今年の読書(15)『蛮政の秋』堂場瞬一(集英社文庫)
2月
23日
前作『警察回りの夏』では、入社6年目、甲府支局で警察回りをしていた<南康祐>は、東京本社社会部に移動し、遊軍記者となっています。甲府支局時代に情報の「ウラ」と取らずに「誤報記事」を書いてしまった<南>は、一発逆転のネタを追い求めていましたが、そんなおり、大手IT企業が政治家たちに献金している一覧表がメールで送られてきますが、送信者に心当たりはありません。
誤報を経験しているだけに特ダネを求める気持ちと板挟みになりながら「ウラ」を取ろうとうとするのですが、送信者は行方不明の状態。そんな折、夕刊紙が献金を匂わす記事を掲載します。
「メディア規制化」を目論む政治家たちの問題を新聞社としても見逃すわけにもいかず、<南>は懇意にしている政治家と行動を共にして真相を求めて取材を進めるのですが、「日本新報」の社長も絡んでいるようで、記事を書きあげるのに二の足を踏んでしまいます。
読者としては<南>の派手な立ち回りの山場を期待したのですが、大きな盛り上がりもなく、少し期待外れの終結でした。
三部作の締めくくりとして、これから文庫化されるだろう『社長室の冬』の発行を待ち望みたいと思います。