちに越権行為だとされ、「特別監査」の対象になってしまいます。
事件解決後の、国家公務員の警察官としての<竜崎>の面目躍如の部分は、おもしろく、また異端児<戸高>刑事とコンビを組まされた<根岸紅美>の登場も期待できるキャラで、今後の活躍が楽しみです。
本文庫本の帯には『棲月:隠蔽捜査7』の広告が載っていましたが、単行本(1728円:2018年1月22日刊行)ですので、文庫化されるまで楽しみに発行を待ちたいとおもいます。