今年の読書(28)『白く長い廊下』川田弥一郎(講談社文庫)
4月
6日
外科手術で麻酔担当の<窪島典之>が行った手術終了後、手術室から病室絵向かう廊下の途中で患者<並盛行彦>の呼吸がとまり、翌日死亡します。麻酔の手順に全く問題を感じなかった<窪島>ですが、妻である<並盛義美>と弟の<並盛琢磨>の医療ミスではないかという訴えに対し、病院側は穏便に保険で支払おうと<窪島>にミスを認めさそうとしますが、<窪島>は頑固に拒否。独自に調査を始めます。
そんなおり、薬剤師の<山岸ちづる>が<窪島>に近づいてきて、ミスではなく巧妙に点滴器具に仕掛けがある殺人であると主張。二人で調査の結果、当日ストレッチャで患者を運んだ<榊木十和子>という看護婦と患者の妻は高校の同窓であり、共同犯行という線が浮かび上がります。
<窪島>は警察に一部始終を告発し、病院を追われることになります。また、病院側はこの殺人事件が明るみに出て、評判が落ち、結局以前から売却を打診してきていた関東医科大学の<新郷>理事長が病院を購入、一新して開業します。
そして恋人として信頼していた<ちずる>に対して、<窪島>は隠している事実があると感じた<窪島>は全てを捨て、無医村の幹根島へ渡り、そこで診療所生活を始めます。1年後、<ちずる>が島を訪ね、<新郷>が自分の母親の恋人であること、学生時代から面倒をみてもらって、<新郷>に恩義を感じ、医療事件の顛末を伝えていたことを白状します。<窪島>は近いうちにこの島に渡ってきてほしいことを伝え、物語はハッピーエンドを匂わせて終わります。